家づくりでは、どんな土地に家を建てるかが重要。駅に近いか、子どもが通学しやすいか、近くに公園やスーパーがあるか…といったことだけで決めてしまいがちです。しかし実際に土地を見て確認しておかなければ後悔することも。宅地建物取引士の藤谷幹さんが、購入後大きな出費につながる可能性がある、3つのチェックポイントを解説します。土地探しの参考に。

後悔しないよう、現地の確認は不動産業者の視点で!

土地探しをする際、まず気になるのは金額や面積ではないでしょうか。そして用途地域を確認して、どれくらいの家が建てられるかイメージする人が多いと思います。

それ以外にも、台風や大雨のときも浸水することはないか、ハザードマップをチェックすることや、子どもの学区域など。

それらをチェックして絞り込んだら、次は実際に土地を見に行くことになります。このとき、道路づけや、日あたり、周囲の環境を見て、それだけで決めてしまうのは危険です。後悔しかねない落とし穴があるかもしれないからです。

それは、想定外の出費。不動産業者の視点で、現地で確認すべきポイントのなかから費用に大きく影響がある3点を解説していきます。

 

1.敷地内外に2m以上の高低差がないか?

斜面地や隣の土地に比べて、高さがある敷地は魅力的です。眺望や日当たり、風通しがよい建物を建てられる可能性があるからです。

しかし一方で、注意点もあります。敷地内外に2m以上の高低差があり、擁壁がつくられている場合は要注意です。

建築基準法で2m以上の擁壁をつくる場合、擁壁自体に確認申請・確認済証が必要となります。これが取得されている擁壁であれば問題ないのですが、古い住宅地などでは、取得されていない擁壁が多く残されています。そのようなケースでは、擁壁のやり替えやその代わりに行う建物の基礎工事に、大きな費用がかかる可能性があります。

擁壁があるような土地であれば、現地でその高さを図り、2m以上あるかどうかということをチェックしておきましょう。

2m以上の擁壁であった場合、不動産業者に建築確認済証が取得されている擁壁かどうかを確認してみてください。取得されていない擁壁の場合、擁壁の建設時の図面や構造計算書があるかどうかも確認してもらいましょう。

それらの資料がない場合は、建物の基礎工事にどのくらいの費用が余計にかかるのかを建築会社に確認したうえで、土地を購入するのがよいでしょう。

 

2.隣地との境界はクリア?越境物はない?

測量がされている土地の境界には、上の写真のように鋲(びょう)が入っていることがあります。その鋲が道路やお隣との境になるため、鋲と鋲をつないだ線をまたいでいるものがあれば、越境物ということになります。

境界線でまずチェックすべきことは、ブロック塀、擁壁の位置。もし、ブロック塀や擁壁が、敷地内に入っている場合、土地購入後は、自分で管理・修繕をしていく必要があります。そして、お隣さんの所有物であれば、こちらの意志だけでは修繕できなくなります。

また、自転車などの動産物や、植木が境界線をはみ出している場合も、あとでお隣さんとのトラブルになる可能性があります。

これらは土地購入後のトラブルを回避するためにも、クリアしておきたいポイント。気になることは不動産業者に指摘して、納得がいったところで、購入を決めた方がいいと思います。

また、もしも土地の境界に鋲が入っていない場合は、土地売買契約の条件に売主負担による確定測量を入れてもらうのがベターです。確定測量とは隣接する土地、道路すべての所有者と境界の確認を行い、面積や境界を確定させる測量です。

売り渡す土地の面積や境界を、ハッキリとさせてから売却することは売主の責任。大手不動産業者では、売却時の条件として売主の負担で確定測量を行うケースが多いです。

ただし、売主のなかには、この条件を嫌がる方もいるので、交渉は不動産業者を通して慎重に行う必要があります。確定測量を行わなくとも、建築はできますし、どうしても手に入れたい土地であれば、購入後に自費で行うという方法もあります。

3.インフラ設備はちゃんと引き込まれている?

建物を建てる際に、上水道、下水道、ガスなどのインフラ設備を敷地内に引き込む必要があります。

分譲地等の売主が不動産業者の場合、引き込んだうえで売りに出しているケースが一般的。しかし、もともと田んぼであったところが売りに出されている場合、インフラ設備が引き込まれていないまま売りに出されている土地もあります。

 

引き込まれていない土地の場合、引き込みに数十万円程度の費用がかかるため、その分の費用を見込んでおかなければいけなくなります。

引き込みが完了している土地には、それぞれインフラ設備が見えているはずです。

 

上水道であれば水道メーター、下水道であれば汚水桝(おすいます)、ガスであれば引き込みを示す杭が一般的です。土地を見学する際に探してみてください。

もちろん、これ以外にも日当たり、前面道路の幅、間口など、見るべき視点はたくさんありますが、今回は不動産業者の視点で、建物の費用や今後の管理に関わってくるようなポイントを紹介しました。

逆に言えば、このあたりの話をしてくれる不動産業者は、信頼できると言えるでしょう。話題に出ないようであれば、こちらから聞くことをお忘れなく。