東京駅八重洲口付近の地下には首都高の八重洲トンネルが通っていますが、このトンネルから直接、東京駅に行ける通路が存在します。その「八重洲乗客降り口」を使ってみました。

東京駅の真下からストレートイン

 東京駅八重洲口付近の地下に、首都高八重洲線の八重洲トンネルが通っています。クルマで東京駅に人を送り届ける際、このトンネルから直接降ろせれば便利です。それが可能な施設が「八重洲乗客降り口」です。


八重洲トンネルの入口(斎藤雅道撮影)。

 八重洲乗客降り口は、八重洲線の北向き(5号池袋線方面)、南向き(1号羽田線方面)の両方に、それぞれ出口が設けられています。八重洲地下駐車場に通じる八重洲出口へ分岐すると、プラットホームのようなものが見えてきます。

 ここはタクシー乗り場のような構造になっていますが、人を降ろすことのみが許されており、乗せることはできません。スペースも限られているので、「降車後は速やかに車両を移動してください」という張り紙もあります。

 降り口すぐ近くにはドアがあり、その先の階段を登ると、東京駅八重洲口に隣接する八重洲地下街に続いています。なお、ドアは内側からは開けられないようになっているので注意が必要です。

 ここまで乗せてもらったタクシー運転手さんに話を聞くと「都内でタクシーを20年乗っていて、今まで2回くらいしかそういうお客さんに会ったことがないです」とのこと。

 過去2組のお客さんが同降り口を希望した理由は、新幹線の利用だったそうです。終電もしくは目的の時間に早くたどり着きたいということで、一般道や鉄道ではなく、首都高経由で八重洲乗客降り口に行くという判断になったのではないかと話します。確かに、八重洲乗客降り口を使うと新幹線の乗り場が近い八重洲口には便利なので、渋滞していない限りは時間短縮になりそうです。

 ただ、タクシーを運転している側としては注意点があるとのこと、まず、ここで降りると高速道路の料金が確定していない状態なので、調べた金額を手動で入力する必要が出てくるそうです。それを忘れると高速料金は自腹になってしまいます。

 さらに、入るのに2.1mまでの高さ制限があるため、ミニバンタイプのタクシーだと引っかかる可能性を考えて断ることもあるらしいです。さらには、入口がよく分からないため、かなり集中力を使うとか。

 しかし、10年に1回あるかないかの事例ということで、そのタクシー運転手さんは「頼まれたときにどうにかするしかないですよね」と話していました。