フロントもリアも大流行? クルマの「横長ライト」増えた理由 進化の一方で法令の“壁”も
クルマの端から端まで一本線を描くような「横長のライト」が増加し、一種の流行の様相を呈しています。リアランプだけでなくフロントでも増えてきましたが、その次の姿も見据え技術が進化しているようです。
デイライトがだんだん長〜く そんなに高くない?
クルマのリアランプは、その車種のアイコンとも言える要素の一つですが、近年、端から端まで1本の長い筋として光るランプが増えています。この傾向がさらにフロントにも波及しており、日中も常時点灯する「デイライト」(昼間走行灯)で、同じく横長のものが増加。たとえば新型クラウンは、フロントもリアも、横長の一本筋が光ります。
横一文字のデイライトを採用している新型クラウン(画像:トヨタ)。
2023年5月24日から26日までパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー」展でも、このような横長ライトのユニットがいくつか展示されていました。
市光工業のブースで、「こういう横長のランプが流行りなんですか?」と聞くと、「そうです。車体をワイドに見せられる点が好まれます」とのこと。
今回の市光工業ブースには、ヒョンデのミニバン「スターゲイザー」(韓国名スターリア)に採用された横に細長いデイライトのユニットもありました。同車のものは、ヘッドライトやグリルから独立し、ボディのなかに1本筋が入るように配置されています。
デイライトといえば、欧州車ではヘッドライトの上などに複数の電球を線状に配置したものも見られますが、この細長いデイライトは意外にも「電球の数は少なく、主に内部で光を反射させて一本筋を構成しています」とのこと。
他に展示されていたランプユニット類も同様だそうです。電球が少ないのでコストを抑えつつ、柔軟なデザインができる点も、横長ライトが流行っている要因なのでしょう。
ライトは人とのコミュニケーションツールに…現状ムリ?
また、最近のクルマではヘッドランプ部がボディと一体化し、一見するとそれとわからないような配置になっている車種も見られます。これもEV時代において未来感を演出する表現のひとつです。
小糸製作所のブースでは、クルマが歩行者を検知すると語りかけるように光るなど、ライトが人とのコミュニケーションツールとして様々な光り方をする「アニメーションランプ」なるものもありました。同様に他メーカーでも、クルマのフロントに配置されたライト類で、たとえばEVの充電状況など様々な情報を、外にいるドライバーや周囲へ知らせるといった技術内容の展示が、人々の目を引いていました。
人とくるまのテクノロジー展2023YOKOHAMAの小糸製作所ブースで展示されていたアニメーションランプ(乗りものニュース編集部撮影)。
ただ、こうしたライトも日本では保安基準の関係から、現状では機能を抑制せざるを得ないようです。というのも、法令で「これは何のためのライトか」などといった基準が定まっていないためです。
たとえばデイライトは欧州車などで先行していましたが、日本で2016年に保安基準で「昼間走行灯」として明文化されるまで、輸入車では日本向けに機能を無効化あるいは減灯するケースがありました。クルマのライトはさらに進化しそうですが、こうした新しい機能に対応した法令も整備していく必要がありそうです。