首都圏では大型のバイパス事業、国道254号「和光富士見バイパス」がまもなく部分開通します。外環道を越え、東京へ直結する区間の事業も今後本格化。ただ未開通部のうちJR線との交差部は、当初から計画が大幅に変更されました。

「和光富士見バイパス」いまどうなっている?

 埼玉県が進めている国道254号「和光富士見バイパス」の事業が進捗し、まもなく部分開通を迎えます。首都圏では大型のバイパス建設事業で、東京都内までのルートについても具体化してきました。ただ、未開通部では大幅な構造変更も。2023年4月現在、どうなっているのでしょうか。


和光富士見バイパス先行開通部。未舗装の道路に歩道橋が完成している(乗りものニュース編集部撮影)。

 和光富士見バイパスは、外環道の和光北IC付近(和光市の松ノ木島交差点)から、富士見市の下南畑交差点(国道463号浦和所沢バイパス交点)までをつなぐ約6.9kmです。うち、朝霞市・志木市・富士見市にまたがる約4.3kmは未開通。下南畑交差点から北は「富士見川越バイパス」(旧富士見川越有料道路)に接続し、川越方面に通じます。東京と川越を結ぶ現道「川越街道」の抜本的なバイパスです。

 現在は下南畑交差点から南へ、県道40号さいたま東村山線までの約1.5kmで、かなり工事が進んでいます。1年前から信号機が設置されていたところもありましたが、2023年4月時点で、未舗装部分に歩道橋なども完成しており、まさに開通への準備が大詰めといった印象です。

 埼玉県の朝霞県土整備事務所によると、この区間は7月に開通予定とのこと。もともとは2020年中の予定でしたが、主に水道・ガスなどの移設工事に時間を要したといいます。

 富士見川越バイパスの行き止まりとなっている下南畑交差点は、接続する国道463号「浦和所沢バイパス」(通称うらとこ)になだれ込むクルマの車列がしばしば伸びるほか、“うらとこ”側も富士見川越バイパスへ右左折するクルマが多くボトルネックになっています。

 和光富士見バイパスの部分開通により、この交差点のオーバーパスが開通します。その先、当座の終点となるさいたま東村山線は、荒川に架かる秋ヶ瀬橋に通じています。これにより、“うらとこ”の羽根倉橋と、秋ヶ瀬橋とで荒川を越えようとするクルマの分散が図られそうです。

「武蔵野線またぐのやめます」とは? 最初からそうすれば…

 さいたま東村山線以南、志木市と朝霞市にまたがる未開通部分も工事が進んでいますが、この区間で大きな動きがありました。それは、JR武蔵野線との交差部の構造変更です。

 ここは従来、高架の武蔵野線をさらに高い高架でまたぐことが予定されていましたが、2022年、地上を行く地表式への変更が決定しました。連続する武蔵野線の橋脚と橋脚のあいだを縫うように、車道4車線と歩道2車線を通すという珍しい構造に。今年中にも都市計画変更を行います。

「地表式にすることで、歩行者や自転車もアップダウンなく通行しやすくなります」と朝霞県土整備事務所の担当者は話します。

 もともと和光富士見バイパスは全線高架で構想されたものの、地表式に変更された経緯があり、武蔵野線を高架でまたぐ計画はその“名残り”とのこと。JRと長年に渡る協議を経て、ようやく地表式に決定したといいます。

東京まで延伸します!


外環道下の起点、松ノ木島交差点。東京方面へ延伸する際は、ここも高架構造になる(乗りものニュース編集部撮影)。

 和光富士見バイパスからさらに「外環道以南」、すなわち東京方面へ延伸させる計画も「和光バイパス」の名で進んでいます。

 外環道(松ノ木島交差点)から、和光市内の「笹目通り」吹上観音前交差点までの区間も、2021年度から事業着手済み。笹目通りは東京都板橋区の高島平、新大宮バイパスから練馬区を経て環八通りに直結する道路です。

 吹上観音前から新大宮バイパスまでの区間は、東京都と連携して都市計画の策定に動いているといるとのこと。ここができれば、高島平を経て国道17号に接続し、東京都心へ通じるようになります。壮大な「川越街道」のバイパス、その全体像が見えつつある段階といえるでしょう。