JR渋谷駅の新南口の橋上駅舎と、線路西側の桜丘エリアをむすぶ通路の建設が進んでいます。長らく不便だった渋谷駅南側の東西移動は、利便性が飛躍的に向上します。

工事着々と進行中

 2023年4月現在、渋谷駅周辺の再開発は、まだまだ盛んに続いています。東急百貨店南館も上半分の解体がほぼ完了し、そこから「渋谷スクランブルスクエアII期」として、JR渋谷駅を丸々埋め尽くす巨大な東西自由通路が出来上がろうとしています。また首都高より南側の桜丘エリアでも、再開発は佳境を迎えています。


建設が進む桜丘〜新南口の空中通路(乗りものニュース編集部撮影)。

 その脇で、渋谷の新たな東西軸として期待されているのが、JR渋谷駅の新南口駅舎から「西側へ伸びる」通路です。これまで首都高のある玉川通り以南は山手線をまたぐ移動がろくにできず、約600m南の猿楽橋まで「東西連絡の不毛地帯」となっていました。

 現在、玉川通りから南西の線路沿いに、くさび状の細長い高層複合ビル「Shibuya Sakura Stage」が誕生します。長らく下町風情だった渋谷駅の南西「桜丘」地区は一変し、駅前機能の一部を担う重要な街区に生まれ変わります。そして、駅からビルヘの直結路として、複数の東西自由通路が設けられます。その南端に位置するのが、新南口からつながる通路です。

 1年前の段階では、支柱とわずかな部材があるのみだったこの通路は、今やほぼ完成形。新南口の駅舎にくっつき、隔てる壁が取り払われるのを待っています。

 もう1本の東西自由通路は、渋谷ストリーム北側へつながります。京王〜JRをむすぶデッキに匹敵する太い通路で、ストリーム側で階段を下りると、南東エリア(渋谷区東)に抜けます。このあたりは従来、新南口がメインの駅舎だった場所。将来的には、JR渋谷駅の中央の東西自由通路を介して、駅の東西南北一帯がむすばれることとなります。

「Shibuya Sakura Stage」の街びらきは2024年夏の予定。それにあわせて東西通路も順次開通となる見込みです。

 山手線をはじめとする渋谷駅の中心から、旧埼京線ホームを介してつながり「駅1つ分南に離れている」新南口。2020年6月に埼京線ホームが山手線ホームと横並びの現在地に移設されたのち、旧ホームは徐々に解体が進みました。いまや新南口より南側は跡形も無くなっており、末端の機械室部分だけが残されています。ホームすら除去されたなか支柱は立ったまま、「しぶや」という駅名看板がむなしく名残をとどめています。