違法採掘の8割がいなくなった?

相手は軍隊ではなく国内の反社です!

 ブラジル国防省は現地時間の2023年4月3日、60日間に及んだヤノマミシールド作戦を完了したと発表しました。同作戦は、ブラジルとベネズエラ国境付近に住む先住民、ヤノマミ族への食料と医療支援を目的として、陸海空軍共同の統合作戦として行われました。


ヤノマミ族の人々に支援物資を渡すブラジル軍(画像:ブラジル空軍)。

 ブラジル空軍の発表によると、作戦から30日が経過した3月初旬の段階で、約600人の将兵が参加し、約35万kgの食料を陸と空から40以上のヤノマミ族の村へ届けたほか、現地での健康診断や治療、重病人の搬送といった医療支援を行ったそう。飛行時間はのべ 2500時間以上に上るとのこと。

 また、作戦にはもうひとつ目的がありました。ベネズエラ国境周辺で金の違法採掘を続ける「ガリンペイロ」と呼ばれる違法採掘鉱夫と、その裏にいるといわれるマフィアの排除です。

 ガリンペイロは土地や森林を破壊し、河川汚染を引き起こすだけではなくヤノマミ族をターゲットとした襲撃事件までも多発、状況を重く見たブラジル国防省は2023年1月30日、大統領令に基づき、北部地域の上空で防空識別圏(ZIDA)を有効化し、まるで敵国の軍隊を相手する規模で対抗しました。

 作戦には、単発ターボプロップ軽攻撃機「スーパーツカノ」や早期警戒管制機であるエンブラエルE-99、R-99も投入され、地上にも臨時の司令官が作られました。

 作戦全期間での報告はまだですが、作戦開始30日の段階で既に、2機の航空機、84隻の船舶、172基の発電機、さらに多数の武器弾薬と約1万リットルの燃料が押収または破壊されたとのことです。

ブラジル法務省のフラヴィオ・ジノ法相によると、大統領令から1週間経過した2月6日の段階で、ガリンペイロの実に8割が同地から逃亡あるいは拘束されたとのことです。

 同作戦の副司令官であるマルセロ・ロレンツィーニ・ズッコ准将は「今回の結果は、陸海空軍の相乗効果の賜物であり、60日間に渡って行われた複雑な作戦のなかで我々は一貫性を保ち続けた」と評しました。