この記事をまとめると

■日本で売れているクルマの8割強が国産車

■海外に目を向けると極めて特殊な状況といえる

■日本車が国内で圧倒的なシェアを誇る理由に迫る

国産車が全体の8割強を占める

 ふた昔前までは、外車(がいしゃ)。最近は、輸入車といった表現があるように、海外メーカーのクルマは、日本ではまだまだ少数派というイメージがある。

 実際の割合では、国産車が全体の8割強を占めている状況だ。

 なにせ、日本には大手の自動車メーカーが目白押し。もっともシェアが大きいトヨタが乗用車市場の半数近くを占め、ホンダ、日産、スズキ、マツダ、ダイハツ、スバル、三菱と乗用車メーカーだけ8社もあるのだ。

 海外に目を向けると、アメリカは、リーマンショック前まではビック3と呼ばれ、最近ではデトロイト3と呼ばれるGM(ゼネラルモーターズ)、フォード、そして欧米連合体であるステランティスがある。ブランドでも、シボレー、キャデラック、リンカーン、クライスラー、ダッジなどアメ車の枠組みでは日本国内での日本メーカー数を越えるほど、多彩なブランドラインアップである。

 ところが、アメリカ市場でのシェアを見ると、日本メーカー各社が全体の4割近くを占めており、残りをデトロイト3と、メルセデス・ベンツ、BMW、VW/アウディのジャーマン3や韓国ヒョンデ/キア、そしてテスラで分け合っている状況だ。

 つまり、アメリカではアメ車の存在感は”ほどほど”であり、日本での日本車主体という市場環境とは大きく違うといえる。

欧州各国も国産車が独り勝ちする状況にはない

 見方を変えると、アメリカで販売されている日本車の多くはアメリカ国内で生産されていることもあり、実質的に輸入車ではない。また、商品イメージとしても、多くのアメリカ人にとって日本車は身近な存在というイメージを持っている。

 次に、視線を欧州に向けると、ドイツではドイツ車、フランスではフランス車、イタリアではイタリア車と、スペインではセアトと、それぞれの国での国産車のシェアは高いのだが、自国ブランドが少ないこともあり、国産車が独り勝ちする状況にはない。

 そして、世界最大の自動車市場である中国では、国産車シェアについて他の市場とは少し意味合いが異なる。

 地場メーカーでは、第一汽車、東風汽車、長安汽車、広州汽車など大手の存在感があるのは当然なのだが、一汽トヨタ、東風日産、長安マツダ、広州ホンダなど、中国政府の自動車産業政策によって、海外メーカーが中国市場で生産・販売する場合は地場メーカーとの合弁が義務付けられる時代が続いてきたという経緯がある。

 そのため、中国では、国産車シェアの数値化が難しいといえる。

 こうして世界各地の自動車市場の実情を振り返ってから、改めて日本市場について考えてみると、日本市場で日本車シェアが極めて高いのは、日本人のモノづくり精神に大きく関係していると思う。

 日本人がもっとも喜ぶクルマ、また日本で乗って使って便利なクルマを徹底的に突き詰めるという日本人気質が、日本ユーザーの日本車への強い信頼感につながっているのではないだろうか。