Yutaroh Suda #17 of Japan dribbles the ball against Kazakhstan during their group stage match at the FIBA Asia Cup basketball tournament in Jakarta, Indonesia, Wednesday, July 13, 2022. (Photo by Garry Lotulung/NurPhoto via Getty Images)

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世界の舞台で戦うために、須田はシュートレンジの拡大をテーマに挙げた。(C)Getty Images

 来年9月に行われるバスケワールドカップに向けて、強化を重ねる日本代表で一躍存在感を高めた選手がいる。先日のアジアカップ・シリア戦で3ポイント成功率75%(12本のうち9本)という脅威の数字を残し、キャリアハイとなる33得点を決めた、Bリーグ名古屋ドルフィンズの須田侑太郎だ。30歳にして日本代表での本格的なキャリアを歩み始めた万能シューターは、今なにを思うのか。転機となったアジアカップ後に話を聞いた。

【動画】脅威の3P成功率75%!須田侑太郎がキャリアハイの33得点を挙げたアジア杯シリア戦のハイライト


 須田にとってキャリアの大きなターニングポイントとなったアジアカップだが、もちろん反省点がないわけではない。準々決勝ではオーストラリアに敗れ、グループステージではイランに敗戦。この2敗で見えた課題について須田は、「やっぱりイランもオーストラリアもサイズが大きくて、なおかつ3ポイントシュートを警戒していた。きっちりディフェンスしてくるチームに対して、自分がシュートを決めきれなかった部分は反省しています。工夫して決めきる力をつけていかないといけないなというか、そこを乗り越えることが次のステップにつながると思っています」と表情を引き締めた。

 具体的な打開策については、「打てる距離をもっと伸ばさないと難しいですね。やっぱり自分よりサイズの大きい選手を相手に3ポイントシュートを打つとなると、普通のラインのところでいつも通り待っているとディフェンスされてしまう。もっとディープにというか、もっと離れた位置でシュートができれば、よりスペースが広がるので、レンジを広げていくのは大事。その方法を見つけなくちゃいけないですね」とシュートレンジの拡大をテーマに挙げた。

 今回のアジアカップの活躍で来年9月のワールドカップメンバー入りは、より現実味を帯びてきた。本人も大舞台への想いは強いようだが、「意識しすぎずにいたい、というのが正直な気持ちです。やっぱり目の前のことをクリアしていかないと、そこにはつながっていかない」と、あくまで冷静だ。

「狭き門ですし、厳しい戦いだというのは鮮明に見えてきました。もちろん、見えてきたからこそ道のりも分かってきたので、まずは目の前の合宿や試合を戦い抜かなくてはと思っています。その先に結果がついてくればいいかなという感じです」

 これまでのキャリアで培った経験が、彼の土台になっているのだろう。30歳にして本格的に代表活動に参加することになった須田だが、逆にいえば30歳だからこそ見えるものもあるのだ。ポジション争いについても、「外的要因に引っ張られ過ぎると本末転倒なので、自分にベクトルを向けて、今の自分を受け入れながら、自分の力以上を出せるようにアプローチしていっています」と焦りも慢心もなく、平常心で挑んでいる。

「今までやってきたことを評価してもらって、招集されたっていうところはやっぱり嬉しかった部分もあります。自分がやってきた部分を発揮して、また次の合宿でも結果を残したいですね」

 須田は遠くにあるワールドカップの晴れ舞台を見据えながら、今日も目の前のトレーニングに精を出す。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]