家で地震が起きたときの最新常識。「トイレに逃げる」は正解?
突然起こる地震。いざというときに慌てないためには、日ごろから正しい対処法を把握しておくことが大切です。被災地で医療支援を行ってきた国際災害レスキューナースの辻直美さんに「家で被災した際の正しい行動」について教えてもらいました。
家で被災したとき、正しい行動はどっち?
家の中もけっして安全ではありません。大切なのは冷静で正しい行動。そのために必要なのは、やはり「知っておく」ということです。
●料理中に大地震が起きたら優先すべきは?「身を守る」VS「コンロの火を消しに行く」
地震が起きると、あわてて火を消しに行って熱いお湯をかぶり、やけどを負うケースが多発します。
「今は、震度5相当以上の揺れを感知すると、自動的にガスの供給が止まるようになっています。揺れが収まるまでは、ものが落ちてこない場所で身を守って」
●大地震が起きたとき、より安全なのは?「トイレ」VS「玄関」
かつては「地震のときはトイレへ逃げろ」といわれていましたが、じつはダメ。タンクが割れて水が噴き出たり、地震の揺れでドアがゆがんで閉じ込められるリスクも。
「玄関は構造的に頑丈で、倒れてくる家具も少なく、窓もないので割れてケガをするリスクが低いんです。さらに外に避難もしやすいので家の中では比較的安全な場所とされています」
●がれきに閉じ込められたら?「大声で助けを求める」VS「壁をたたく」
叫び続けると、のどがつぶれ、体力を消耗します。しかも声はレスキュー隊の探知機で拾いにくいという性質が。
「“ここにいる”と知らせるためには、壁をたたくのが正解。体力を温存するため、30分に1回程度、傘などの金属製の棒を使ってカンカンと音が響くようにたたきましょう。そして、そばに人の気配がしたら、声を出して助けを求めて」
●家具が倒れたら?「すぐに元に戻す」VS「様子を見る」
揺れが収まったからといって、地震の活動が止まった、とは限りません。2016年の熊本地震では、震度7の地震が起きた約28時間後に再び震度7を記録しました。
「倒れた家具を元に戻しているときに、余震が発生する可能性もあります。まずは身を守り、避難路の確保、火の元の確認、防災リュックの準備。片づけはしばらく様子を見てからにしましょう」