ド迫力離陸「ロケットスタート」通常とどう違う? 旧石垣空港の伝説、実はいまも味わえる!
静岡を拠点とするFDAが、名古屋小牧〜札幌丘珠線を開設しました。この丘珠空港は1500mしか滑走路がないことから、ここでは他の空港では見られない、迫力のある離着陸を体験できます。
滑走路1500mの丘珠空港
静岡を拠点とする航空会社、FDA(フジドリームエアラインズ)が2023年3月26日から、名古屋小牧〜札幌丘珠線を開設しています。丘珠空港は道都・札幌市内に位置するものの、1500mしか滑走路がなく、プロペラ機による運航がメインですが、FDAはジェット機を運用しています。
そのため、丘珠空港のFDA便では他の空港で見られない、迫力のある離着陸を日常的に体験できます。
丘珠空港のFDA機(乗りものニュース編集部撮影)。
通常、旅客機が十分な長さをもつ滑走路から離陸する場合は、エンジンパワーを途中まであげた状態から滑走を始め、回転数を安定させたのちに離陸推力にセットします。旅客にとっては、少し走り始めてから、エンジン音が大きくなるとともに大きな加速度を感じます。
一方、丘珠空港では最初にエンジンをフルパワーにしてから、ブレーキを解除し、一気に加速する離陸方法が用いられます。航空ファンのあいだでは「ロケットスタート」と呼ばれるこの方法は、旅客にとって、機体が停止した状態でエンジンがフルパワーまで上がるため、そのときに独特の音や振動を感じます。エンジン音と機内の振動がもっとも大きくなった途端、一気に加速。そのスリリングな感覚たるや、「ロケット」と例えられるのも納得です。
別の空港では伝説だった?「ロケットスタート」
丘珠空港にFDA季節便が就航したのは、2016年のこと。同空港へのジェット旅客機での定期便乗り入れは、FDAが初となりました。
ジェット旅客機が安全に離着陸を実行できる滑走路長の最低ラインは、一般的に1500mといわれています。国内でジェット旅客機が就航する空港の大多数では、2000m以上の滑走路が設置されており、丘珠空港のFDA便はその例外のひとつです。
丘珠空港(乗りものニュース編集部撮影)。
ちなみに、「ロケットスタート」を行っていた空港でもっとも有名だったのが、沖縄県の旧石垣空港。同空港の滑走路長も丘珠空港と同じ1500mで、2013年に新空港が供用されるまでは、この短い滑走路で日常的にボーイング737などが離着陸しており、現在でも一部航空ファンのあいだで語り草となっています。この「ロケットスタート」が、丘珠空港では味わうことができるのです。
なお、FDAの丘珠空港を発着する路線は、今回の小牧線開設で3つめ。このほか同社は、丘珠〜静岡線、松本線を運航しています。