”ヒットを生み続ける”丸亀製麺・開発者が明かす、新商品『俺たちの豚汁うどん』に込めた想い
シーズンごとに、様々な新商品が大量に発表される飲食業界。話題になるものはごくひと握りの厳しい世界だが、毎期ヒット商品を生み出し続ける「丸亀製麺」が今、注目を集めている。消費者の心と胃袋をつかむ企画創造力の秘密は一体何か? 商品開発に携わるキーマンに話を聞いた。

取材・文=白央篤司
フードライター。「暮らしと食」をテーマに執筆。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし。』『自炊力』などがある。雑誌、WEBで連載多数。


大事なのは「うどんのおいしさを充分に味わえる」こと

丸亀製麺で商品開発に携わる浦郷裕介(うらごう・ゆうすけ)さんはもともと料理人の出身。18歳からずっと飲食の道を歩いてきた。料亭で修行後、学校給食や社員食堂などの場で調理師として経験を積み、2017年に入社。10代から年配の方まで、幅広い客層の嗜好を考えてメニュー作りをしてきた経歴が今に生きているという。さて、丸亀製麺というブランドにおいての商品開発は、どのようなことをポイントに考えているのだろうか?


株式会社トリドールホールディングス 商品開発部商品開発課 課長 浦郷裕介さん


「根本はやっぱり、お客さまが何を求めているかということに尽きます。そこを一番大事に考えないとブレてしまいますから。丸亀製麺はうどん屋ですから、おいしいうどんが一番の根本。うどんのおいしさを充分に味わえる、ということがあっての新商品開発ですね。どういう味わいのものがうどんに合うのだろう、ということから考えます」(浦郷さん)


だしや具のおいしさはもちろんだが、それがうどんと調和するか、フィットするかどうか。他の要素によって、うどん自体のおいしさが隠れてしまったり、うどんより目立ったりするようでは、「丸亀製麺を味わいたい」という客の心はつかめない。シンプルだが、核心を突いた信条だ。

新商品『俺たちの豚汁うどん』に込められた想いとは?

「この冬の新商品を例にしてお話します。『俺たちの豚汁うどん』(並:790円)という商品がこの冬に発売となるのですが、ただ豚汁にうどんを入れても丸亀製麺が求めるおいしい一杯になりません。おいしい豚汁とおいしいうどんをかけあわせても、それだけでは足りない。どういう豚汁なら、うどんと最高に合うのかを徹底的に研究しました」(浦郷さん)




実はこの商品、株式会社TOKIOの松岡昌宏さんと共同開発で生まれたもの。株式会社TOKIOの「日本を元気にしたい」という強い想いと、「手づくり・モノづくり」にこだわる姿勢に丸亀製麺が共鳴、2021年4月から共創型パートナーシップが締結されている。松岡さんの「TOKIOの思い出の食べ物といえば、『豚汁』。丸亀製麺さんのもちもちのうどんに合わせた新商品をつくりたい」という想いからプロジェクトは始まった。

「特製味噌だし」に込められた工夫と熱意がすごい

「まず考えたのは、ベースとなる味噌の選定です。複数の味噌をブレンドしています。しかしそれだけでは味に奥深さが出ない。丸亀製麺のうどんは100%国産小麦粉を使用し、毎日打ち立てですから存在感が強いので、だしが負けてしまうんです。そこで用いたのがオイスターソースとコチュジャン。魚介の旨みと辛みを加えることで、濃厚で複雑な味わいを表現しました」(浦郷さん)




味噌、オイスターソース、コチュジャンの比率が最大の難関だったと浦郷氏は語った。何度も試作しては松岡さんと味わって「違う、これでもない」とやり直し、ようやく味の基本が完成する。そして次の問題は具である。

「1杯に対しての野菜量も考え抜きました。多いと満足感は出ますが、ちゃんぽんみたいになってしまう。根菜類が多いと、野菜の旨みがだしに染み出て味はいいのですが、うどんとの絡みが悪くなり、食感がそろわない。それぞれどのぐらいの大きさに切るかをかなり考えましたね。キャベツや油揚げを入れることでうどんと絡みやすくしています。油揚げは、口の中でジュワッとだしが広がる効果も得られます」(浦郷さん)


豚汁を超えた丸亀製麺的豚汁はクセになる味わい

説明を聞いていたらたまらなくなり、試食させてもらった。



まずだしを味わう。うーん……コク深い、というのが第1印象。だしがしっかりと感じられて、味噌の味わいが濃いのにやさしさも感じる。にんじんやたまねぎ、ごぼうなどによる野菜の甘みだろうか。そしてなんとも、体があったまる。だしがほどよくトロッとして、想像以上に麺との絡みがいいのにも驚かされた。

「しょうがとにんにくを香りづけに使っているんです。だしは北海道産の真昆布と厳選した数種の削り節を使用して、奥行きのある味わいに仕上げました。だしなんですが、じゃがいものペーストを加えることで粘度を上げて、麺との絡みをよくしているんですよ。じゃがいも自体の甘みも加わります。また仕上げには白胡椒を振ることで、全体の味わいを引き締めています」(浦郷さん)




「豚汁だけど豚汁じゃない、他にはない新しい味」を目指した、とも浦郷氏は言われた。確かに豚汁なのだけれど、コチュジャンやオイスターソースににんにく、白胡椒などの風味が感じられることで、インパクトのある特製味噌だしになっている。だがしっかりと和風であり、豚汁を食べている満足感が得られる。

そうそう、豚自体にも工夫あり。部位の異なる2種の豚肉を使用している。こうすることで脂のきつすぎない、すっきりとした旨みを狙っていると教えてくれた。すべての具材に役割と工夫がある。それらと丸亀製麺らしいコシのあるうどんとが一体となったものが、『俺たちの豚汁うどん』なのだ。

トッピングで広がる風味と味わいで満足感がさらにアップ

同時発売となるのが『俺たちのニラバタ豚汁うどん』(並:890円)その名のとおり刻み生ニラとバターがプラスされたもの。これが相性バツグンだった! 刻み生ニラには強い香りがあるが『俺たちの豚汁うどん』に加えるとふしぎと清涼感をもたらしてくれる。バターでコクは増しつつ、刻み生ニラの香味でさっぱりと食べられるから面白い。





なお、バターか刻み生ニラのどちらかだけをトッピングすることも可能。さらに、トッピングなら「すりごま」と「おろししょうが」もいいですよ、と浦郷氏。すりごまはコクが増し、おろししょうがはピリッとした香りが加わる。

※バター、刻み生ニラはお持ち帰り不可です。




天ぷらのトッピングなら「かぼちゃ天」が特におすすめだそう。確かにかぼちゃの甘み、豚汁によく合う! また温泉玉子を加えるのもたまらない。具材とうどんのまとまりが一段とよくなって、全体がまろやかになる。個人的には温泉玉子と刻み生ニラのトッピングをチョイスしたいところ。野菜をたっぷりとれる感じも嬉しいところだ。



そしてやっぱり、うどんの良さ。茹で釜から直接すくい上げる茹でたての「釜抜き麺」は、毎日、すべての店で職人が粉からつくり、小麦の香りが豊かでもちもちとした食感。香り豊かな野菜や濃厚な味わいの肉や調味料に負けないうどんがあればこその一品であることを、食べ終えて強く思う。



「そう思っていただけたら、嬉しいですね。私は年間で100レシピ以上を企画会議に出していますが、通るのは1割以下です。その中でも『俺たちの豚汁うどん』はかなりの自信作ですから、ぜひ多くの方に召し上がってほしいです」(浦郷さん)


最後に浦郷さんは、お客さまに満足していただくはもちろんのことだが、全国800店舗を超える丸亀製麺のスタッフたちに「この味を作りたい、届けたい!」と思ってもらえる商品を開発したい、と語った。このモチベーションが何より、ヒット商品を生む秘訣なのかもしれない。

『俺たちの豚汁うどん』
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※店舗により、お取り扱い商品やサイズ、価格が異なる場合がございます。
※お持ち帰りは、『俺たちの豚汁うどん』のみ可能です。
※お持ち帰りの場合は、容器代として1杯につき30円を別途頂戴いたします。
※お持ち帰りの場合は、水で締めた麺を温めてご用意いたします。


[PR企画: 丸亀製麺 × ライブドアニュース]