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 月曜日に控える今回のテストマッチでは、ドイツ代表は「1000」の文字を入れた特別ユニフォームを着用。そしてその着用したユニフォームはオークションへとかけられ、その売り上げは対戦するウクライナへの支援金として、ドイツサッカー連盟財団を通じ寄付される予定となっている。さらに「試合発表以降に発生した収益から発生した費用を差し引いた全額を、代表チームの財団とウクライナサッカー協会が協議して、ウクライナのプロジェクトや取り組みに寄付する」とのこと。試合を担当するレフェリーチームも、この活動に賛同しているという。その総額だけでも4,000ユーロ弱となるようだ。

 「非常に困難な状況にある国と対戦する、その意味の大きさを理解している」と語ったハンジ・フリック監督だが、それと同時に来夏に控える自国開催のユーロのに向けて、この試合での内容も選手たちには求めており「力の限りを尽くすことを期待し、それを伝えている。来夏の先発に立つための戦いは始まっているのだ」と強調。とりわけニクラス・ズーレの招集が見送られることが話題となったが、「ユーロまでちょうど1年、全ての選手がベストコンディションにあることが大前提となる。そしてそれが土台となりそれができてはじめて大きな成功を手にすることができるものだ」と語った。

 その危機感はズーレとともに代表入りを争うマティアス・ギンターの口からも発生られており、前回の3月の代表戦では「ベルギー戦で皆は良い感じではあったけど、それも開始25分からまた消えてしまったんだ。だからこそ今回の3試合をうまく活かしていくということが、僕たちにとって非常に重要なものになるんだよ。ユーロは1年後なんだ」とキッカーに対してコメント。そして古巣フライブルクに戻ってのこの1年を「とても内面性や姿勢の部分でプラスになった1年になったと思うし、実際に高い評価も受けている」と胸をはる。今冬にGL敗退を喫したW杯をベンチで見守るしかなかったギンターとしては、それをドイツ代表でも発揮することが「僕の目標だ」と宣言。「変に聞こえるかもしれないけど、フライブルク復帰がキャリア最大の重圧だったんだ。復帰の選手にかかる期待値は本当に大きいもの」という壁を乗り越えた自信を胸にこれから攻勢をかけていきたい。

ヴェルナー欠場、ギュンドアンとゴセンスは水曜合流

 また状態のみならず負傷や体調面についてもフリック監督は慎重な姿勢をみせており、足首を負傷し、ドイツ杯決勝はそれでもプレーしたが、今回の試合でティモ・ヴェルナーが起用を見送られる理由にもなっている。「足首に深刻な問題を抱えていたし、これからも我々は彼とともに日々その経過を見守っていくよ」とフリック監督。また土曜日にCL決勝を終えたばかりのイルカイ・ギュンドアン、そしてロビン・ゴセンスもしばし休養を取った後に、水曜日から代表チームへと合流する予定だ。「中盤には多くの選択肢があるし、常に目を向け続けなくてはならないことは嬉しい悩みだよ。これからの試合で新たな発見もあるだろう」と指揮官。特にギュンドアンは優勝という勢いもチームにもたらすことになり、「数週間前に三冠達成の年になるんじゃないかと話していた。イルカイはここぞという場面で常に活躍をみせてきたよね」と賛辞をおくっている。

フュルクルーク、ドイツ代表記録に王手

 今回の代表戦を特別な思いで迎えているのは、ユース時代から過ごしてきた本拠地ヴェーザー・シュタディオンのピッチに立つことになる、ニクラス・フュルクルークだ。1年前は2部からの昇格を果たしたばかりのベテランFWは、30歳になった今季にドイツ代表、そしてW杯出場を果たすまでに飛躍。さらにブンデス得点王にも輝く最高のシーズンとなった。「チームバスでここを通る時に、僕の胸にこの鷲の腕章があること。それは特別なことさ」とフュルクルーク。すでに先発も確実で、仮に得点を決めるとドイツ代表として五人目となる5試合連続の得点タイ記録保持者に(6試合連続はいない)。

フュルクルーク、「特別なブレーメン」での最後の試合に?

ただその飛躍ぶりとともに去就も注目され、「自分だけではこれは決められないし、ただブレーメンは常に特別だ」としても、これがそのブレーメンでの”特別な最後”となるかもしれない。ただそんな中でのナビー・ケイタ獲得は「信じられないほど強烈で、ブレーメンからの良いシグナルになるよね」との考えも示している。「ただ今はウクライナの少年たちに素晴らしい試合を見てもらい、少しでも楽しんでもらえればというのが僕の願いなんだ。人々はすぐに慣れてしまうもんで、以前ほどの注目を集めているわけではないかもしれないけど、でも最近のあの出来事(カホフカダムの破壊による洪水被害)もはや狂気の沙汰だ」