by Robert Occhialini

GoogleがチャットAIの「Bard」を検索エンジンに組み込むことを発表したり、MicrosoftがGPT-4を用いた検索エンジンAIの「Bing AI Chat」をリリースしたりと、IT大手各社はAIを組み込んだ検索システムの構築に向けてしのぎを削っています。さらに、Amazonが出した求人情報から、同社が商品の検索にAIを導入しようとしていることが分かりました。

Amazon (AMZN) Plans to Add ChatGPT-Style Search to Its Online Store - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-05-15/amazon-plans-to-add-chatgpt-style-search-to-its-online-store

Amazon job listings hint at ChatGPT-like conversational AI for online store | VentureBeat

https://venturebeat.com/ai/amazon-job-listings-hint-at-chatgpt-like-conversational-ai-for-online-store/

Amazon is building an AI-powered ‘conversational experience’ for search - The Verge

https://www.theverge.com/2023/5/15/23724357/amazon-ai-powered-conversational-experience-search

海外メディアのBloombergは2023年5月16日に、Amazonがシニアソフトウェア開発エンジニアを募集する求人情報を出しており、そこに「インタラクティブな会話体験を備えたAmazon検索の再構築」を目指すと書かれていたと報じました。このシステムが実現すれば、AmazonユーザーはAIとの会話を通じて質問の回答を探したり、商品を比較したり、パーソナライズされた提案を受けたりできるようになるとされています。



Bloombergが確認した求人情報の中で、Amazonは「このビジョンを実現し、すぐに顧客に提供できるよう、Amazonの中でも最も優秀な人材を探しています。これは、検索にとっての一世代に一度の変革となるでしょう」と述べて、Amazonの新しいAI検索システムが1990年代におけるワールド・ワイド・ウェブの登場やMosaicブラウザのリリース、Googleの創業に並ぶインターネットの歴史の金字塔になると位置づけました。

記事作成時点では削除されている募集ページのキャッシュはこのリンクから見ることが可能です。

求人では、「ビジネスアプリケーション向けの機械学習モデルを構築した経験3年以上」「博士号または修士号および6年以上の応用研究経験」「C/C++、Python、Java、Perlなどのプログラミング言語の知識やJava、C++、Python、または関連言語でのプログラミング経験」などが「基本的な応募資格」として挙げられているほか、機械学習モデルを使用した実務経験があることが望ましいと案内されています。

さらに、Amazonは複数の求人を出しており、別の募集では「極めて大規模な次世代ディープラーニング技術の使用を通じて検索の在り方を再構築し、再発明する新しいAIファーストのイニシアチブの一環」になるとの記載があったとのこと。



Amazonの広報担当者は、求人情報についてのBloombergのコメント要求を拒否し、「私たちはすべての事業において、ジェネレーティブAIに大きく投資しています」と述べました。

Amazonはかつて、AIアシスタントのAlexaをショッピングに導入したことで、チャットAIの分野で先陣を切ったIT企業の一角となりました。しかし、Alexaが思うようにユーザーに商品を売り込むことができなかったことから、Alexaは社内で「巨大な失敗」と見なされるようになり、開発チームも大規模な人員整理のあおりを受けて縮小されています。

Amazon Alexaは「巨大な失敗」と社員が吐露、損失は年間1兆4000億円のペースに - GIGAZINE



また、競合他社の動向もAmazonの焦りに拍車をかけています。Googleは、2023年5月のGoogle I/O 2023で発表した新しいジェネレーティブAI技術の「Search Generative Experience」を使って、AIにGoogleショッピングでの買い物を提案させる機能を打ち出しました。

今回のAmazonの求人を取り上げたIT系ニュースサイト・The Vergeは「ショッピングの分野で負けるわけにはいかないAmazonが、独自のチャットAIをすぐにでも導入したいと思うのは当然のことです。近い将来、Amazonで『会話型ショッピング』が展開される可能性は極めて高いと思われるので、Amazonでの検索体験がより複雑なことになる覚悟はしておいたほうがいいでしょう。Googleがそうしたように、Amazonがこの新しい機能をオプションにしてくれることを願っています」とコメントしました。