相場展望6月12日 米国株: 相場の牽引役交替(ハイテク⇒出遅れ景気敏感)で潮目変化、アップル最高値更新⇒下落が示す、株安への流れに転換? 日本株: 先物特別清算(6/9)後に注目、外国人は売り本格化か?
■I.米国株式市場
1)6/5、NYダウ▲199ドル安、33,562ドル(日経新聞より抜粋) ・前週末に+701ドル高と急伸した反動で、主力の一部に利益確定売りが広がった。 ・景況感指数の悪化も景気懸念につながり、相場の重荷になった。 ・スマホのアップルは上場来高値を更新したが、その後、下落して終えた。年次開発者会議「WWDC」が始まる前は買いが先行し、上場来高値を更新した。だが、新製品であるゴーグル型ヘッドマウントディスプレーが発表されると次第に売りが優勢となった。 ・午前発表の5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数は50.3と市場予想52.3に反して、前月から悪化した。これまで堅調だったサービス業の景況感が悪化し、米国株の重荷となった。 ・映画・娯楽のディズニーは、アップルの新製品で動画配信サービスを提供することが明らかとなり、上昇に転じた。半導体のエヌビディア、インテル、交流サイトのメタ、工業・事務用品のスリーエム、スポーツ用品のナイキが下落。 ・一方、バイオ製薬のアムジェン、小売りのウォルマートが上昇した。【前回は】相場展望6月5日 米国株: 債務上限問題解決が招く「金利上昇」「通貨量縮減」⇒株安 日本株: テクニカル指標では語れない「上げ相場」 中国: 期待が高かった中国経済回復に一服感
2)6/6、NYダウ+10ドル高、33,573ドル(日経新聞より抜粋) ・これまで出遅れ感があった景気敏感株やハイテク株の一角に買いが入り、小反発し相場を支えた。化学のダウ、建機のキャタピラー等が値ごろ感から買われた。一方、米利上げへの警戒が相場の重荷となり、上げ幅は限られた。市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が6/13〜14開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見送り観測が強まるが、7月や9月の利上げ再開が警戒された。 ・保有するモービルアイ株の一部売却が明らかになった半導体のインテルも高い。 ・アナリストが目標株価を引上げた半導体のAMDの上昇が目立ち、電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン、ネット検索のアルファベットも高い。 ・医療保険のユナイテッドヘルスや製薬のメルクなど、ディフェンシブ株が下落。主力中型機「787」に不具合が見つかり、出荷が遅れるとの報道で航空機のボーイング、前日に上場来高値を更新したスマホのアップルも小幅続落した。株価が高値圏で推移するソフトウェアのマイクロソフトに利益確定売りが出た。
3)6/7、NYダウ+91ドル高、33,665ドル(日経新聞より抜粋) ・目新しい売買の材料を欠くなか、出遅れ感があった景気敏感株を中心に資金が流入し、NYダウを支えた。これまで相場を牽引してきたハイテク株の一角は下落し、相場の重荷となった。 ・米原油先物相場が上昇したことも追い風となり、建機のキャタピラーが+4%高、石油のシェブロンは+3.8%上げた。工業製品・事務用品のスリーエムや金融のゴールドマンサックスも高い。市場では「割高感が出てきたハイテク株から値ごろ感のある銘柄に資金がシフトしてきている」との声が聞かれた。半面、ハイテク株は売り優勢となった。 ・米長期金利が一時+0.14%高い3.80%を付けたことも、高PER(株価収益率)のハイテク株に相対的な割高感が増すとみられ、売りにつながった。ソフトウェアのマイクロソフトと顧客情報管理のセールスフォースが▲3%下落。スマホのアップルも安い。ネット通販のアマゾンやネット検索のアルファベットが▲4%下げた。半導体のAMDは▲5%安となった。 ・NYダウは小幅安となる場面があった。カナダ銀行(中央銀行)は6/7、根強いインフレ圧力を背景に3会合ぶりとなる利上げを決めた。米FRBは6月の利上げを見送るとの観測が強まっており、他の中央銀行の動きは7月以降のFRBの利上げ再開の可能性を高めるとの見方がある。金融引き締めの長期化観測は相場の重荷となった。
4)6/8、NYダウ+168ドル高、33,833ドル(日経新聞より抜粋) ・米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期への懸念が和らぎ、金利が低下したことで株式の買い安心感が広がり、約1か月ぶりの高値となった。6/8発表の経済指標が労働市場の軟化を示したと受け止められた。 ・6/8発表の週間新規失業保険申請件数は26.1万件と、市場予想23.5万件を上回る。市場では、働き手の需給が緩む兆候との受け止め方があった。 ・6/13〜14の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置き、その後の会合でも利上げ圧力が和らぐと受け止められた。 ・米債券市場では、長期金利が3.7%台前半に低下し、相対的な割高感が薄れた高PERのハイテク株に買いが入った。 ・顧客情報管理のセールスホースやスマホのアップル、航空機ボーイングが上昇。電気自動車のテスラ、半導体のエヌビディアも上昇した。半面、化学のダウ、クレジットカードのビザは下落した。
5)6/9、NYダウ+43ドル高、33,876ドル(日経新聞より抜粋) ・来週に米経済指標や米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利の発表を控え、様子見の雰囲気があった。一方、ハイテク株への買いが引き続き相場の支えになった。 ・来週は6/13に5月米消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、6/13〜14に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。内容を見極めたいというムードが根強く、週末控え積極的売買は手控えられた。 ・顧客情報管理のセールスフォース、スマホのアップル、日用品のP&G、製薬のメルクが買われた。電気自動車のテスラの上昇が目立った。一方、映画・娯楽のディズニーやスポーツ用品のナイキが売られた。
●2.米国株:
・アップル株価が最高値更新⇒下落、株安局面入りのサインか?備えを!・相場牽引役が交替(ハイテク⇒出遅れ景気敏感株)、相場潮目の変化? 1)米国株式市場で特徴的な動きが発出し、米国株の天井感を示唆する出来事が発生 ・それはスマホのアップルが6/5、新製品発表期待で上場来高値を付けたが、その後、材料出尽くしで売られ、下落して終えた、ことだ。 ・もう1つは、相場の物色が「ハイテク⇒出遅れ景気敏感株」へと潮目の変化が伺えることだ。ハイテク株の「割高感」が意識され、「割安感」のある「出遅れ景気敏感株」に相場の牽引役が交替する動きが見て取れた。米国景気はインフレ高止まりで高金利の長期化が予想される。その中での「出遅れ景気敏感株」が物色され始めたということは、いよいよもって株価を牽引する材料がなくなってきたことを示唆する。この牽引役の交替が事実なら、米国株式市場が困難な壁にぶち当たっていることを示唆している。米国株式相場は高値圏にあり、警戒心を持ち備えたい。 ・NYダウは6/2に+701ドル高と記録的な上昇をしたが、「掉尾の一振り」と株式市場の歴史に名を残す可能性がある。
2)米国インフレは高止まりするリスクが増大し、物価高のなかの景気後退懸念が増す ・つまり、「スタグフレーション」に陥る懸念が強まっているとみる。 ・これは、インフレの高止まりのなかでの金利高の長期化を意味する。 ・当然、企業の利益も低下する。 ・米国の株価にも不透明感が増す。
3)米国の通貨供給量(マネーサプライ)は、FRBの量的縮小(TQ)で減少局面にある ・マネーサプライ減少に追い打ちをかける事象が発生した。それは、債務上限を巡る問題が解決したことで、財務省が大規模な資金調達を計画していることにある。財務省の金庫には資金が枯渇しており、そのための資金調達で9月までに約1兆ドルドルもの債券を発行して、市場から資金を引き揚げる見込み。 ・米国経済の景気減速状況のなか、巨額の現金を市場から短期間で吸い上げるリスクが懸念される。つまり、市中からの資金引き揚げとなれば、銀行・企業も現金確保に動く。そして信用収縮に陥る可能性が増す。 ・個人の家計部門も生活を守るための現金確保に勢いがつくだろう。 ・財務省による資金吸収は、株式市場を直撃する可能性が高いとみる。 ・そうなると、資金確保のため短期間での「株売り」局面が予想できる。「株価急落」局面に備えるべき時期に遭遇すると見ざるを得ない。 ・絶好調の「アップルの株価下落」は、その前触れを示唆したかもしれない。
●3 .米株価は▲20%下落も、インフレを巡り債券市場の見方が正しければ=JPモルガン(ブルームバーグ)
●4 .イエレン米財務長官、堅調な個人消費を背景に米経済は好調だが、一部地域で減速(ロイター)
●5 .欧州株は夏場に▲10%安の可能性=モルガンスタンレー(ロイターより抜粋)
1)理由は、経済成長の鈍化と流動性の悪化が企業収益を圧迫する。 2)景気敏感株よりもディフェンシブ銘柄が好まれ、金融株の投資判断は「中立」に引き下げた。一方、医薬品株を1段階引き上げた。●6 .ロシアの石油・ガス収入、5月は前年比▲36%減少(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/5、上海総合+2高、3,232(亜州リサーチより抜粋) ・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなり、銀行・石油が相場を牽引し、3日続伸した。 ・人民元安が進行し、警戒感が再燃した。2)6/6、上海総合▲37安、3,195(亜州リサーチより抜粋) ・人民元安の進行に警戒感が再燃する流れとなった。中国人民銀行は6/6朝、人民元レートを3日ぶりに元安方向に設定した。米中の金利差を背景に、人民元の先安感も強まっている。 ・指数の発表も気懸りだ。今週から来週にかけ、5月の重要経済指標の発表が相次ぐ。6/7は物価統計、6/9は鉱工業生産と小売売上高、6/15までは金融統計が予定。 ・業種別では、ハイテクの下げが目立ち、発電も安く、医薬品も冴えない。
3)6/7、上海総合+2高、3,197(亜州リサーチより抜粋) ・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなった。 ・中国当局は大手商業銀行に対し、預金金利の一段の引き下げを促したようだ。 ・中央・地方政府による不動産支援の動きが6月から加速する見通しとの報道。 ・輸出は前月の+16.8%から一転して▲0.8%減少した。 ・業種別では、不動産の上げが目立った。
4)6/8、上海総合+15高、3,213(亜州リサーチより抜粋) ・貸出金利の引き下げが期待される流れとなった。 ・中国大手銀行は6/8、人民元建て預金金利を一斉に引き下げた。預金金利が引き下げられれば、銀行の資金調達コストは低下し、最終的に貸出金利の引き下げにつながる可能性がある。一部の外電はこれより先に、中国当局が大型商業銀行に対し、預金金利の引き下げを再び要請した模様、と報じていた。 ・海外の金利高や、人民元安の進行などを不安視して、指数は小安く推移する場面がみられたものの、後場途中から上昇の勢いが増した。 ・業種別では、銀行が相場を牽引し、不動産もしっかり、エネルギーも高い。半面、ITハイテクが冴えず、医薬品・自動車・軍事関連が売られた。
5)6/9、上海総合+17高、3,231(亜州リサーチより抜粋) ・中国経済対策への期待感が持続した。 ・「中国景気を下支えするために、中国政府は金融緩和や産業支援を進める」との観測が高まっている。中国商務部が6/8、自動車製品の全国販促活動を6〜12月に実施すると発表し、幅広い活動を100都市余りで実施すると説明したが、株式市場の上値は重い。 ・朝方公表された5月中国物価統計では、消費者物価指数(CPI)が前年同月比+0.2%、市場予想と一致したものの、企業活動の目安となる生産者物価指数(CPI)は▲4.6%となり、下落率は市場予想▲4.3%を上回った。国内経済の持ち直しが遅れると危惧され、指数は安く推移する場面も見られた。 ・業種別では、自動車の上げが目立ち、ハイテクも高く、医薬品もしっかり。半面、金融は冴えず、素材・酒造も売られた。
●2 .中国恒大、債券再編が難航、巨額債務の返済めど立たず(時事通信)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/5、日経平均+693円高、32,217円(日経新聞より抜粋) ・上げ幅は今年最大、32,000円台回復は1990年7月以来で、バブル経済崩壊後の高値を付けた。 ・米債務上限問題を巡る懸念の払拭などを支援材料に、東京市場では海外勢とみられる株価先物への買いが断続的に入り、現物株にも波及した。日経平均は大引けにかけて、上げ幅を拡大し、この日の高値で引けた。 ・外国為替市場では1ドル=140円台まで円安・ドル高が進み、輸出採算が改善するとの見方から自動車や機械株などへの買いが目立った。 ・ファストリなど主力株が大きく上昇し、相場を押し上げた。東エレク・アドテストは朝方から売り優勢だったが、相場の上昇とともに次第に下げ渋り、上げに転じた。ファナック・信越化学・安川電・エーザイ・アステラスも買われた。2)6/6、日経平均+289円高、32,506円(日経新聞より抜粋) ・東京市場の日経平均は4日続伸、1990年以来およそ33年ぶりの高値を更新した。海外短期筋の先物への買いが日経平均を押し上げた。日本株の根強い先高観を背景に、海外短期筋の先物買いが日経平均を上げた。 ・市場では、今週末の株式先物6月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ思惑的な買いが入ったとの見方もあった。 ・日経平均は今日の相場下落を見込んだ売りで一時▲280円超下げる場面があったが下げ渋ったため、売り方の買い戻しで相場上昇を加速させた面もあった。 ・三菱商事・三井物産が年初高値を更新し、東エレク・ダイキンも買われた。半面、アドテスト・オリンパス・太陽誘電が下落した。
3)6/7、日経平均▲593円安、31,913円(日経新聞より抜粋) ・東京市場は5営業日ぶりに大幅反落、今年に入って2番目の下げ幅を記録した。朝方は、買いが先行して+200円超上げる場面があったが、その後は高値警戒感から利益確定目的の売りが優勢となった。 ・株価指数先物が主導した不安定な相場展開が続き、日中の値幅は(高値と安値の差)は今年最大の794円となった。 ・日銀の植田和夫総裁が6/7の衆議院財務金融委員会で、日銀が保有するETF(上場投資信託)の処分について「物価安定の目標の実現が近づいたら具体論について金融政策決定会合で議論し、適切に情報発信をしたい」と述べた。その発言を受け、日経平均は急速に下げ幅を広げる場面があった。市場では、総裁発言にアルゴリズム取引が反応して先物売りが膨らんだとの観測が出た。日経平均はその後、いったんは値を戻したが、大引けにかけて、じり安になる展開となった。株価先物の6月特別清算(SQ)算出に絡んだ思惑的な売買も活発になった。 ・東エレク・アドテスト・ダイキン・第一三共・ソニーが下落した。一方、スズキ・シャープ・川重・住友重が上昇した。
4)6/8、日経平均▲272円安、31,641円(日経新聞より抜粋) ・足元の急ピッチな上昇を受け、前日に引き続き短期的な過熱感を懸念した売りに押されたが、押し目買いが入り下げ渋った。 ・シチズン・HOYA・太陽誘電が下げ、エーザイ・川崎汽船・東電が上げた。
5)6/9、日経平均+623円高、32,265円(日経新聞より抜粋) ・株式先物6月物の特別清算指数(SQ)の算出は無難に通過、日本株は大幅上昇。米国の金融引締め長期化への警戒感が後退し、前日の米国株上昇が支えとなる。 ・日経平均は前日までの2日間で▲860円下げていたが、大きく反発した。過去の傾向から「SQ後に相場が調整すると見ていた向きが多かったが、想定外に下げず、買い戻しが優勢となった」との声があった。 ・ダイキン・第一三共・NTTデータが上昇し、NTN・積ハウス・太陽誘電が下落。
●2 .日本株:「掉尾の一振り」の「反動安」が6月中旬以降に炸裂か? 注視したい
1)短期筋の外国人は、株式先物で5/31に売り転換し、6/8までの7日連続で売り越し ・ただ、外国証券別にみると、買いの大口もあるが、それを上回る大量売りで、総合計で「売り越し」となっている。もっとも、6/9の外国人は若干の買い転換。 外国人の株式先物枚数の差し引き合計の推移(「投資の森」より) 5/31 6/1 6/2 6/5 6/6 6/7 6/8 6/9 ▲8,531枚売 ▲1,031 ▲6,352 ▲21,719 ▲117,195 ▲14,549 ▲11,630 +2,776 なお、外国人売りに対して、買い向かったのが年金・個人などの「国内勢」だ。個人(信用)は最近になって買いに転換した。・日経平均の動き 5/31 6/1 6/2 6/5 6/6 6/7 6/8 6/9 ▲440円安 +260円高 +376 +693 +289 ▲593 ▲272 +623 ・この5/31〜6/9間の合計は、外人の先物枚数は▲178,231枚の「売り」に対して、日経平均は「+936円高」である。つまり、短期筋外国人の先物の大量売りを吸収し、現物株の買いで優勢となった。日本株の「現物株」の買いエネルギーが大きかったということを物語っている。 ・ただ、短期筋外国人の先物動向は「相場の先読み」を示唆したケースが過去に多く見られるため、その動向に注目したい。
2)買い向かった国内勢は、「売り方の買い戻し」の可能性が高い ・5/31〜6/9の期間での日経平均の急上昇は、空売り比率が薄いなかでの上昇であり売り方の「買い戻し」とみられる。 ・短期筋の海外投資家は (1) 欧州の高インフレと景気後退で運用難となった欧州資金 (2) 原油高で潤ったオイルマネー (3) 高度成長で有り余る資金を抱えたアジア資金 (4) 中国から引き揚げた投資資金 など膨大な運用資金を日本株市場に雪崩を打ったように投入した。
・1月第1週〜5月第5週(1/4〜6/2)の投資者別売買動向 海外投資家 +6兆9,021億円買い : 先物+現物株合計 年金 ▲3兆5,085億円売り : 日本は年金・個人(現金)が売り 個人(現金) ▲3兆1,503億円売り で対抗した
・日本は先進国では唯一の低金利を継続しており、高金利の欧米と違って金利上昇によるリスクが極めて低い。植田和夫日銀総裁の「大規模金融緩和」の恩恵を、真っ先に大きく享受したのは、短期筋の海外投資家である。植田総裁の低金利継続で「円安が進行」、家計は輸入価格上昇で国民が苦しみ同時に国富の流出を招く政策を継続するのは、いかがなものであろうか。
3)どうやら「勝負が終わった」可能性 ・この2週間の個人(信用)の買いが急増している。この状況をみると、買い優勢が続くと見た「新規の買い」が入っている模様。 ・今まで売り仕掛けをしていた陣営による「損切り覚悟の買い戻し」エネルギーが日経平均の急騰を演じたかもしれない。それは短期筋の外国人にとって、絶好の「利益確定売り」のチャンスである。 ・それが「5/31〜6/8」の短期筋の海外投資家の「株式先物の大量売り」に現れている可能性がある。 ・海外投資家の現物株の純投資額も増加幅が「減少傾向」を示している。 海外投資家の「先物・現物株投資額」の推移(週間) 株式先物 現物株 合計(週間) 4月第2週 +5,408億円 +1兆0,495億円 +1兆5,903億円買い 5月第3週 +5,508 + 7,477 +1兆2,985 5月第5週 ▲1,920 + 5,352 + 3,432 ・どうやら「勝負は終わった」可能性がある。特に、短期筋の海外投資家などによる海外マネーの日本株への流入が縮小傾向にある。国内勢の売り方の「買い戻す」行為は、「白旗を掲げた」ようなものだ。短期筋の海外投資家による上げ相場は、「撃ち方、止め」となり、今後、短期筋の外国人による「買い手仕舞いによる利益確定売り」という構図が浮かんでくる。
4)NYダウの6/2の+701ドル高、日経平均の6/5の+693円高と6/9の+623円高が、この上昇相場の「掉尾の一振り」になるかもしれない。
5)買戻しに転じた売り方勢力も、買い戻しを止め、再度売り転換する確率が高い。 ・大きな局面変化が訪れるきっかけになる可能性がある。 ・危惧される世界の経済情勢 (1) 欧州は景気後退が鮮明になりつつある。 (2)中国も政治がメインとなり、人口減少に転換し、経済は芳しくない。 (3) 米国も高インフレ定着と金利の高止まりの定着が懸念される。 (4)日本は貿易立国であり、世界経済後退の影響を強く受ける。 ・先進国の株価は高値圏にあり、自律調整に警戒する局面が出てこよう。 ・外国人買いに追随してきた国内証券会社の自己部門の買い残高は、+2.6 兆円超と極めて巨額なまでに膨らんでいる。 国内証券会社(自己部門)の売・買残高の推移 1月第1週 ▲ 3,071億円売り残 5月第5週 +2兆6,592億円買い残 : 1 月1週比+2兆9,663億円増 日本株が崩れ始めたら、証券会社は一気呵成に売り転換してくると思われる。短期筋の外国人の市場からの撤退は、一方的な売り手仕舞いではなく、買いも入れながらの一貫した撤収となろう。ただ、国内証券(自己部門)の買い残縮小に伴う負の影響を考慮する必要があり、今後の動向を注視したい。
●3 .総務省発表の4月家計調査で、実質消費▲4.4%減少、2カ月連続の減少(NHK)
1)減少は、携帯電話などを含む通信が▲8.3%減、予備校など補修教育▲28.9%減。 2)増加は、旅行など教育娯楽が+13.1%増、鉄道・航空など交通が+27.4%増と外出需要が増えた。■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7033 マネジメントソリューションズ 業績好調。 ・7723 オリンパス 業績回復期待。 ・9743 丹青社 業績好調。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou