永瀬廉『新・信長公記』30〜40代俳優を高1役にしたのは英断も…ギャグのうっすらスベリが残念
いい俳優陣を揃えているし、突飛なSF設定も個性的で悪くない。しかし、脚本や演出によって寒々しくなっていたのは否めない……。
先週日曜に第1話が放送されたKing&Prince・永瀬廉主演のドラマ『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(日本テレビ系)は、漫画『新・信長公記〜ノブナガくんと私〜』が原作で、100年後の未来が舞台の物語だ。
クローン技術により復活した戦国武将たちが高校1年の歳になり、同じ高校に集められ学園の天下統一を目指すというトンデモ設定。永瀬が演じるのが織田信長である。
主要キャラはそれぞれ個性的な学生服に身を包み、奇抜なヘアスタイルをしており、イカツい不良っぽい風貌。要するにこの作品は、戦国武将設定を借りたヤンキーもののバトル&コメディ作品なのだ。
■小澤、満島、三浦、濱田ら30代以上の俳優が神輿を担ぐ
織田信長を演じる永瀬の脇を固める仲間やライバルたちには、豊臣秀吉役になにわ男子・西畑大吾、徳川家康役に小澤征悦、武田信玄役に満島真之介、伊達政宗役に三浦翔平、黒田官兵衛役に濱田岳と粒ぞろい。
実年齢が20代の永瀬、西畑は美形で若々しいため違和感はないが、満島、三浦、濱田は30代、小澤にいたっては48歳のアラフィフ。改めて言うが全員が高1の役である。
永瀬は民放プライム帯ドラマ初主演ということだが、小澤、満島、三浦、濱田といった実績豊富な30代以上の役者が神輿を担いでくれているので、演技面での心配はさほどないだろう。
それにしても30代、40代の俳優が高1の役を演じるのは無理があると思うかもしれないが、過去にも類似の例はある。
たとえばGACKTは、2019年の映画『翔んで埼玉』で、当時40代半ばながら高校生役を怪演。また、賀来賢人は2018年のドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で主演した当時は29歳だし、間宮祥太朗は今年主演したドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系)がスタートしたときは28歳と、いずれもアラサーで高校生役を演じている。
コメディ色の強い作品であれば、役の年齢と実年齢がかけ離れていても、さして問題はないということだろう。
■ギャグシーン、濱田はいい味を出すも…全体的にサムい
第1話ではさっそく総長の座を目指す戦いが始まる。ケンカ最強で一匹狼の武田信玄が205人の生徒に狙われるが、風林火山をもとにした戦法で危機を脱し、最後は織田信長が助けに入り、返り討ちにするというラストだった。
ちなみに信長は何十人ものヤンキーたちを一人であっという間に蹴散らすのだが、単にケンカがめちゃくちゃ強いというだけの描写だったのは少々残念。
信長と言えば「長篠の戦い」の鉄砲を三段撃ちにする戦術や、「桶狭間の戦い」の奇襲などが有名なので、頭が切れる武将というイメージが強い。だから奇想天外なアイデアによる、視聴者が思わず膝を打つような頭脳戦の勝利が見たかった。
そして、もうひとつ残念だったのは、ギャグシーンがいまいちで、全体的にうっすらスベリ続けていたように感じた点。もちろん笑いのツボは人それぞれ違うので、めちゃくちゃ笑ったという視聴者もいると思うし、その感性を否定するつもりもないが、少なくても40代の筆者はあまり笑えなかった。
そんななか、ギャグシーンで唯一存在感を発揮していたのが黒田官兵衛役の濱田。彼は笑いの勘がいいのだろう。セリフの抑揚や間の取り方が絶妙で、シュールでクスッとなる空気感を作り出していた。
ほかのキャストたちも恥を捨てて頑張っていたように思うが、脚本や演出が悪く寒々しいシーンが散見された。
――そんな『新・信長公記』、第1話は世帯平均視聴率6.1%、個人視聴率3.5%(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)と低調なスタート。今夜放送の第2話では、信長の才気あふれる智略が見られることや、ギャグシーンの練度が高まっていることに期待したい。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中