年度末の2023年3月、全国で多くの道路が開通しました。今年度は有料高速道路こそ新規開通はないものの、地域を変えるような無料バイパスが多数誕生しています。

2023年3月開通の道路 どのようなものが?

 年度末にあたる2023年3月は、全国で多くの道路が開通しています。今年度は、新東名や新名神といった有料高速道路こそ新規開通はないものの、地域を変えるような無料バイパスが多数誕生。いくつかピックアップします。

中部縦貫道「大野油坂道路」(福井県)


開通した大野油坂道路 大野IC〜勝原IC間(画像:福井河川国道事務所)。

・開通日:2023年3月19日
・延長:10km(大野IC〜勝原IC)

 松本から福井までを山間部経由でつなぐ中部縦貫道の一部。北陸道の福井北ICから東へ延びた「永平寺大野道路」(26.4km)に続く形で、「大野油坂道路」が部分開通しました。2023年秋には、勝原IC〜九頭竜IC間9.5kmも開通する予定で、工事は佳境を迎えています。

 岐阜県境部の「油坂峠道路」は開通済みのため、残る15.5kmの整備をもって北陸道と東海北陸道が高規格道路でつながります。2026年春に予定されている全線開通を迎えれば、隣県ながら険しい山地で隔てられていた岐阜県と福井県がグッと近づきます。

国道2号「東広島バイパス」(広島県)

・開通日:2023年3月19日
・延長:8.4km(八本松西IC〜瀬野西IC)+1.6km(海田西IC〜海田東IC)

 国道2号バイパスのうち、東広島市から海田町までの17.3kmがつながりました。区間により「安芸バイパス」「東広島バイパス」として整備が進んでいましたが、全線開通を機に「東広島バイパス」へ名称統合されています。

 この区間に並行して走る山陽本線は、瀬野から八本松にかけての急勾配区間で機関車の2台連結が必要なことなどから“セノハチ”と呼ばれる難所として知られます。旧道の国道2号も各所で渋滞が多発していたほか、狭隘・急カーブ・急勾配、異常気象時の通行止めといった課題を抱えていましたが、今回、トンネルと高架橋で地形を克服した自動車専用の高規格バイパスが誕生しました。

 広島方面では、さらに新広島バイパスへとつながり広島市役所へ直結。東広島市〜広島市間の所要時間は、約76分が一気に約46分まで短縮するとされていました。中国新聞が開通後に実走したところ、53分かかったそうですが、SNSでは「このバイパスは本当に早い」「今までの瀬野川沿いの渋滞がウソのよう」といった声が見られます。

暫定2車線でもハイスペック!道路も

 この3月は大都市圏でも新たな動脈的な路線が完成しています。

東播磨道(東播磨南北道路)北工区(兵庫県)

・開通日:2023年3月21日
・延長:2.5km(八幡稲美ランプ〜八幡三木ランプ)

 東播磨道は国道2号「加古川バイパス」の加古川中央JCTから北東へ、小野市の国道175号までをつなぐ計画の高規格道路で、JR加古川線と並行しています。今回は八幡稲美ランプ以北にあたる「北工区」の部分開通。9年ぶりの延伸だったためか、SNSでは「あそこ伸びたのか!」といった声が多くみられました。

 いまは全線が暫定2車線ですが、最高速度は80km/hに設定されているのが特徴。県が整備・管理する地域高規格道路で、通行料は無料です。

 なお、全線開通は2025年が予定されています。今後の延伸区間では山陽道と交差しますが、直接の接続ランプは設けられず、国道175号を介して山陽道の三木小野ICと連絡します。

宮沢根白石線 南鍛冶町・舟丁工区(仙台市)

・開通日:2023年3月23日
・延長:約1km

 仙台駅の東側、市街を南北に貫く都市計画道路「宮沢根白石線」が延伸。若林区内の市営地下鉄東西線 連坊駅付近にある連坊小路交差点から、JR線を越え、広瀬川のすぐ東側、市営地下鉄南北線 河原町駅付近の昭和市電通り(旧国道4号)までが開通しました。

 幅員は30〜42mと大きく、途中には地上のJR在来線と、高架の新幹線が横切っていますが、在来線と新幹線の間を抜ける高さの陸橋で抜けていきます。SNSでも、線路の南側の地域が仙台駅に近くなったインパクトが伺えます。

 河原町駅付近からはさらに、広瀬川に架かる宮沢橋に並行して、新しい橋の建設も進められており、橋の向こうで国道286号に接続する見込みです。ただ、新しい宮沢橋が未完成のなか、新たな道路が接続した昭和市電通りが渋滞しているとの声も。川向こうの国道286号へ直結することへの期待も高まっているようです。

東九州道 清武〜日南(宮崎県)


東九州道が宮崎から日南まで開通した(画像:宮崎河川国道事務所)。

・開通日:2023年3月25日
・延長:17.8km(清武南IC〜日南北郷IC)

 今回の開通で、東九州道が宮崎道と接続する清武JCTから、JR日南駅の近くまで東九州道が延びました。清武南ICから南は通行無料で利用できます。

 これにより、海岸線に沿ってカーブが続く国道220号のバイパスが形成されました。既存の国道は異常気象時の事前通行規制区間があり、過去15年間で79回の全面通行止めが発生するなどしていました。山側を貫通する東九州道の開通により災害に強い代替路ができたということです。

 日南から南は、JR日南線とほぼ並行するルートとなる見込みです。南郷〜串間に未事業化区間を残すものの、鹿児島県内の志布志ICまでの全通に向け、複数の区間で事業着手しています。