2023年6月1日(水)、Amazonの従業員数百人が同社のリモートワーク方針や二酸化炭素排出量削減への取り組み、過去最大規模の人員削減などに対する抗議活動を実施しました。この抗議活動の一環として、一部の従業員はAmazonから退職しています。

Amazon Employees Walk Out to Protest Climate, Return to Office Policy - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-05-31/amazon-workers-walk-out-to-protest-climate-office-return-policy



Amazon workers walk out amid layoffs, citing concerns for climate - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/technology/2023/05/31/amazon-walkout-climate-strike/

Amazonの労働団体であるAmazon Employees for Climate Justiceと、Amazonが社員に通達したリモートワーク終了に関するアナウンスに反対する非公式の従業員グループのメンバーが、同社のシアトルにある本社前に集まり抗議活動を実施しました。抗議に参加した従業員は、Amazonが2023年に入って実施した大規模な人員削減や、二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みなどで、会社が正しい方向に進んでいるのか疑問に感じているため抗議を実施したとThe Washington Postは報じています。なお、The Washington PostはAmazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏が買収した日刊紙です。

The Washington Postは抗議に参加した匿名の従業員からのコメントとして、「士気の低さは間違いなく懸念されます」や「現在、Amazon社内ではリーダーシップに対する不信感が非常に高まっています」といったものを紹介しています。

主催者によると、シアトル本社前で行われた抗議活動には約1000人の従業員が参加し、さらに1000人ほどの従業員が全世界で抗議活動を実施することを約束してくれたと語りました。なお、Amazonは全世界に35万人以上の従業員を抱えており、そのうち6万5000人程がシアトル近郊に拠点を置いており、The Washington Postは「シアトル本社前で実施された抗議活動には300人程の従業員が参加したと推定されています」と報じています。

以下の動画はシアトル本社前で行われた抗議活動の様子を撮影したもの。



抗議活動を企画したAmazon Employees For Climate Justiceも抗議の様子をツイートしています。





抗議活動に参加した従業員は、それぞれの主張を書いた看板を手に抗議活動に参加。





さらに別視点から撮影された動画。





以下の動画では抗議活動に警戒する警察の姿もあります。





抗議メッセージが書かれた看板が大量に用意されています。





Amazonで広報担当を務めるブラッド・グラッサー氏は、「Amazonは2040年までに純炭素ゼロという目標の達成に向け取り組みを進めています」「Amazonは2025年までに100%再生可能エネルギーを達成することに向けて順調に進んでおり、目標を達成するために社内外の発明や協力を進めながら多額の投資を継続していきます」と語っています。

Amazonの従業員は2019年に、気候変動への取り組みの一環として、同社に二酸化炭素排出量に関するデータを公開するように要求しました。その後、Amazonは再生可能エネルギーと二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すという公約を発表。しかし、一部の従業員は「この公約からAmazonが逸脱しているように感じる」として、今回の抗議活動を実施した模様。実際、Amazonは2030年までに出荷品の半分の二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを約束する文言をウェブサイトから削除しているそうです。

なお、Amazonは問題の文言をウェブサイト上から削除した理由を「配送時に特化した公約ではなく、Amazonの事業全体における二酸化炭素排出量をゼロにするための公約に代えるためです」と説明しています。