自然豊かな地方で家族と暮らしたい。そう思っても、仕事がないとなかなか難しいものです。そこで、自治体が実施するインターンシップやトライアルワークの事例を紹介します。やってみたかった仕事も見つかり、新しい暮らしの扉が開くかもしれません。

旅館や農家でインターンシップ体験。地域の課題解消や新たなライフビジョンの発見に

●山形県[高畠町]

山形県南東部に位置する高畠町。ここで取り組んでいるのが、将来、田舎で暮らしたいと考えている人や地域おこしに興味のある、10〜20代に向けた「高畠町地域インターン事業」です。

地域の暮らしや仕事を体験する1週間のプログラムで、2021年度に初めて実施。受け入れ先の人とともに働くことで、抱えている課題や新規の企画を考えるというものでした。受け入れ先は、農家や旅館、ソーセージ工房など多彩。2022年度は、地元の酒蔵や有機農業を営む農家での就業体験なども計画しているそうです。

参加者からは、「『高畠町におけるオーガニック給食の実現』などのテーマに沿って活動し、農家さんのお手伝いや地域の実情をうかがう機会をいただきました。多様な立場の方々との交流を通じて、自らの五感で感じ考え、活動できたことは代え難い経験です」とのコメントも。

「参加者のみなさんには刺激や学びを得ていただける機会に。受け入れは、地域課題の発見や今後の方針を考える機会となりました。その後も気にかけて足を運んでくれるなど、新しいご縁が生まれています」と担当者。

●問い合わせ:NPO法人はじまりの学校 TEL 0238・33・9392

 

常駐のコーディネーターが学生をサポート。地元企業や地域の人と交流を深められる

●新潟県[燕市]

金属洋食器など、日本有数のものづくりのまちとして知られる燕市。市内産業における未来の人材確保のために、大学生のインターンシップを受け入れる「つばめ産学協創スクエア事業」を実施しています。

 

市内企業の有志によって設立した法人を受け入れ窓口とし、コーディネーターを常駐させ、地元企業の特性を把握したうえで、学生と企業の橋渡しを行っています。

1社のみのインターンシップをはじめ、テーマを決めて複数社を体験するものや、サプライチェーン内の関係企業を順番に体験するなど、地場産業の特徴を生かしたプログラムを提供。地域とも自由に交流できる環境も整えています。

また、つばめ産学協創スクエア事業の施設では宿泊もできるので、長期間の参加も可能です。

 

担当者は、「商店街にある同施設が拠点となって若者の流入が増えることで、地域に関心を持った移住者や市外からの若い世代によるあき店舗の解消にもつながっています」と語ります。

●問い合わせ:燕市 商工振興課 TEL 0256・77・8231

お試し住宅も利用できる農業体験プログラムが人気

●岡山県[津山市]

岡山県北部に位置する津山市では、移住前に生活体験や農業体験ができる「農業トライアルワーク」を実施。気軽に農業体験ができ、周辺環境や栽培できる作物がわかります。また、受け入れ先となる農家や地域の方と触れ合うことで、ネットワークづくりも可能。

受け入れ先はベテランばかり。受け入れ先との日程が合えば、最長で連続8日間の利用ができます。季節や受け入れ先によって栽培作物が異なるため、年間を通して受け入れを実施。作業としては、米、ショウガ、ブロッコリーやブドウなどの植えつけから収穫まで。比較的簡単な作業を楽しみながら実践でき、家庭菜園レベルから専門的な内容まで体験できます。

 

参加者からは、「受け入れてくださった農家の方の人柄がとてもよかったです。家庭での野菜づくりに役立ちそう」「受け入れ事業者の方が経験豊かで対応がよかったです。専門的な技術研修も受けてみたくなりました」と高評価。

担当者は、「都会ではなかなかできない土に触れる作業をしたいという人や、環境をじっくり見たいという人の希望に応えられる移住支援メニューになっています。2泊以上の滞在であればお試し住宅も利用可能」と話します。

●問い合わせ:津山市 仕事・移住支援室 TEL 0868・24・3787