電車の「顔と顔の連結」無くします 京王線の「非貫通車両」廃止へ 車両移動できない不便解消
京王線で、車両と車両の間の通り抜けができない「非貫通車両」が解消されそうです。どのような背景があるのでしょうか。また、どの車両が対象になるのでしょうか。
「車両代替新造による非貫通車両の解消」を推進
京王電鉄は、2026年度までに「駅構内・車内における防犯・セキュリティ対策」として、車両新造によって「非貫通車両」を解消する方針です。
「非貫通車両」が残る京王7000系(画像:写真AC)。
京王線では、8両編成と2両編成、または6両編成と4両編成の列車が連結して10両編成として走行することがあります。この場合、連結する部分は、構造的に車内の通り抜けができない「非貫通車両」となります。
京王線では、2021年10月に車内傷害事件、2022年7月に京王八王子駅危険物所持者侵入事件が発生。こうした事件への対応力強化や未然防止策を強化することになり、「車内非常通報装置の対話式化」とあわせて、車内の逃げ場を確保するため「非貫通車両の解消」を実施することになりました。
この計画は2022年度の同社の設備投資計画に盛り込まれており、3月14日の鉄道旅客運賃の改定申請に合わせて公表された「利用者サービスの向上策」にも明記されました。
今後、どのように非貫通車両を解消していくのでしょうか。京王電鉄広報部によると「最初から10両編成で作られている 『5000系』を増備し、非貫通となっている7000系車両を置き換えていきます」とのこと。5000系は有料座席指定列車「京王ライナー」にも使用されている新型車両で、同社によると2023年度の増備数は1編成の予定です。それ以降は未定ですが、短い編成の7000系は徐々に見納めとなる見込みです。
ちなみに、京王8000系は当初6両編成と4両編成があり、連結して10両編成で運用されていましたが、後に先頭車の中間車化改造を行い、1本のつながった編成になっています。