災害から大切な家族と自分を守るためには、事前の備えと正しい知識が不可欠です。国際災害レスキューナースの辻直美さんに、防災リュックに入れておくべきもの、枕元に準備しておくべきものを伺いました。

いざというときのために。備えておくべきはどっち?

正しいと思っていた防災知識が時代遅れになり、実際の避難生活にマッチしないことも。常に情報のアップデートを心がけて。

●寝る前に枕元に置いておくのは?「ペットボトルの水」VS「モバイルバッテリー」

生命維持にマストな水。一方、スマホは被災時の大切な情報収集&連絡手段であり、モバイルバッテリーも必須アイテムです。

「どの部屋で被災するかわからないし、閉じ込められる可能性もあるので、できれば両方を枕元に! ちなみに私は寝室、リビング、トイレに水とモバイルバッテリーを置いています」

●停電時に便利なのは?「懐中電灯」VS「ランタン」

停電した家の中で明かりをとるには、一方向を照らす懐中電灯よりランタンの方が便利。部屋全体を明るくともしてくれます。

「懐中電灯がある家は多いけど、ランタンがある家はけっこう少ないもの。100円ショップのものでも十分なので、ぜひ備えておいて」

<避難時はヘッドライトが便利>

懐中電灯やランタンは片手がふさがります。避難時、子どもと手をつないだり、手探りで移動する際に両手が使えることはとても重要。

●お薬手帳を持ち歩くなら?「アプリ」VS「紙のもの」

アプリのお薬手帳は、スマホの充電ぎれや故障時はもちろん、当事者が意識を失っていてロックが解除できなければ見ることができません。

「もし、データが入っているマザーコンピュータが壊れたら情報を取れなくなるので、持病がある人は紙のものを携帯しましょう」

3日間生き延びられる「正しい防災リュック」のつくり方

下のリストで紹介するのは、大人1人が被災後3日間、生き延びるための必要最低限の中身。避難所には水も食料もない場合があり、ライフラインが止まっている可能性も。

「炊き出しなどが行われるのは、被災後数日たってからというケースがほとんど。水と食料は必ず持っていきましょう。水害で避難する場合は、中身が濡れないように、すべてのものをビニール袋で2重に包みます」

小さな子どもがいる場合はオムツやミルクも忘れずに。小学生以上の子どもには専用のリュックを用意し、お菓子やオモチャも入れて。

●食

・水 9リットル(1日3リットル×3日分)
・レトルト食品 9個
・アルファ化米 9個
・塩あめ
・おやつ
・箸、フォーク、スプーン

●衛生・医療

・持病の薬
・消毒液
・救急セット
・ばんそうこう
・生理用ナプキン
・おりものシート
・ウエットティッシュ
・おしりふき
・歯みがきガム
・水に流せるティッシュ
・吸水シート(オムツ、ペットシーツなど)
・45リットルゴミ袋
・新聞紙 朝刊3部

吸水シートとゴミ袋、新聞紙は災害トイレ代わりに使用

<災害トイレのつくり方>

45リットルのゴミ袋を2重にし、そこに吸水シートの吸水側を外側にして、二つ折りにして入れれば簡易トイレの完成です。用をたしたら、ちぎった新聞紙をかけて消臭しましょう。

●衣服・防寒

・アルミ製シート
・使い捨てカイロ
・服、下着 3日分

●その他役立つもの

・手回し充電ラジオ
・USBケーブル
・大容量モバイル充電器 充電3回分
・ランタン
・軍手
・マッチ
・手ぬぐい 3枚