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 カタール・ワールドカップにて再び屈辱のグループリーグ敗退を喫した後、ドイツサッカー連盟より最初の人事異動が発表された。2024年まで有効となっていたマネージャー、オリヴァー・ビアホフ氏との契約を解消することで合意。「18年間に渡り、この責任ある職務を担ってきたが、しかしドイツサッカー連盟のマネージャーを即時に辞することにした。ノイエンドルフ会長とこのことについて本日合意に達しており、私はまた新しい道を歩んでいくことになる」と同氏は声明の中で語っている。「大きな成功を共に祝い、挫折から取り組み、そして並外れたプロジェクトを遂行することができた。本当に密度の濃い刺激的で有益な時間だったよ」

 かつてドイツ代表FWとして活躍していたビアホフ氏は(70試合出場37得点、1996年に欧州王者)、2004年よりマネージャーを務め母国開催のワールドカップでは直前のユーロ敗退からフェラー監督の辞任、それに伴う監督人事やチーム立て直しなどに追われた結果、下馬評を覆す3位という好成績でフィニッシュ。それから再びドイツ代表は国際舞台での飛躍を続け、2014年には現代表監督のフリックSDと共にワールドカップ優勝。だがその後のユーロ2016フランス大会以降は2018年ロシアW杯でグループリーグ敗退、昨年のユーロでも16強で敗退を喫し、さらに今回のカタール・ワールドカップでも再びグループリーグ敗退と低迷。

 とりわけ宿泊地選定やOne Love腕章など競技面への集中を欠くような対応には疑問や批判の声が寄せられており、またよりによって帰国便でも意思の疎通がはかれていないところが露呈。ノイエンドルフ連盟会長は当初フランクフルトに飛ぶと思っていたものの、ビアホフ氏の判断でまずはミュンヘンへと到着。結局は連盟会長がフランクフルトに到着したのは、2時間半も後のことだった。ただそれでも同氏は「ビアホフ氏は連盟に多大なる貢献をしてくれた」と賛辞をおくり、「ブラジル・ワールドカップの成功は、彼の名前と共に語り継がれていくことだろう」とコメント。

 一方でここ数年の結果に「私自身、胸を痛めている」とビアホフ氏。「だからこそ、これで自分への自己批判から逃れるわけにはいかない。この4年間、我々は過去の成功から更に積み重ねて、再びファンのみなさんの応援に応えるということができていなかった。確信をもって決めたはずのことであっても、時にそれは結果的にみて正しくないということもある。私以上に悔しさを覚えている人間はいないだろう、この責任はきっちりととる」と述べた。

元ドイツ代表2人からも感謝と惜しむ言葉

 ドイツ国営放送のZDFにてテレビ解説者を務めていた、元ドイツ代表ペア・メルテザッカー氏は「申し訳ないがおそらくこの3大会の後を思えば、決して満足のいくものではなかったといえるかもしれない。ただそれでも彼は多くの人たちが考えているよりも、遥かに多くのことを成し遂げてくれたんだ」と述べ、「彼は常に全てのsね主をうまく統合し、サポートして寄り添ってくれる人物だったんだ」とコメント。同じく解説を務めた元ドイツ代表クリストフ・クラマー氏は「残念に思う。ただ彼自身で何が正しいかを判断した、そう願いたい。個人的には多大な恩義があるんだ。代表選手入り、そして優勝メンバーになるサポートをしてくれた。本当に素晴らしい人物だ思う」と語っている。

後任候補は混乱のDFLにも精通するボビッチ氏

 また改めて「18年に渡りドイツサッカー界に多大なる貢献をした」とリスペクトと評価、そして感謝」の気持ちを強調したドルトムントのヴァツケCEOは、それと同時に後任候補としては、ヘルタ・ベルリンのフレディ・ボビッチ競技部門取締役を指摘。ドイツサッカーリーグ機構(DFL)の相談役会メンバーでザイファート元代表の側近でもあったボビッチ氏は、かつてフランクフルトでのマネージャー職も務めて成功をおさめるなど、協会の主要関係者や問題に精通している人物だ。

 実はそもそもドイツサッカーリーグ機構においても、そのザイファート氏の後を今年1月より受けた、ドナータ・ホプフェン代表がクリスマス前にも退団するという話が浮上しており、そのボビッチ氏とフランクフルトで共にしたアクセル・ヘルマン取締役とフライブルクのオリヴァー・レキ会長が、今季いっぱいまでは代役を担うとも見られているところ。こちらもまた混乱を極めている。

シュヴァインシュタイガー氏はとヒツルスペルガー氏は同意見

 元ドイツ代表バスティアン・シュヴァインシュタイガー氏は「ビアホフ氏は多大なり貢献をした人物だが、後進に道を譲る時期も認識すべきであり、それがもう訪れていたということ。代表ではそれが求められているんだ。ただこのスピードには驚いたけどね。それでもこの判断は正しいと思う」と総括。後任のイメージとしては「選手にとってより違和感なく、選手も尊敬する人物」とし、ミヒャエル・バラック氏やシュテファン・エッフェンベルク氏らを列挙。「力を持った人材」としつつ、「違う見方」と「新しいスピリッツ」を求めながら、「フリック監督の続投を前提しているよ」と言葉を続けた。

 またシュヴァインシュタイガー氏と同様に自身の就任の可能性を口にしなかった、トーマス・ヒツルスペルガー氏も同様にビアホフ氏の退任への展開の速さに驚きをみせながら「よほど彼にダメージを与えたのだろう」と推測、そして退任を支持しつつ後任候補には「身近で、全身全霊でサッカーのために生きるような人間」と表現する。さらDFBアカデミーの活動など「先見性」についても求められると説明。そこで1人のみの招聘ではなく、むしろ2人の招聘もあるのでは?との考えをみせており、実際にアドバイザーとしてマティアス・ザマー元SDの名前も浮上。これに「選手、監督、解説者などでも彼ほど優れた人物はそういない。最高のキャストだ」と支持をみせながら、シュヴァインシュタイガー氏と同様、フリック監督の残留も願った。

Oliver Bierhoff und der #DFB haben sich heute darauf verständigt, seinen bis 2024 laufenden Vertrag vorzeitig aufzulösen.

Wir wünschen Oliver #Bierhoff für sein künftiges Wirken alles Gute.

https://t.co/yOQHiuWZpD pic.twitter.com/8NimvnYBco

- DFB (Verband) (@DFB) December 5, 2022