東京、神奈川の京浜地区で、「一国(いちこく)」と呼ばれている国道があります。国道1号のことかと思いきや、実は別の道路で、国道1号のことは「にこく」と呼ぶとか。何に由来する呼び方なのでしょうか。

国道1号が「にこく」って!?

 日本には国道が全部で459路線あり、その筆頭が東京と大阪を結ぶ国道1号です。横浜や静岡、浜松、名古屋、四日市、大津、京都などの主要都市を結んでいますが、その性格や路線としての位置づけは地域によっても異なります。

 ゆえに、その呼び方も単なる「1号(いちごう)」や「1号線(いちごうせん)」から、「国一(こくいち)」「一国(いちこく)」などと様々で、中には「ルート1(るーといち)」と呼ぶ人もいるそう。また、大阪市内では「曽根崎通り」という別称で呼ばれるパターンもあるようです。
 
 そういったなか、主に神奈川県民の中には、国道1号のことを「にこく」と呼ぶ人が一定数いるとのこと。なぜそのようになったのでしょうか。


東京都港区にある札ノ辻交差点。国道15号、いわゆる「第一京浜」が通っている(画像:写真AC)。

 理由は、東京と横浜のあいだで国道1号とは別に「一国(いちこく)」と呼ばれる道路があるからです。この道路は国道15号のこと。東京の日本橋を起点とし、品川駅前や川崎市内を経て、横浜市神奈川区の青木橋交差点に至る国道です。

 一方、国道1号も、15号より山側を通る形で京浜間を縦断しています。その理由について、国土交通省の関係者は次のように説明しました。

「国道15号は通りの名前を『第一京浜』といい、これはかつて『第一京浜国道』と呼ばれていたことに由来します。『一国』とは、国道番号に基づく呼び名ではなく、この『第一京浜国道』を略したものだと思います。なお、(京浜地区における)国道1号の通りの名前は『第二京浜』です」

 要するに、国道15号はかつて国道1号の一部で、現在の国道1号「第二京浜」は、第一京浜国道のバイパス「第二京浜国道」として建設されたものだからとか。そのため、京浜地区では、国道1号を前出の通り「にこく」と呼ぶことがあるそう。

 そのためか、インターネット上では、タクシーに乗った際に伝え間違いを防ぐため「一国」とは言わないようにしている、といった意見も見受けられました。