来年には本格化するかも。

混雑激化の外環道「埼玉区間」迂回路に?

 国土交通省 関東地方整備局が2023年度の事業計画を発表。今年度の道路調査の見通しとして、埼玉県の「核都市広域幹線道路(埼玉新都心線〜東北道付近)」を挙げています。事業化へ向けた計画段階評価を進めるため、概略ルートや構造の検討を進めます。


外環道の埼玉区間(乗りものニュース編集部撮影)。

 現在は「さいたま見沼」出入口で終点となっている首都高S2埼玉新都心線を東へ延伸、東北道へつなげる計画です。埼玉県南部で“東西軸”の道路が不足し混雑が激化していることから、その優先区間として近年、整備が具体的に議論されてきました。

 混雑激化の大きな要因のひとつが、2018年、外環道の千葉区間(三郷南IC〜高谷JCT)が開通したことです。これにより外環道の通行量は急増し、渋滞損失時間は1年で一気に約3.4倍まで増加。外環道や圏央道の整備により東京都心部の交通が分散された一方、外環道は特にその影響を受けており、日中の平均旅行速度が69.1km/hから49.3kmまで下がっているとのデータがあります。

「核都市広域幹線道路」はもともと、外環道と圏央道の中間に構想された環状の自動車専用道路で、1994(平成6)年に国が定めた地域高規格道路の候補路線にリストアップされました。地域の中核をなす都市として国に指定されている「業務核都市」どうしを結ぶとされています。横浜市内の首都高K7横浜北線と横浜北西線(生麦JCT〜横浜港北JCT〜横浜青葉IC)も、この構想に合致するルートとされます。

 ただ、さいたま市東側の広大な緑地空間である「見沼たんぼ」を横断することになるため、自然環境への配慮が課題とされています。現状でも見沼たんぼ内の道路は東西交通の抜け道として利用されているなど、地域の課題や道路の必要性について住民の理解を深めるための広報活動が、国や県により展開されています。

 ちなみに、2023年度は千葉県野田市から柏市にかけて国道16号を中心とする地域の混雑緩和を目的とした「千葉北西連絡道路」の概略ルートや構造についての調査も進められますが、これも一部区間が核都市広域幹線道路に合致するとされています。また核都市広域幹線道路は東京都も一部経由しますが、近年は都もその具体化に向けた陳情を行うなどしています。

 第二の外環道という性格をもつ核都市広域幹線道路、その環状道路としての骨格が、これから少しずつ見えてきそうです。なお、大宮国道事務所は、この道路を新たな“東西軸”の柱として、「首都高〜東北道」以外の区間についても検討していく構えです。