ソニーNCヘッドホンの金字塔! 「WH-1000XM5」開発チームに聞いた“進化点”
●全方位進化した「WH-1000XM5」のNC性能・サウンドに迫る
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ソニー“1000Xシリーズ”のワイヤレスヘッドホン最新機種「WH-1000XM5」(左)。右は最上位ウォークマン「NW-WM1ZM2」
いまやヘッドホン/イヤホンの必須機能とされつつある、「ノイキャン」ことノイズキャンセリング(NC)機能。マイクで集音したノイズから逆位相波を計算し、それをノイズに重ね合わせることで打ち消す「アクティブノイズキャンセリング」が技術の根幹ですが、そう単純なものではありません。
演算を伴うだけにICの性能というデジタルパワーが求められ、マイクの位置/向きや密閉性の確保といったアナログなノウハウも必須です。身近な存在となっただけに競争も激しく、新製品は“より効くノイキャン”でなければなりません。
そのような状況に気を吐く存在が、ソニーの“1000Xシリーズ”。完全ワイヤレスの「WF」とオーバーヘッドの「WH」の2タイプが展開されていますが、どちらも“効き”に対する評価は高く、しかも新モデルが登場するたびSNSでは効果アップの声が聞こえてきます。
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WH-1000XM5を深掘り取材した海上忍氏
1000Xシリーズは、2016年秋発売の「MDR-1000X」を振り出しに、2017年の「WH-1000XM2」、2018年の「WH-1000XM3」、2020年の「WH-1000XM4」と、着実に進化し続けてきました。
個人的に印象が強いのは、2018年モデルの「WH-1000XM3」。ソニー独自開発のプロセッサ「QN1」を搭載することで、アクティブノイズキャンセリングの性能が飛躍的に向上しました。NCの効きは、いかに精緻な逆位相波を高速に生成するか。言い換えればICの演算能力と独自機能にNCの効きがかかってくるため、フィルタ処理に長けた専用プロセッサの開発へと踏み込むのは理にかなっています。
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WH-1000XM3(2018年発売)
もうひとつ1000Xシリーズで見逃せないのが、マイクの取り付け位置や外部ノイズ遮断性能(パッシブNC性能)といったアナログ的な部分です。マイクをいくつ用意するか、どの向きに取り付けるかによってNCの性能は変化しますし、イヤーパッドの素材や密着性を考慮しなければパッシブNC性能は向上しません。WHシリーズの“効くノイキャン”は、ここにも高度なノウハウがあることは確かです。
最新モデルの「WH-1000XM5」(5月27日発売/実売49,500円前後)は、「QN1」に加えて新開発の統合プロセッサ「V1」を採用し、演算周りの性能が向上しました。NC効果を最適化する「オートNCオプティマイザー」、8個のマイクを使った「マルチノイズセンサーテクノロジー」のほか、ウォークマンで培った技術の導入など、音質面でもテコ入れが図られています。
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WH-1000XM5(2022年発売)
プロセッサ周りなどデジタルな部分、パッシブNCに代表されるアナログな部分、そしてオーディオ機器の根源ともいえる音質部分。この3方向から、WH-1000XM5のあれやこれやをソニー1000Xシリーズ企画・開発チームに訊いてみました。
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ソニーの“1000Xシリーズ”企画・開発チーム。前列左から、ソニー ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部 モバイル商品企画部 モバイル商品企画2課の和田雄介氏、モバイル商品設計1部 プロジェクトリーダーの若林宏明氏、モバイル商品企画部 モバイル商品企画2課の中西美桜氏、モバイル商品技術1部 音響技術課の鷹村虹志氏。後列左から、モバイル商品技術2部 新規技術開発課の渋谷宏久氏、モバイル機構設計部4課の中島俊彦氏、モバイル商品設計1部の小松英治氏
●8マイクを駆使する「マルチノイズセンサーテクノロジー」とは?
最初の質問は、新しい「マルチノイズセンサーテクノロジー」について。先代のWH-1000XM4では、環境ノイズを捕捉するマイク周辺の技術として「デュアルノイズセンサーテクノロジー」--センサー(マイク)で集音したノイズと音楽の信号をすべてデジタル化、逆位相の音を高精度に生成するソニーの独自技術--が採用されていましたが、「マルチ」と「デュアル」で何がどう変わったのでしょう?
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計8個のマイクを使ったマルチノイズセンサーテクノロジーを採用
その答えは「より高精度なセンシングの実現」だそう。「具体的には、従来より高い周波数における集音性が向上しています。イヤーカップの内と外のノイズをより広く、かつ高精度に捉えることができるようになりました」(ソニー)とのこと。従来のマイク2基だったものが4基に増えたからマルチ、という単純な話ではないようです。
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WH-1000XM5のノイズキャンセリング機能を説明する若林氏
それにしても、なぜイヤーカップの内側に1基(フィードバックマイク×1)、外側に3基(フィードフォワードマイク×3)というマイク配置にしたのでしょう。フィードバックマイクを2基使うより、そのぶんフィードフォワードマイクを増やしたほうが効果が大きいということでしょうか?
この問いに対する回答は「ドライバーユニットとの相性で決めました」とのこと。マイク配置の最適化についてはいろいろな手法がありますが……と前置きしたうえで、「WH-1000XM5に関してはフィードフォワードマイクを3基配置することが最適解でした」(同)というから、微調整/チューニングを繰り返したうえでの結論ということなのでしょう。
強風のとき気になる風ノイズも、流体シミュレーションを繰り返し、ボディ形状の調整や3基のフィードフォワードマイクそれぞれに特殊な機構を設けるなどして、低減効果を高めていると話していました。
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WH-1000XM5のドライバーユニット
ノイズキャンセリング全体の“効き”に関しては、「より高い周波数のノイズ低減を行えるようになりました」(同)とのこと。一般的にNCは振動音・エンジン音など周波数帯が低いノイズの低減を得意としますが、WH-1000XM5では中高音域のNC性能が向上、人の声など日常的なノイズの低減が改善されているそう。
それらNC性能の向上に大きく貢献していると思われるのが、新たに追加された統合プロセッサ「V1」です。WH-1000XM3以来の「QN1」に追加される形で搭載されているため、その使い分けが気になるところですが、「ノイズキャンセリング処理とD/A(デジタル/アナログ)変換はQN1が担っています」(同)。一方で無線通信やマイクの処理などV1がカバーする範囲は広く、高い周波数におけるNCの効果アップにも寄与しているそうです。
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WH-1000XM5に搭載している統合プロセッサ「V1」。完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」で初めて採用し、1000Xシリーズのヘッドホンにも導入したかたちだ
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高音質ノイズキャンセリングプロセッサ「QN1」も従来機種から引き続き搭載している
ちなみに、姉妹機ともいえる関係の完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」にも同じV1が搭載されていますが、WH-1000XM5とは役割が異なるのだそう。「WF-1000XM4ではノイズキャンセリングからD/A変換まで、V1単独でひととおりの処理を行っています」(同)ということで、V1は専用チップというよりはFPGAのようなプログラマブルなSoCと理解したほうがよさそうです。
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WH-1000XM5(左)と、WH-1000XM4(中央)を並べてみると、デザインや形状の違いがよく分かる。今回は最上位ウォークマン「NW-WM1ZM2」(右)と組み合わせて試聴する
●磨き上げられた音質。「ドライバ径は30mmがベストだった」
音楽鑑賞用ヘッドホンとして最重要ともいえるドライバーについても訊いてみました。WH-1000XM5は直径30mmと、先代のWH-1000XM4(直径40mm)と比べてひと回り小さくなりましたが、果たしてその理由は?
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ドライバーユニットを並べたところ。左がWH-1000XM5、右がWH-1000XM4のもの
「小さいことが音質にマイナスということはありませんし、イヤーカップのサイズありきで小さくしたわけでもありません。ノイズキャンセリング性能や複合材を組み合わせた振動板の特性を考えたときに、直径30mmがベストだったのです」(ソニー)。柔らかいエッジの採用によって大きな振幅を確保できたこともあり、低音域の再現性や大入力に対する追従性はむしろ向上しているのだそう。
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WH-1000XM5の内部構造
基板やプロセッサ部の見直しも音質向上に貢献しているそうで、「QN1に関していえば、DAC部の電源強化やパターンニングの一新によりノイズ対策強化を図っています」(同)とのこと。なるほど、そのレベルまで“追い込んで”いるわけですね。
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WH-1000XM5の機構を解説する中島氏
実際に試聴してわかるのが、SN(音楽信号とノイズの比)のよさ。ワイヤレスイヤホンでありがちな、無音時の「サー」というノイズは皆無に近く、NCの効果が引き立ちます。ドライバー径は小さくなったものの、低域の量感はしっかり、ベースやドラムといったリズム隊の存在感もありありと伝わります。LDACコーデックで接続すれば、ロスレス/ハイレゾ音源の空気感やきめ細やかさも実感できます。
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WH-1000XM5とウォークマン「NW-WM1ZM2」をワイヤレス接続して試聴する海上氏
ノイズキャンセリングの効きと音質、コンパクトなデザイン、そして通話品質と装着快適性と、どの部分からも前モデルからの改善/進化を感じ取れる「WH-1000XM5」。これまでの1000Xシリーズ同様、NCヘッドホンの金字塔として君臨するのは間違いなさそうです。
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WH-1000XM5のカラーはプラチナシルバー(左)と、ブラック(右)の2色
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海上忍 うなかみしのぶ IT/AVコラムニスト。UNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作多数。テクニカルな記事を手がける一方、エントリ層向けの柔らかいコラムも好み執筆する。マイナビニュースでは、「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」のほか、前世紀から続く「(新)OS Xハッキング!」などを連載中。執筆以外では、オーディオ特化型Raspberry Pi向けLinuxディストリビューションの開発に情熱を注いでいる。2012年よりAV機器アワード「VGP」審査員。 この著者の記事一覧はこちら
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いまやヘッドホン/イヤホンの必須機能とされつつある、「ノイキャン」ことノイズキャンセリング(NC)機能。マイクで集音したノイズから逆位相波を計算し、それをノイズに重ね合わせることで打ち消す「アクティブノイズキャンセリング」が技術の根幹ですが、そう単純なものではありません。
そのような状況に気を吐く存在が、ソニーの“1000Xシリーズ”。完全ワイヤレスの「WF」とオーバーヘッドの「WH」の2タイプが展開されていますが、どちらも“効き”に対する評価は高く、しかも新モデルが登場するたびSNSでは効果アップの声が聞こえてきます。
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1000Xシリーズは、2016年秋発売の「MDR-1000X」を振り出しに、2017年の「WH-1000XM2」、2018年の「WH-1000XM3」、2020年の「WH-1000XM4」と、着実に進化し続けてきました。
個人的に印象が強いのは、2018年モデルの「WH-1000XM3」。ソニー独自開発のプロセッサ「QN1」を搭載することで、アクティブノイズキャンセリングの性能が飛躍的に向上しました。NCの効きは、いかに精緻な逆位相波を高速に生成するか。言い換えればICの演算能力と独自機能にNCの効きがかかってくるため、フィルタ処理に長けた専用プロセッサの開発へと踏み込むのは理にかなっています。
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もうひとつ1000Xシリーズで見逃せないのが、マイクの取り付け位置や外部ノイズ遮断性能(パッシブNC性能)といったアナログ的な部分です。マイクをいくつ用意するか、どの向きに取り付けるかによってNCの性能は変化しますし、イヤーパッドの素材や密着性を考慮しなければパッシブNC性能は向上しません。WHシリーズの“効くノイキャン”は、ここにも高度なノウハウがあることは確かです。
最新モデルの「WH-1000XM5」(5月27日発売/実売49,500円前後)は、「QN1」に加えて新開発の統合プロセッサ「V1」を採用し、演算周りの性能が向上しました。NC効果を最適化する「オートNCオプティマイザー」、8個のマイクを使った「マルチノイズセンサーテクノロジー」のほか、ウォークマンで培った技術の導入など、音質面でもテコ入れが図られています。
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プロセッサ周りなどデジタルな部分、パッシブNCに代表されるアナログな部分、そしてオーディオ機器の根源ともいえる音質部分。この3方向から、WH-1000XM5のあれやこれやをソニー1000Xシリーズ企画・開発チームに訊いてみました。
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●8マイクを駆使する「マルチノイズセンサーテクノロジー」とは?
最初の質問は、新しい「マルチノイズセンサーテクノロジー」について。先代のWH-1000XM4では、環境ノイズを捕捉するマイク周辺の技術として「デュアルノイズセンサーテクノロジー」--センサー(マイク)で集音したノイズと音楽の信号をすべてデジタル化、逆位相の音を高精度に生成するソニーの独自技術--が採用されていましたが、「マルチ」と「デュアル」で何がどう変わったのでしょう?
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その答えは「より高精度なセンシングの実現」だそう。「具体的には、従来より高い周波数における集音性が向上しています。イヤーカップの内と外のノイズをより広く、かつ高精度に捉えることができるようになりました」(ソニー)とのこと。従来のマイク2基だったものが4基に増えたからマルチ、という単純な話ではないようです。
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それにしても、なぜイヤーカップの内側に1基(フィードバックマイク×1)、外側に3基(フィードフォワードマイク×3)というマイク配置にしたのでしょう。フィードバックマイクを2基使うより、そのぶんフィードフォワードマイクを増やしたほうが効果が大きいということでしょうか?
この問いに対する回答は「ドライバーユニットとの相性で決めました」とのこと。マイク配置の最適化についてはいろいろな手法がありますが……と前置きしたうえで、「WH-1000XM5に関してはフィードフォワードマイクを3基配置することが最適解でした」(同)というから、微調整/チューニングを繰り返したうえでの結論ということなのでしょう。
強風のとき気になる風ノイズも、流体シミュレーションを繰り返し、ボディ形状の調整や3基のフィードフォワードマイクそれぞれに特殊な機構を設けるなどして、低減効果を高めていると話していました。
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ノイズキャンセリング全体の“効き”に関しては、「より高い周波数のノイズ低減を行えるようになりました」(同)とのこと。一般的にNCは振動音・エンジン音など周波数帯が低いノイズの低減を得意としますが、WH-1000XM5では中高音域のNC性能が向上、人の声など日常的なノイズの低減が改善されているそう。
それらNC性能の向上に大きく貢献していると思われるのが、新たに追加された統合プロセッサ「V1」です。WH-1000XM3以来の「QN1」に追加される形で搭載されているため、その使い分けが気になるところですが、「ノイズキャンセリング処理とD/A(デジタル/アナログ)変換はQN1が担っています」(同)。一方で無線通信やマイクの処理などV1がカバーする範囲は広く、高い周波数におけるNCの効果アップにも寄与しているそうです。
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ちなみに、姉妹機ともいえる関係の完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」にも同じV1が搭載されていますが、WH-1000XM5とは役割が異なるのだそう。「WF-1000XM4ではノイズキャンセリングからD/A変換まで、V1単独でひととおりの処理を行っています」(同)ということで、V1は専用チップというよりはFPGAのようなプログラマブルなSoCと理解したほうがよさそうです。
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●磨き上げられた音質。「ドライバ径は30mmがベストだった」
音楽鑑賞用ヘッドホンとして最重要ともいえるドライバーについても訊いてみました。WH-1000XM5は直径30mmと、先代のWH-1000XM4(直径40mm)と比べてひと回り小さくなりましたが、果たしてその理由は?
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「小さいことが音質にマイナスということはありませんし、イヤーカップのサイズありきで小さくしたわけでもありません。ノイズキャンセリング性能や複合材を組み合わせた振動板の特性を考えたときに、直径30mmがベストだったのです」(ソニー)。柔らかいエッジの採用によって大きな振幅を確保できたこともあり、低音域の再現性や大入力に対する追従性はむしろ向上しているのだそう。
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基板やプロセッサ部の見直しも音質向上に貢献しているそうで、「QN1に関していえば、DAC部の電源強化やパターンニングの一新によりノイズ対策強化を図っています」(同)とのこと。なるほど、そのレベルまで“追い込んで”いるわけですね。
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実際に試聴してわかるのが、SN(音楽信号とノイズの比)のよさ。ワイヤレスイヤホンでありがちな、無音時の「サー」というノイズは皆無に近く、NCの効果が引き立ちます。ドライバー径は小さくなったものの、低域の量感はしっかり、ベースやドラムといったリズム隊の存在感もありありと伝わります。LDACコーデックで接続すれば、ロスレス/ハイレゾ音源の空気感やきめ細やかさも実感できます。
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ノイズキャンセリングの効きと音質、コンパクトなデザイン、そして通話品質と装着快適性と、どの部分からも前モデルからの改善/進化を感じ取れる「WH-1000XM5」。これまでの1000Xシリーズ同様、NCヘッドホンの金字塔として君臨するのは間違いなさそうです。
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