Appleは現地時間3月28日、“クラシック音楽愛好家にふさわしいリスニング体験を提供するために設計した”という、新しい音楽ストリーミングアプリ「Apple Music Classical」をリリースした。既にApple Musicに加入している人は、追加料金なしでサービスを利用できる。

Apple Music Classical

同アプリは中国、日本、ロシア、韓国、台湾、トルコを除く、Apple Musicを提供しているすべての国と地域向けのApp Storeでダウンロードできる。iOS 15.4以降のiPhoneで動作し、音楽を聴くにはインターネット接続が必要。「日本でも順次利用可能になる予定」だという。なお、Android用のApple Music Classicは近日公開予定とのこと。

Appleは2022年に、クラシック専門の音楽ストリーミングサービス「Primephonic」を買収し、クラシック音楽専用のアプリケーションを2022年に公開する計画としていたが、2023年にずれ込んだかたち。また、サービス開始時点では日本を含む複数の国と地域で利用できないことも予告していた。

アプリ画面のイメージ

Apple Music Classicalは500万曲以上を擁し、世界的に有名なオーケストラによる録音を含む、何千もの限定アルバムも収録した“世界最大のクラシック音楽カタログ”。「有名な録音から忘れ去られた逸品まで、あらゆる範囲を網羅する」としている。入門者向けに厳選されたエディターズチョイスのキュレーションだけでなく、特定の作品に精通している人向けの録音リストまで用意し、聴き比べる機会を提供する。

クラシック作品は一般的に複数の楽章と楽曲で構成されており、有名な作品にはさまざまなオーケストラ、指揮者、ソリストとの何百もの録音がある。また、バッハ作品主題目録番号(BWV)やモーツァルトのケッヘル番号(K)のように、多くの作曲家は独自の特別なカタログ分類が割り振られている。

こうした複雑さを考慮し、Apple Music Classicalでは再設計した検索機能を装備。Apple Music Classicalのブラウズタブを使って、世界最大のクラシック カタログを探索できる。作曲家や作品から、作品番号、指揮者、アーティスト、楽器、さらには作品のニックネームに至るまで、検索時にすべての録音に加えて、エディターズ チョイスのパフォーマンスを表示。また、作曲家を検索すると利用可能なすべての作品を表示する。

クラシック音楽の複雑さを考慮して再設計した検索機能を装備

ブラウズタブのイメージ

さらに、クラシック向けに設計されたユーザーインタフェース(UI)を採用。作品名、オーケストラ、指揮者、貢献アーティスト、さらには録音年など、すべてが一目でわかるように配置しており、何を聞いているかを常に把握できるようにした。アルバムやトラック、プレイリスト、アーティストだけでなく、作品、作曲家、録音といった、クラシック固有のカテゴリもサポートする。



各作品の名前、オーケストラ、指揮者、貢献アーティスト、録音年を表示する

何百ものプレイリストカバーや、バッハやベートーベン、メンデルスゾーン、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキーといった世界の偉大な作曲家のユニークな高解像度デジタル ポートレートを含む、独占的な新しいアートワークも楽しめるようにした。それぞれの画像は歴史的研究と、関連する古典時代のカラー パレットおよび芸術的参照を融合させたもので、これらの新作の大半はMacとiPadでデザインされたものだという。

ヨハン・セバスチャン・バッハ(Johann Sebastian Bach)

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky)

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich)

音質面では、サービス全体で最大192kHz/24bitのロスレスオーディオに対応。最高音質のハイレゾロスレスモードでは「サウンドは驚くほど鮮明でクリアで、各音符が触れられるほど近くに感じられる」としている。さらにDolby Atmosによる空間オーディオにも対応し、Spatial Audio(空間オーディオ)カタログには毎週新しいアルバムを追加。「コンサートホールの最高の席から数千の録音を楽しめ、あらゆる方向から音楽が聞こえてくる360度のサウンドスケープに浸れる」という。

Apple Music Classicalでは、入門者から愛好家向けまで、700を超えるプレイリストを用意し、今後も多数追加予定。入門者向けには、専門家の解説と厳選された作品を組み合わせて主要な作曲家、時代、楽器、古典用語を紹介するクラシックオーディオガイドのストーリーを用意する。愛好家には、一流のクラシック アーティストがトラックごとの音声解説を提供し、“録音の舞台裏”にも迫れるとのこと。あまり知られていない作品のセレクションをハイライトしたプレイリストなども提供する。

Apple Music Classicalのユーザーには、ベルリン フィルハーモニー管弦楽団やカーネギー ホール、シカゴ交響楽団、ロンドン交響楽団、メトロポリタン オペラ、ニューヨーク フィルハーモニック、パリ国立オペラ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などによる、新しくユニークで独占的なコンテンツを発売とともに提供する。

また、2023年3月に始まる「Today at Apple」プログラムの一環として、世界中のApple Storeにおいて、これらのパートナーをフィーチャーした複数のライブ パフォーマンスを開催予定だ。