値上げが止まらないこの頃、じつは大幅な値上げがまた10月に待ち構えています。このままでは、食費がさらに上がってしまうことは必至。私たちはこれからどのように食費と向き合っていけばいいのでしょうか? 節約アドバイザーの丸山晴美さんに傾向と対策をうかがいました。

10月に値上がりする食品に、私たちが今できること

2022年8月19日、総務省が発表した2022年7月分消費者物価指数によると、食料品は4.4%、水道光熱費は14.7%前年同月比で上昇しました。さらに、帝国データバンクの調査によると、8月は2400品目が値上げされ、10月は年内最多の6000品目超の値上げが予定されており、値上げラッシュはまだまだ続きそうです。再々値上げになった商品も多く、2022年は値上げに始まって、値上げに終わる年になりそうです。

食料品価格が上がり続けている主な要因としては、小麦や油脂(大豆など)、原油価格の世界的な高騰に加えて、急激な円安による輸入コストの上昇です。

●10月に実施値上がりする食料品

そんななかでも値上がりしやすい食料品は、原材料では小麦粉や油脂類、それらを加工した加工食品(冷凍食品、インスタント麺、ハム・ソーセージ、水産加工品など)、菓子(スナック菓子、チョコレート、アイスクリームなど)、調味料(ドレッシング、マヨネーズ、だし製品など)、飲料(チューハイ、ビール、発泡酒、炭酸飲料など)などです。詳しく紹介していきます(2022年8月26日現在)

・ソーセージ、ハムなどの加工食品

伊藤ハム、丸大食品、日本ハムなどはハムやソーセージなどの調理加工食品の値上げ、そして明治、森永乳業は家庭用チーズなどの値上げ、旭松食品は「新あさひ豆腐」など高野豆腐製品の出荷価格を引き上げることを発表しています(10月1日実施)。

・お菓子類

アサヒグループ食品「ミンティア」「1本満足バー」などの菓子・フリーズドライ商品・健康食品・カップスープなどの一部商品を価格改定、カンロの「ピュレグミ」「マロッシュ」などグミ(マシュマロ含む)の値上げを予定しています(10月1日実施)。

・調味料

キユーピーは、マヨネーズ類、マスタード、タルタルソース、パン用スプレッド、パスタソース、素材食品など93品で値上げ実施。ケンコーマヨネーズも、マヨネーズ、ドレッシング類、ソース類、卵加工品、、和惣菜など商品の多くを値上げ。味の素はマヨネーズ、さらに家庭用の塩調味料「アジシオ」「瀬戸のほんじお」「やさしお」および「ほんだし」(含むバラエティ品種)、コンソメ製品の出荷価格を値上げします。キッコーマン食品は、たれ類、みりん類の価格を改定します(10月1日実施)。また、かどや製油 食品ゴマ・ねりゴマ製品の値上げします(10月3日実施)。

・飲料類

キリンビバレッジ、伊藤園、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、ダイドードリンコは清涼飲料水などを中心に値上げ、サッポロビールなど、アルコール飲料があるメーカーも値上げが予定されています。さらに酒造メーカーの大関も日本酒約120品とリキュール・スピリッツの一部を約5〜10%値上げします(10月1日実施)。合同酒精も、アルコールを中心に合計166アイテムの値上げが予定さてれいます(10月3日実施)。

●9月には冷凍食品やお菓子、ツナ缶などが値上げ

年内2回、3回の値上げをしている食品は、冷凍食品、パン、スナック菓子、マヨネーズ、食用油、小麦粉など加工度合いが高いものがほとんどです。

これからできる食費節約のポイント10

では、これから値上がりするものの傾向がわかったところで、実際にどのようにやりくりをしたほうがよいのか解説します。

●1:し好品は最後に買う

値上げの対象となっている食料品はし好品が多いため、し好品からカゴに入れると予算オーバーしがち。まずは買うべき食材を買ってから、残った予算でし好品を買うようにしましょう。袋菓子150円=4モヤシ=キャベツなど、同じ金額で買える食材を考えてから買うか買わないかを判断するのもいいですね。

●2:外食は特別な日に絞る

外食も値上げ傾向にあります。今までと同じペースで利用すると、出費が増える原因に。誕生日や祝いごとなど特別な日のために予算を残しておきましょう。

例えば家族4人で外食へ行くと、ファストフードで3〜4000円、ファミレスで6〜8000円くらいかかります。ちょっといやな考え方かも知れませんが、時給何時間分かな? その時給分を払う価値があるのかな? などもう一度考えてみて、できるだけ外食をしなくてすような対策を取るとよいでしょう。例えば、週末に家族総出で買い物へ行かない。(買い物はネットスーパーを使う)行くときは、炊飯器のタイマーをセットしておき、買い物を手早く終わらせるように、買う物のメモを取り、回るお店の順路まで考えておくといいでしょう。

●3:米食中心にする

自給率ほぼ100%かつ価格が安定している米をメインに自炊をしましょう。冷凍のチャーハンより、残りご飯でチャーハンをつくれば、1人前あたり50円程度ですみます。

また、これから新米が出回りますが、昨年のものなど古米と言われるものはより手ごろな価格で購入することができます。注意点としては保存方法がしっかりしている専門店から購入するとよいでしょう。

●4:価格が安定している食材を買う

肉は…鶏胸肉、豚こま肉、ひき肉

野菜は…旬の野菜やモヤシ、豆苗、キノコなど

他…卵、大豆製品など

食料品が値上がりしていますが、値段が安定している食材を積極的に選びましょう。現在、肥料価格が高騰しているため、今後野菜の価格が値上がりする可能性があります。家庭菜園をしてみたり、自分で野菜を冷凍しておくと食費の助けになるでしょう。

●5:PB商品、セール品、見切り品を狙う

PB商品も今では値上げがされていますが、メーカー商品と比べると値上がり幅はゆるやかです。こだわりがない調味料などはPB商品がおすすめです。また、その日限り、数量限定の商品は集客用に安くなっているため狙い目。し好品ではない、食材の見切り品を自炊に取り入れることで、さらにコストダウンができるでしょう。

●6:食材を最後までムダなく食べきる

せっかく買った食材も使い切れなければ、ムダになります。残った食材を使っておかずをつくったり、おかずをリメイクするなど最後まで美味しく食べる工夫をしましょう。料理アプリなどを活用すれば、かんたんにレシピの提案を受けることができます。レパートリーが少ない、おかずがマンネリ化しているときにもおすすめです。

●7:クーポン、お友達登録割引などを活用する

よく利用するスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアのアプリがあれば、インストール、会員登録をしておくと、お得な情報やクーポンが配布されることがあります。また、LINEのお友達登録をすることで割引クーポンがもらえることがあります。ただし、クーポンがあるからと無理な買い物をするのはムダのもとです。必要なものを買うようにしましょう。

●8:キャッシュレス決済でポイ活する

細かいことではありますが、支払う際はキャッシュレス決済を活用して、ポイントの2重、3重取りをして少しでもポイントを貯めて、貯まったポイントでお買い物をする循環型のポイ活をしましょう。例えば、楽天ペイに楽天カードから楽天キャッシュへチャージをして、楽天ペイの支払いを楽天キャッシュで支払うことで、1.5%のポイントが還元されます。そしてそのお店で楽天ポイントが200円で1ポイント貯まるのであれば、合計2%のポイント還元率になります。

ただし、クレジットカードを使いすぎてしまう場合は、無理をせず現金管理で予算を納めるようにしましょう。

●9:ふるさと納税を活用する

お米、牛肉、フルーツが人気の返礼品ですが、野菜や日用品といった家計の足しになる返礼品を選ぶ人が増えてきています。わが家の今年の返礼品は、野菜、砂糖、トイレットペーパーといった実用性重視で選んでいます。9月には寄付金額5500円のタマネギ10kgが届く予定です。

●10:値上げ前に買っておくもの買わないもの

缶詰など常温で保存ができ、日もちがして非常食になるものは買っておいてもいいでしょう。なかでも、ツナ缶やサバ缶、トマト缶といった調理しやすい缶詰がおすすめです。調味料は消費期限を確認しながら、食用油とマヨネーズは今後も値上がり傾向にあるため、使う頻度が高いのであれば多めに買っておいてもよさそうです。

し好品や日もちがしないものは、飲み過ぎ、食べ過ぎの原因にもなるため、まとめ買いはしなくてもよいでしょう。

上手にやりくりをして、今年後半戦、なんとか乗りきりたいものですね。