Twitterを買収してCEOに就任したイーロン・マスク氏は、ジャーナリストたちがTwitterの内部情報をまとめて公開しているスレッド「Twitterファイル」の拡散を手助けしており、2022年12月には「Twitter内部では民主党支持層の力が圧倒的に強く、バイデン大統領の息子の汚職を隠していた」ということを示す「Twitterファイル」第1弾が公開されています。新たに、2022年12月9日にはTwitterがひそかに実施しているとされる「シャドウバン」の実態について明かす「Twitterファイル」第2弾が公開されました。





Twitterユーザーの間では、Twitterが特定のユーザーや投稿を検索結果から非表示にする「シャドウバン」を行っていることが指摘されています。しかし、Twitter Japanの公式アカウントが2020年に「Twitterがシャドウバンを行っていると指摘されますが、現在も過去にも行ったこともありません」と述べるなど、Twitterはシャドウバンの実施を否定しています。





そんなシャドウバンの実態を明かす「Twitterファイル」第2弾が、2022年12月9日に公開されました。「Twitterファイル」第2弾を公開したのはジャーナリストのバリ・ワイス氏で、マスク氏が引用リツイートしていることからマスク氏お墨付きの情報とも言えます。





ワイス氏が公開しているシャドウバンの例が以下。Twitter内部システムと思われる写真が添付されており、「新型コロナウイルスの対応としてロックダウンを実施すると、子どもたちに害を及ぼす可能性がある」と主張したスタンフォード大学のジェイ・バタチャリヤ氏が「トレンドブラックリスト」に指定されていることが分かります。





ワイス氏によると、シャドウバンはTwitter内部では「可視性フィルタリング(Visibility Filtering)」や「VF」と呼ばれているとのこと。Twitter従業員や幹部は、可視性フィルタリングでは「特定のユーザーを検索結果から除外」「特定のツイートを発見されにくくする」「特定のユーザーの投稿をトレンドから除外する」といった対応がユーザーへの通知なしに実行されていたことを明かしています。また、Twitterのエンジニアは「一般的なユーザーは、私たちがどれだけ可視性を管理しているか知りません」と述べており、可視性フィルタリングの存在がユーザーから隠されていたことを認めています。





シャドウバンの対象となるユーザーは、主に「グローバルエスカレーションチーム」や「SRT-GET」と呼ばれる社内チームによって決定されていました。両チームは、最大で1日200件のユーザーをシャドウバンの対象にしていたとのこと。





上記のチームはTwitterのコンテンツポリシーに従ってシャドウバン対象ユーザーを選別していましたが、「サイト誠実性ポリシーおよびポリシーエスカレーションサポート(SIP-PES)」と呼ばれるチームはコンテンツポリシーに関係なく独自の基準でシャドウバン対象ユーザーを決定していました。SIP-PESにはTwitterのCEOを務めていたジャック・ドーシー氏やパラグ アグラワル氏も参加していたとのこと。





SIP-PESでは、政治的に微妙な決定が下されていました。SIP-PESによる精査の対象となったアカウントの例が以下。反LGBTアカウントとして知られる「Libs of TikTok」が「トレンドブラックリスト」に指定されており、画面上部には「SIP-PESとの相談なくアカウントに変化を加えてはならない」という警告文が表示されています。





トラスト&セーフティ部門のトップを務めていたヨエル・ロス氏が2021年に社内Slackに送信したメッセージが以下。ロス氏は社内の研究チームに対して「エンゲージメントの無効化や可視性フィルタリングなどの、削除を伴わない介入」を拡大するために研究を進める必要があると語っています。さらに、ロス氏は「私たちはジャックの同意も得ました」とも述べていたとのこと。このことから、Twitter幹部がシャドウバンの拡大に積極的に関わっていたことが分かります。





シャドウバンの実態について明かす「Twitterファイル」第2弾が公開された後、マスク氏は「ルールは右派に対して適用され、左派には適用されませんでした」と述べ、シャドウバンが主に共和党員や共和党支持層に対して実施されていたと主張しています。