幅広いメディアで活躍中の俳優・小日向文世さん。9月からは長野、茨城、福岡、神奈川にて上演される、舞台『スカパン』に出演されます。この舞台では、長男であり俳優でもある小日向星一さんも出演が決定し、初の親子共演が実現。

初の親子舞台共演!小日向星一さんに聞いた、「文世さんってどんな父?」

前回のインタビューでは舞台『スカパン』にかける熱い想いや、思い出深い話をお伺いできましたが、後編では小日向家のルールや親子間の関係性などのプライベートな部分を、語りつくしてもらいました!

【写真】仲良しな小日向文世さんと星一さん

●父は、本当に家が好きで休みの日はずっと家にいる

――役者さんは体が資本だと思うのですが、日常生活のこだわりで気をつけていることがあれば教えてください。

小日向星一さん(以下、星一):僕は少し前からひとり暮らしを始めたんです。すると、食生活が以前よりも乱れてしまったので…腸内環境を維持しようとがんばっています。納豆とキムチとモズク、乳酸菌飲料は毎日欠かさず取っています!

小日向文世さん(以下、文世):僕は家をリラックスできる空間にすることですね。インドアなので、家にいるのが本当に好きなんですよ。家族とケンカしてたら家が途端につまらない空間になるし、ストレスが溜まってしまう。だから、できるだけ家族仲よくして、ホッとできる空間を維持したいなと思ってます。

星一:父は本当に家が大好きで、ずっと家にいるんですよ…。

文世:休みの日は基本的には一歩も外に出ないしね。2020年の自粛期間中も、外に出たのは2か月間に2回だけ。あとはずっと家にいました。

星一:ちなみに母は、自粛期間中に父がずっと家にいるので、ちょっとうんざりしていましたけどね(笑)。たまには散歩にでも行ってほしいな…って。

文世:僕はメダカの飼育が趣味で…メダカや水槽内の植物、観葉植物の世話をしていると1日がすぐたっちゃうんですよ。2か月間じっくりメダカや植物に接することができたし、毎日妻のおいしい料理も食べられて、家に居られて幸せでした。

●小日向家のルールは、寝る前と家を出る前の「ハグ」

――星一さんから見て、文世さんはどんなお父さんですか?

星一:本当に家族が大好きな父親だな…と思います。休みの日は家にいるし、母のつくる料理が大好きでいつも「おいしい!」と言って食べています。あと、わが家には、僕と弟が小さいときから、寝る前と家を出る前に家族にハグをする習慣があるんですよ。

文世:この習慣はもう昔からですね。子どもが幼稚園や小学校に上がると、家から離れるじゃないですか? 「自分の目の届かないところで、もしかしたら息子たちがいなくなるような恐ろしいことが起こるかもしれない…」と不安になってしまって。

そこで、毎晩と毎朝出かける前に、「これが今生の別れかもしれない」と思いながら家族が近くにいるのを肌で感じたくて、「おやすみ」「いってらっしゃい」と送り出しているんです。

星一:今もたまに実家に帰って泊まったりすると、寝る前や家を出るときは、必ず父にハグしてますね。

文世:あまりに長い期間に渡ってその習慣が続いているから、今でも息子たちとハグをしないと眠れないんですよね(笑)。

●兄弟ゲンカを止めた、父のある一言

星一:あと、僕には弟がいるんですが、父は僕と弟がケンカするのもすごくイヤがるんですよ。

文世:そうですねぇ、本当に仲良くしてほしいし、息子たちが痛い目に遭うのが見てられないんです。たとえば、星一が弟とケンカで叩いた場合は、「あー、星一はいま弟を叩いただろ? その分、お父さんが痛いんだぞ!」と言い聞かせていましたね。覚えてる?

星一:覚えてる(笑)。だから、自然とケンカもしなくなったのかな。あと、親子喧嘩もほとんどしたことないよね。

文世:ないない。僕は息子たちを叩けないですね。一度、妻が言うことを聞かない次男を叩いたと聞いたときは、「え…」と絶句したほど(笑)。

星一:いやいや、母さんが弟を叩いたときは、「あれは高校生だった俺もマズかったよな」と弟も言ってたしね(笑)。

文世:こうやって、いつも星一は妻をかばうんですよ…。ただ、妻は僕よりずっとしっかりしている人なので、本当にいつも助けられています。

●仕事がなくても毎日子どもと一緒にいられるのが幸せだった

――お話を伺えば伺うほどに、すごく仲がいいですね!

星一:そうですね、家族仲は本当にいいと思います。とにかく父は暇があれば家にいる人なので、自然といつも一緒にいるのが当たり前になったのかもしれません。

文世:小さいときは、とにかくずっと一緒にいたもんね。まず、長男の星一が生まれたときは、劇団を解散したばかりだったから、仕事がなくて1日じゅう家にいることも多かった。次男が生まれたときもそんなに忙しくなかったので、よく朝から妻と子どもたちと一緒に公園に行っていました。周囲のお母さんたちから「小日向さんのお父さんは、いったいなにをしている人なんだろうな」と不思議に思われていたでしょうね…。

星一:一緒に公園に行くことに、抵抗感はなかった?

文世:僕は全然恥ずかしいと思わなかったなぁ。むしろ、家族と一緒にいられることがうれしかったから。

●自分に子どもができたら「やりたいこと」をやらせたい

――星一さんは、もしお子さんができたら「こんな風に育てたい」というような願望はありますか?

星一:もし、この先自分に子どもが生まれて、その子にやりたいことができたら、反対しない親でありたいです。僕自身、やりたいことがあるときは、とくになにも反対されずにやらせてもらってきたので、僕も素直に応援したいです。

文世:いやいや、大学でパラグライダーサークルに入りたいと言われたときは、結構反対したかなぁ。かなり強めに「危ないからやめて!」って言った気がする。

星一:結局、パラグライダーもやらせてくれたけどね(笑)。

文世:僕も「やりたいこと」をずっとやってきた人生だからね。学校を卒業して、上京して、デザインを学んだあと、写真の学校に行って、でもケガをして役者を目指して。やりたいことも、デザインから写真、役者へとどんどん変わっていった。でも、どのタイミングにも僕の父も「好きにやればいいよ」と言ってくれた。「やめろ」とは一言も言われなかったんだよね。

星一:いちばん印象深いのが、両親に「演劇を仕事にしたい」と言ったときですね。正直少しは反対されると思っていました。でも、父も母も「大変だとは思うけど、覚悟があるならいいんじゃないか」とすっと背中を押してくれたときは、うれしかったな。

文世:僕自身芝居のおもしろさを今回の『スカパン』の舞台の演出家である串田さんに教わっていたから、今でも「芝居ほどおもしろいものはない」と思っているし。芝居の世界は大変だけど、その世界に入ることを止める気は全然なかった。自分の子どもには、自分がいちばんやりたいことをやってもらえるのが親としても幸せだからね。

親子のかけ合いがすてきな文世さんと星一さん。撮影中、2人の写真を見ていた文世さんが「僕より星一のが大きくない…?」と、笑顔で背を比べていたのがとても印象的でした。そんな2人が共演する舞台『スカパン』の上演がとても楽しみですね! ぜひ劇場へ足を運んで見てはいかがでしょうか。