今すぐ提案力を磨いて勝負に出よう/INSIGHT NOW! 編集部
中途入社が普通になったとはいえ、4月になれば街には新入社員や転勤でやってきた新しい顔のビジネスパーソンがあふれかえる。
多くの企業で初任給も上がり、かつてないベースアップか実現した企業内では、これまでとは雰囲気も少しは違うのだろう。
このこれまでとは異なる雰囲気というのは、給与アップで社員のモチベーションが上がっているという側面もあるだろうが、当然、その分競争も激しくなり、同じ会社内でも大きな格差が生まれているのは容易に想像がつく。
そういう意味でも今年はエポックメイキングな年であり、ビジネスの現場での厳しさはかつてないものになるのだろう。
かつては、新人や中途入社組は、しばらくの間、OJTと称し、「まず、仕事覚えて」「雰囲気に慣れて」といったこともあっただろうが、残念ながら、どの立場であろうが同じスタートラインに立っていると思ったほうがいい。なんせ、新卒給与が先輩社員とたいして変わらないのだから。
これまでのようにうかうかしていられない。先輩社員から見てもにしても、新人とはいえ、見る目も変わる。新人だろうがなんだろうが、今すぐ提案力を磨いて勝負に出る必要があるのだ。
提案力というと、客先に行ってかっこよくプレゼンするような営業職を思い浮かべるかもしれないが、あらゆる職種で必要となるのが提案力だ。ビジネスを行っている以上、与えられた業務を粛々とこなすことも大事だが、ビジネス社会を勝ち抜いていこうと思うならば、得意領域を築き、1日も早く期待以上の成果を出すことが必要だろう。そのために必要な力のひとつが提案力だと言える。
ただし、ここでいう提案力は、その提案が通るかどうかということではない。通るか通らないかは、これまでの実績や信頼度合いに大きく左右されるからだ。まだ実績のない人にとっては、通るか通らないかよりも、まず「提案を行う」こと自体に重点を置く。
クオリティの高い提案を行うには、次の3つが必要だ。
態度コンテンツ表現力ポジティブで誠実な態度
どれだけ内容や話し方が素晴らしくても、提案者の態度が上から目線だったり、やる気や情熱が感じられなかったりした場合は、その時点でアウトになる。
この態度というのは、あらゆるビジネスシーンにおいても、最重要なヒューマンスキルだ。よく「態度に出るからすぐにわかる」と言われる人がいるが、純粋だという誉め言葉ではない。ビジネスの場面においては、いやなことや不快なことは頻繁におこる。その都度感情をあらわにしていては、仕事の内容にも影響が出る。何が起ころうと冷静に自分を律することが重要となる。
提案時も、謙虚に誠実に、相手を敬い、相手が聴いてくれる場づくりが必要だ。そのうえで、提案を受ける人が前向きに考えられるように、提案の目的や目指す姿を把握したうえで、場の状況に応じた信頼されうる態度をとる必要がある。
ニーズをもとにしたコンテンツ
提案するのだから、提案するコンテンツが主人公だ。コンテンツのクオリティの条件は都度異なるが、なによりも気にする必要があるのは、ニーズに則しているかどうかだ。
よくあるのが、「こういうのをやりたい」とソリューションありきで突き進むパターン。ソリューションというのは、ニーズと合ってはじめて成り立つものであり、ニーズが見えないままにソリューションを提案するというのは基本的にありえない。
まず必要なことは「課題は何か?」「解決したい問題は何か?」ということ。この問いへの答えがなければ、何も提案することはできない。
とはいえ、仮設としての「課題〜ソリューション」を持たなければ、話は進まないもの。誰かと話をしているときでも、「ということは、こういうことか?」と想像しながら、自分のなかで仮説を組み立てるトレーニングを積むことも、提案力の向上に効果があるだろう。
表現力
表現力のなかでも、特に意識してほしいのが、文章力だ。ビジネスの現場で相手に何かを伝えるときには、メディアは何にせよ、文章で伝えることが大半となる。
読書離れが叫ばれている昨今、残念ながら若手ビジネスパーソンの文章力は、実はそれほど高くない。文章のクオリティが低いと、高い人格と能力を備えながらも、その高さは伝わらないどころか、むしろマイナスの印象を与えてしまう。
提案資料が独り歩きすることを考えれば、よくできた文章の提案書は書き手の知性を垣間見せる。その点、誰もが好んで使う、図版が豊富ないわゆるパワポ資料は、見た目は良いがメッセージ性は高くない。ほとんどは書き手の「自己満足」に終わる。
具体的な数値や事例も提案には必要なことだ。信頼性も上がり、具体的にイメージしてもらうための武器にもなる。
提案力を磨くには、まだまだ多種多様な方向があるが、1日も早く、自分の言いたいことを積極的に提案していこう。経験が何よりの成長の糧になるのは間違いないのだから。