再発はダメですが、万が一の備えも必要なわけで。

ふたつの系統で構築される「国内旅客システム」

 ANA(全日空)では2023年4月3日、国内線システム不具合が発生。この影響で55便が欠航し、遅延などを含めると2万人以上が影響を受けました。発生原因は現在のところ不明で、同社の担当者は4日に行われた記者会見で「引き続き調査中です」としています。同社では、もし万が一、今後同様の事態が発生した際、どのように運航への影響を最小化するのでしょうか。


ANAの旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。

 ANAの国内旅客システムは同じ機能を持つ2つの系統(A系、B系)で構築されており、平時は1つを稼働させ、もう1つはバックアップに使用しています。A系のシステムとB系のシステムは、定期的に入れ替えて稼働させており、予約・販売・搭乗手続き・旅客への情報配信システムなどにつながってるといいます。

 3日の14時16分、今回稼働させていたA系のデータベースが停止。インターネットを通じての予約や販売、搭乗手続きなどができなくなりました。同社ではまず、状況を確認したのち、A系のデータベースを再起動を試みるも復旧しなかったそうです。

 そのため、15時頃よりB系への切り替えを開始し、15時11分頃、B系への切り替えが完了。このことで旅客への情報配信システムを除き、徐々に予約・販売・搭乗手続きシステムが復旧し、順次運航を再開したとのことです。

また起きたらどう対策するのか

 ただ、1時間近いシステムダウンの影響は大きく、羽田空港の混雑や、出発しても空港の運用時間に間に合わない可能性を踏まえ、多くの欠航が発生しました。

 これを踏まえANAでは、トラブル時の運用を見直すと発表しています。

 それは今後、B系のデータベースが停止した場合、もうひとつのシステムであるA系に速やかに切り替えるというもの。トラブルが起きた方のシステムの再起動を試す時間を省ける分、システムダウンの時間を短くできる効果が期待されると見られます。担当者によると「切り替え作業は15分程度で対応できる」とコメントしています。

 同社は「お客様および関係する皆様に多大なるご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」とコメント。再発防止策については「取りまとめ次第ご報告いたします」としています。