交通事故が最も多い「魔の7歳」? いいえ注意すべきはドライバー 警視庁 児童の安全確保へ初の試み
年齢別で見て最も交通事故が多いのが「7歳」、小学1年生です。交通環境に不慣れで、不意に飛び出しなどをしますが、子供ばかりが原因ではありません。警視庁がこの年齢を主対象にしたキャンペーンに乗り出します。
新入学児童に向けた警視総監の横断訓練も、入学式のタイミングで
「全国春の交通安全運動」に先駆け、警視庁が「こどもSAFETY ACTIONキャンペーン」を2023年4月15日まで展開します。全国的な交通安全運動が統一地方選で5月にずれこんだため、通学路における児童の保護や安全への誘導に重点を置き、新入学児童らの安全確保を目指します。
子どもが歩行中の事故にあった場合、運転者の責任が大きい事故がほとんどだ(中島みなみ撮影)。
4月6日、品川区立小山台(こやまだい)小学校で、警視庁による横断訓練が実施されました。新入学児童49人と保護者を、小島裕史警視総監、森澤恭子区長らが引率しながら、横断歩道の渡り方の注意点を解説するもので、通学路における新入学児童の安全確保を象徴する伝統的なイベントになっています。
入学時期に交通安全に重点を置くのは、単に入学時期だからではありません。、年齢別に細かく分析すると、7歳児の事故が全国的に最上位にあるからです。
「過去5年間(2018〜2022年)の都内歩行者人身事故を年齢別に区切ると、7歳児の事故が最も多いことを、保護者にも知っていただきたい。(5年間で)7歳の死傷者は472人あり、次いで8歳児も多い」(警視庁交通総務課)
7歳児の人身事故は、年齢人口が多い高齢者の人身事故とは違った要因が考えられます。新1年生となる7歳児は保護者の目を離れて、登下校など子どもの活動範囲が広がる一方で、交通環境に不慣れなことが事故にあいやすい原因だと考えられています。入学時期に保護者も含めて新入学児童の意識向上を図ることができれば、より直接的に事故を抑制することができます。
小島警視総監は、子どもたちにわかりやすく3点の注意点を上げました。
・横断歩道を渡る
・青信号で渡る。青点滅では渡らない
・クルマが止まっていることを確認してわたる
さらに保護者にも、事故防止のための留意点を2点にまとめました。
・通学路の危険か所を子どもといっしょにチェックして、安全確認に方法や歩き方を教えてほしい
・自転車のヘルメットを保護者がかぶって、子どもの手本になってほしい
子どもの事故は、子どもが原因でなくても、たくさん起きている
子どもの事故で思い浮かぶのは、運転者の予期しない急な飛び出しなどですが、警視庁のまとめによると、子どもばかりに原因があるとは言えないようです、
以下は2023年1〜2月における小学生の事故件数を警視庁がまとめたものです(自転車/歩行者)。
・第一当事者=(46件/4件)50件
・第二当事者=(57件/46件)103件
交通事故で最も過失が大きかった当事者を第一当事者、それより軽い過失を第二当事者として分類しています。自転車事故では第一当事者:第二当事者の割合が46:57ですから、自転車乗車の不慣れが事故原因となることがあると思います。しかし、歩行中では4:46と、小学生が大きな原因となる事故は思った以上に少ない、という現実があります。2023年は、行動制限のあった2022年より事故が増えています。
そのため警視庁は、新1年生を含めた児童と保護者だけでなく、運転者にも通学路での指導取締り強化が必要と判断。統一地方選など選挙で4月から5月にずれこんだ「春の全国交通安全運動」に先駆けて「こどもSAFETY ACTIONキャンペーン」の展開を決めました。2023年、キャンペーンとして取り組むのは初めての試みです。特に通学路での保護誘導活動、保護者といっしょになった合同パトロール、歩行者の安全確保を狙った交通違反の指導取締りを実施します。
品川区立小山台小学校であいさつした小島裕史警視総監(中島みなみ撮影)。
警視庁は運転者にも注意を促します。
「不慣れな子どもたちが大勢歩いているので、運転者にも思いやりのある慎重な運転に心がけてほしい」(交通総務課)