お昼寝中の室内をのぞきこむ男の正体は…「保育園で見てきたあれこれ トラブル編」たぷりく(@taprikoo)

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 保育現場で最重要なのは“子どもの安全”だ。保育士たちは日頃から、事故やケガのないよう細心の注意を払いながら保育をしているが、そんな保育士自身が危険にさらされるケースもある。元保育士のたぷりくさん(@taprikoo)は、新人保育士だった時に「不審者に園内をのぞかれる」という恐怖体験をした。また、ほかの保育士からは「保護者がストーカーになった」話が寄せられたという。「保育園で起きたトラブル」を描くたぷりくさんに話を聞いた。

【漫画】不審者は離婚した父親だった!「会う権利がある」詰め寄る男vs園長、トラブルの顛末

■保護者の父親から携帯にショートメール、自宅に贈り物も

 保育士歴約10年、これまでに4園で働いてきたたぷりくさん。新人時代に経験したのが「園内をのぞく不審者」だ。ある日、園児のお昼寝中に保護者とは思えない男が突然、ガラス扉にへばりつきながら園内をのぞきこんできたという。異様な怪しい男は、“離婚して子どもにどうしても会いたくてやってきたお父さん“というのが真相だったが、子どもの連れ去り事故にもつながりかねない恐怖体験だったと綴っている。

 たぷりくさんのもとに寄せられた保育士さくらさんの体験談では、保護者の父親がストーカーとなったエピソードもある。もともとコミュニケーションの距離が近く、不安に感じていたさくらさんは、周囲の先生にも相談。受け入れや引き渡し時の担当を替わってもらうなど対策をしていた。ところが、個人携帯へのショートメールに自宅への贈り物、さらには休日の外出先での遭遇と保護者の行動はエスカレートしていったという。

――不審者のエピソードは読者からも「怖すぎる」「通報案件」と多くのコメントが寄せられていました。これ以降も、離婚した父親が園に押し掛けることが、たびたびあったそうですね。

【たぷりく】 離婚してお母さんに内緒で一目子どもの姿を見ようとやってくるんでしょうね。お迎え時間を避けて、お昼寝から夕方までにやってきますが、お迎え時間でない時間帯にやってくる見知らぬ人って、普通じゃないってすぐわかるので、恐怖でしかありません。不審者だ!ってなります。

特に親権争い中なんて、「親だから!」って主張して子ども連れ去るなんてことにもなり兼ねないですし。ちなみにこの時の保育園のセキュリティは、現在ほどしっかりしていませんでした。今は部屋に警察直通110番ボタンがあったり、防犯設備がしっかりしている園がほとんどです。保育園でも不審者訓練をしたり、小さくても子どもたちにしっかり話したりし、安心して過ごせるように頑張っています。

――ご自身の経験した『保育園で見てきたあれこれ』、読者の体験談『フォロワーさんの保育園で起きたトラブル』を描こうと思ったきっかけを教えてください。

【たぷりく】 いろいろなエッセイ漫画を目にするようになってきたものの、保育園や保育士に関してのものは目につかなかったので、保育士の経験がある私ならではの視点で漫画を描いたら、いろんな人が興味を持って読んでくれるのでは…と思い、描き始めました。同じ保育士さんからの共感も嬉しく、その後も描いてみようと思うきっかけに繋がりました。

■トラブル描く背景に「これから保育士を目指す人への注意喚起」

――『保育園で起きたトラブル』は書籍化にもなった人気シリーズです。支持される理由はどのような部分にあると思いますか?

【たぷりく】 保育園は働くお母さんにとって子どもを預ける身近な施設ではありますが、保護者が垣間見ることができない部分も多くあると思います。そんな保育園のなかなか窺い知ることができない裏側も見られるところも、みなさんが興味を持って呼んでくれる理由のひとつかなと思っています。

――読者から寄せられるトラブルエピソードで多いのは、どのようなものですか。

【たぷりく】 一番多いのは保育士内トラブルです。保育士の同僚が起こす問題、保育士間のトラブル、園長や先輩からの嫌がらせなど…そういったエピソードが多いです。どんな職種でも、職場内の人間関係は悩みの種になりがちなので、寄せられるエピソードも自然と職場内の人間トラブルが多くなるのではないかと思います。

――作品を通じて伝えたいのはどのようなことでしょうか。

【たぷりく】 保育園でのトラブルを描いていて、マイナスなイメージを持たれてしまうのではと思ったこともあったのですが、「みなさんへの注意喚起になれば」(アレルギー関連の話等)とエピソードを送ってくださるフォロワーさんもいました。これから保育士を目指す人、保育士をしている人にこんなトラブルもあるのかと気をつけたり、意識を変える小さなきっかけにでもなればと嬉しいです。がんばってる保育士さんたちもいるので、トラブルだけでなくそういったお話も描いているので、引き続き保育士さんの頑張りも描いてお届けできればなと思っています。