日本唯一「歩ける高速」? 「触れる緑のキロポスト」も 東京の一般道が“NEXCO”の理由
一般道の橋のたもとになぜか「緑の0キロポスト」――そんな風景がSNSで話題に。緑のキロポストは高速道路などで使われるもので、この一般道は確かに“NEXCO東日本”が管理しています。なぜこうなったのでしょうか。
「歩ける“高速”」「触れる緑のキロポスト」その正体は
「一見、何の変哲もない道路の写真。だが気付く人は気付く、この風景の特異さに・・・」「おそらく、国内でも数ヶ所しかない『触れられる』緑キロポスト」、そのようなコメントとともに、SNSへ2023年6月4日に投稿された写真が話題になっています。
国道14号の一之江橋にある緑の0キロポスト(乗りものニュース編集部撮影)。
橋のたもとに緑の0キロポストが置かれているのですが、そこは一般道の歩道の脇。その0キロポストの近くには「京葉道路 終点」「TOLL ROAD END」と書かれた看板も。この風景に「ここって高速道路?一般道?」「いつか歩ける高速見に行こうw」といったコメントも寄せられています。
この場所は東京都江戸川区、国道14号「京葉道路」の新中川に架かる一之江橋の西詰です。ここには管理境界を示す看板も置かれており、西側を国土交通省が、東側をNEXCO東日本が管理していると明記されています。もちろん“歩ける高速”というわけではなく、正真正銘の一般道です。
京葉道路という名は、国道14号の通称のほか、首都高7号小松川線と一体に千葉方面へ延びる、NEXCOの高速道路ネットワークに組み込まれた有料道路としての名称があります。有料道の首都高〜京葉道路は、この橋の南側で並走しています。
しかし、一般国道14号のうち一之江橋から東の都内区間も、歴史的経緯からNEXCO東日本が管理しているのです。具体的には、ここから江戸川の土手まで(都道451号交点まで)の車道部分で、歩道は江戸川区が管理しています。
その沿道は、住宅やロードサイド店、そして畑が点在するという典型的なバイパス道路の風景で、断続的に設置されている緑文字のキロポストだけが、NEXCOの存在を匂わせるものといえるでしょう。
NEXCOがなぜ一般道を管理しているのか
しかしながら、(有料の)京葉道路の開通当初、この一般国道14号の一部区間も、有料道路の一部だったのです。
有料の京葉道路は1960(昭和35)年、日本道路公団が一之江出入口〜船橋IC間で開通し、翌年に自動車専用道の指定を受ています。しかし平面交差の多さもあり渋滞するようになると、首都高7号線との接続が図られ、1971(昭和46)年に両者が高架でつながりました。
これに前後して、一之江橋から江戸川(篠崎)までの都内区間は一般道になっています。
この、かつて有料道路だった地上の国道14号とは別に、首都高から高架で続く有料道路にも、0から始まるNEXCOのキロポストが設置されています。
江戸川大橋の拡張工事の様子。首都高との接続に合わせて6車線化された(画像:NEXCO東日本)。
0キロポストが置かれている首都高との境目「谷河内(やごうち)接続点」は、地上の国道14号に高架道路が合流してくる箇所付近から200mほど東にあります。ここを境に橋桁の構造が変わるほか、本線上の「ここから京葉道路」との看板を地上からでも確認できます。