近年人気が高まっているライター職。ESSEonlineのライター募集でも、「未経験だけれど興味がある」という応募が数多く集まりました。そこで、「大人のヘア問題白黒つけます」でヘア記事を連載中で、『書く仕事がしたい』(CCCメディアハウス)がヒット中の人気ライター・佐藤友美(さとゆみ)さんに、ライターという仕事について教えてもらいました。

人気のライター職。どうすればなれる?

書く仕事に漠然と憧れを抱いていても、経験のない人にはどんな仕事かイメージが湧きにくいもの。さとゆみさんは、「書く仕事というと、ライターと作家(コラムニストやエッセイストなど)を混同する方が多いですが、じつはこの2つはまったく別の仕事です」と言います。

「ライターは、媒体から依頼を受けて、人や場所を取材し、それを元に原稿を書き、納品する仕事です。ですから、自分自身でコンテンツをもっていなくても、ライターになることは可能です。一方作家は、主題を自分で決め、自分の意見を中心に原稿をつくる人を指します」

 

●ライターに必要なのは、才能ではなく技術

書く仕事に憧れを抱いている人ほど、この仕事は「一部の特別な人」にしか許されていない仕事だというイメージをもっているのではないでしょうか。しかし、さとゆみさんによると「ライターになるのに必要なのは、才能ではなく技術」とのこと。

「もちろん、必要最低限の文章力は必要です。しかし、ものの考え方などの『文章力以外のスキル』を身につけることは、文章力と同等もしくはそれ以上に重要です」

 

●未経験からの転向や、副業からのスタートもOK

書く仕事に興味があっても、未経験から始めるには勇気がいるものです。専業主婦やまったく関係ない職業からライターになることはできるのでしょうか。

「未経験でも、ライターになることはできます。私が主宰するライティング講座には、書くこととはまったく関係のない職業に就きながら副業でライターを始める人や、主婦をしていた人など、ライター未経験でさまざまな経歴をもった人たちが集っていますよ」

じつは筆者も、まったくの未経験からライターに転向した1人です。幼少期から書く仕事に憧れていたものの、新卒でアパレルECサイトの運営会社に入社。約8年間、書くこととは無縁の生活をしました。28歳で結婚し、そのまま仕事を続けようと思っていた矢先、憧れが再燃。一念発起してライターを目指しました。

さとゆみさんは書籍の中で「ライター講座などに通って、“つて”をつくるのもひとつの手」と書いていますが、私自身も講座で知り合った方からお仕事をいただいて、ライターデビューを果たしました。

 

●普段よく見るメディアの募集からチャレンジを

はじめの一歩を踏み出してライターになるには、どのようにするのがよいのでしょうか。

「これからライターを始めたい方は、普段よく目にするWebメディアや、自身の経験がある仕事などを取り上げるメディアで、ライター募集がないかチェックするのがおすすめです。なぜなら、ライターは、メディアの読者層や人気記事の傾向などの『相場感』がわかったうえで書くことが重要だからです。たとえば、家事に関する記事をよく閲覧するのであれば、家事について多く書かれている主婦向けのメディアを、過去にIT系の仕事をしていた経験があれば、IT系の情報を取り扱うメディアで、募集がないか探してみるといいと思います」

興味のあることや普段からよく見るメディアであれば、読者層の理解もスムーズにできそうです。身近なところから活動を始めてみるのがよさそうですね。

●過去の経験や趣味がアドバンテージになる

いざライターに転向しようとしても、経験不足が仕事に不利に働かないか心配な方も多いもの。
「ライターのよいところは、“自分の好きなこと”と“仕事”が自然とつながっていくこと。たとえば私の講座でも、スーパーのイオンマニアである友人のライターさんは、知識を活かして商品などに関連する記事を執筆していますし、アイドルに造詣が深いライターさんは、新曲が出るたびにコアなレビュー記事を書いて人気を得ています。人生の中で培ってきた過去の経験が、ライターとしてのアドバンテージになりますよ」

経験が強みになるということは、未経験や他業種からの転向すらも、強みになるということ。初心者にも希望がもてます。

 

●書く仕事には、一生をかける価値がある

フリーランスのライターとして活動するさとゆみさんは、小学生のお子さんを連れて、一緒にワーケーションに出かけることもあるそう。

「フリーのライターは、働く場所・量・時間などを自分で選択することができます。働き方の自由が得られることも、この仕事の魅力の1つだと思いますね。出産や子育て、パートナーの転勤や介護など、自分のライフイベントに合わせて、仕事量を変えながら長くライターを続けている友人もたくさんいます。また、仕事で取材したことがプライベートで役立ったり、プライベートで考えたことが仕事に役立ったり。自分の“経験”と“仕事”がシームレスに繋がるのも、ライター職の醍醐味。書く仕事は一生を懸けるに不足のない、魅力的な仕事だと思います」。

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