奈良県のとある商業施設のフードコートに貼られた張り紙が、ツイッターで注目を集めている。

フードコートに貼られるものと言えば、何らかの注意喚起だったり警告だったりすることが多いように思うが......。

こちらはツイッターユーザーの「卑屈な奈良県民bot」(@nntnarabot)さんが、2022年10月22日に投稿した写真。奈良・香芝市にある複合商業施設「じゃんぼスクエア香芝」で撮影したものだ。

フードコートらしからぬ仕切り付きの机。そこには2種類の紙が貼られている。

右側には「ゲームのご利用はご遠慮ください」、そして左側の机には、

「こちらの席で勉強頑張ってください」

長時間の利用を防ぐために勉強を禁止されることもあるフードコートという場所で、じゃんぼスクエアはその逆を行く。勉強する人を応援してくれているのだ!

学生さんのために次から次へと......

同施設の粋なはからいに対し、投稿した「卑屈な奈良県民bot」さんも「懐の深さでマジ感動した」とツイート。ほかのツイッターユーザーからも、こんな声が寄せられている。

「しかもコンセントまで完備!! いやー器の大きな施設ですねぇ」
「受験生に朗報」
「これが奈良の懐の広さです」

学生への「神対応」、にはどんな理由があるのか。Jタウンネット記者は10月25日、じゃんぼスクエア香芝を運営する賛栄商事(大阪市浪速区)に聞いた。

取材に応じた同社営業部の担当者によると、じゃんぼスクエア香芝のフードコートには、しっかりとした「勉強スペース」が設けられている。「勉強頑張ってください」の紙が貼られているのは、その中にある机のひとつだ。

「『みんなで勉強できるスペースがない』とのお客様からの要望を受けて、2年前に提供を開始しました。30年以上、香芝で営業させていただいていて、お子様や学生の方もよく見えますから、地域のためにとオーナーのこだわりで作った勉強スペースです」

最初は5台ほどの勉強机を並べてスタート。すると、常に席の取り合いになるほど人気に。そこでさらに机の台数も増やし、より多くの人が利用できるように対応した。

学生が勉強するための専用席を作るというだけでも驚きだが、これだけではない。なんと賛栄商事は「勉強スペース」に、勉強用のライト、パソコン用の電源やUSB電源、フリーWi-Fi、カップラーメン用の給湯器など、学生が快適に勉強できるための設備を次々に導入したのだ。

「勉強のための設備は採算度外視です。
今の学生の方々は真面目で、みんなで勉強にきてくれています」

嬉しそうな口調で記者にそう話す営業部の担当者。現在では「勉強スペース」は当初の2〜3倍の規模になっているそう。日本の未来を背負う若者たちのために惜しみなく力を注ぐ――じゃんぼスクエアは、そんな素敵な商業施設だった。