この記事をまとめると

■いまやクルマ好きにもすっかりお馴染みとなった世界最大級の家電の見本市「CES」

■2000年代以降、年々、自動車メーカーの出展が目立つようになった

■2023年1月に開催された「CES 2023」で気になったクルマを紹介する

世界最大の家電市は新型車の公開も見どころ

 日本の自動車ユーザーの間でも最近、すっかりお馴染みになったCES(セス)。毎年1月上旬、米・ネバダ州ラスベガスで開催されるITと家電の世界最大級見本市だ。CESは、コンシューマ・エレクトロニクス・ショーの略称である。

 筆者(桃田健史)は長年に渡り、CESの現場を見てきたが、1990年代までのCESで自動車といえばカーオーディオが主体だった。それが2000年代後半頃から、CESの風景のなかで自動車メーカーの存在が徐々に目立つようになった。

 さらに、2010年代半ばごろになるとドイツのアウディが自動運転に関する最新技術を発表するようになったのが大きなキッカケとなり、メルセデスベンツ、VW、そしてトヨタと大手自動車メーカーが続々と大型ブースを構え、そしてさまざまな最新技術のワールドプレミアをCESで行うようになったのだ。

 一方で、1月に開催されていた北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)は参加メーカーが減少し、最終的にはショーとしての趣向を少しかえて開催時期も大きく変更するに至っている。これも、CESの影響が大きいといえるだろう。

 そんなCESで、今年もさまざまな新技術が公開された。

 大きな話題となったのが、日本でも数多く報道されたソニーホンダモビリティの新ブランド「アフィーラ」だ。

 2022年10月に東京で同社設立に関する記者発表があったが、そうした内容を具現化する2026年の北米での量産に向けたプロトタイプが公開された。

クルマの電動化が進むとさらにCESの存在感も増す

 そのほか、今年はやはり、量産型EVの発表が目立った。

 ステランティスは「ラムトラック」のEVバージョンをお披露目した。アメリカ市場の7割以上が、ライトトラック(ピックアップトラック及びSUV)で占められている現状では、フルサイズピックアップトラックのEV化は世の中に対する大きなインパクトになる。

 すでに、フォードはFシリーズにライトニング、またGMはシボレーシルバラードのEVバージョンを公開しており、今回のラムトラックEV登場によって、ピックアップトラック御三家のEV戦略が出揃った形だ。

 また、北米市場という観点で興味深いのはカナダの動きだ。

 カナダは、アメリカを中心にメキシコを含めたNAFTA(北米自由貿易協定)を結んでおり、自動車産業においてこれら3か国のつながりは極めて強い。そうした中で、北米での急激なEVシフトをにらみ、カナダ自動車部品工業会がカナダ国内で企画したEVコンセプトモデル「プロジェクトアロー」を公開した。

 欧州メーカーでは、BMWが「i Vision Dee」を発表。ボディの色やパターンが電子制御によって多彩に変化するデザインコンセプトモデルである。

 また、メルセデス・ベンツはネバダ州とカリフォルニア州で、自動運転レベル3を行う申請を出したことを明らかにした。レベル2までが運転の主体がドライバーであるのに対して、レベル3は運転の主体がクルマのシステムとなる。その上で、システムが自動運転の継続が難しいと判断した時点でドライバーに運転の復帰を求めるタイプの自動運転である。

 日本では、ホンダがレジェンドで「ホンダセンシングエリート」を搭載し世界初の量産型レベル3を実現したほか、メルセデス・ベンツもドイツで「EQS」に搭載している。

 今後も、CESを活用して世界に向けて最新技術を発表する自動車メーカーや自動車部品メーカーが増えていくことだろう。