米国株「予想増収率ランキング」。1位の企業は3倍近い増収率に。

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株式投資でもビジネスでも、成長企業を研究・分析するうえで入り口となる重要なデータが売上高の成長率だ。

4月17日(月)発売の『米国会社四季報』2023年春夏号では、アメリカの株式市場に上場する主要銘柄を、今期(2023年12月期など)の予想増収率が高い順にランキングしている。

ランキングの対象は同誌の掲載銘柄で、2023年3月6日時点の売上高の直近実績と今期のコンセンサス予想を比較。直近実績が1億ドル未満のものは除外した。

中国の新興EVメーカーが急浮上

まずはトップ10。目立ったのは、新型コロナウイルス感染拡大が大きな打撃となっていた「リベンジ消費」関連銘柄だ。


2位と3位に入ったカジノ大手のメルコ・リゾーツ&エンタテインメント(MLCO)とラスベガス・サンズ(LVS)は、マカオの新型コロナ規制緩和をバネに、2倍以上の増収を見込む。

5位のノルウェージャン・クルーズ・ライン・ホールディングス(NCLH)や6位のカーニバル(CCL)をはじめクルーズ船の運営会社大手も大幅増収と黒字復帰が見えてきた。

一方、半年前の2022年秋冬号でそれぞれ5位、9位だったエネルギー会社のコテラ・エナジー(CTRA)とEQT(EQT)は、原油などの価格上昇による追い風がやんで今期は一転、減収となる見通し。ランキング圏外に沈んだ。 

代わって4位に急浮上したのが中国の新興EV(電気自動車)メーカー、ニオ(NIO)だ。中国国内だけでなくアメリカ、ドイツ、イギリスにも開発・設計拠点を持ち、2018年6月にSUVの「ES8」を投入した。

2022年の販売台数は12万2486台(前年比34%増)、今2023年第1四半期(1〜3月)も前年同期比20.5%増と絶好調。今期の通期では2倍近い増収が見込まれるものの、生産コストを吸収できず赤字が続いている。

3倍近い増収率で1位となったリビアン・オートモーティブ(RIVN)は、アメリカの新興EVメーカーだ。ピックアップトラックやSUVに注力しており、2022年の販売台数は2万0332台(前年は920台)と急拡大しているが、こちらも黒字化への道筋はまだ見えていない。

7位のギットラボ(GTLB)や9位のビル・ホールディングス(BILL)、グラブ・ホールディングス(GRAB)といったソフトウェア・ITサービス業界の銘柄も直近は赤字だ。各社のIR(投資家向け広報)ページや本日4月13日に始まった「会社四季報オンライン」の米国株サービスを基に、売上高だけでなく利益や財務状況も確認してほしい。


なお、『米国会社四季報』2023年春夏号では54〜100位も掲載。カナダ発アパレルのルルレモン・アスレティカ(LULU)が47位、EV最大手級のテスラ(TSLA)が49位、「オマハの賢人」と呼ばれる投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が65位に食い込むなど、下位には著名な大型株が隠れている。

(中山 一貴 : 『米国会社四季報』編集長)