子育てを終えたり、仕事が一段落したりして、これからの自分の人生を考え始める50代。ここでは、『暮らしのまんなか vol.35』(扶桑社刊)より、50代後半で「自分のための家」を持った山下りかさんが、暮らしの中で大切にしていることをご紹介します。

50代、人生後半の暮らしで大切にしていること

鎌倉駅から徒歩20分ほどの古い一軒家に、2年前に引っ越してきたという山下りかさん。

白い食器のみを収納したガラスケース<写真>

山下さんは、20代のころ、雑誌『オリーブ』で活躍されたスタイリスト。子どもたちが手を離れたのを機に、50代後半になって、やっと「自分のための家」を持つことに決めたそう。

ここでは、本当に必要なものだけを持つ山下りかさんの日々の暮らしを紹介します。

 

「カゴ」を使って、手をかけずにごっそりしまう

若いころに洋書店で見つけたフレンチカトラリーのインテリア誌に、バスケットを引き出しのように並べたバスルームの写真がありました。食い入るように見つめたその1枚が、いまの収納のお手本なのだそう。

「無印良品」のカゴをキッチンの棚に。カトラリーをしまったり、乾物を入れたり。ざっくり片づけるだけで部屋が整います。収納は、「しまったあとの姿」まで思い描くことが大切。

●使う流れに沿ったしまい場所を見つける

アルミのツールバーは、若い頃に「F.O.B COOP」で購入。引っ越しのたびに持ち歩いてきました。

キッチン脇の食器棚は、階段下スペースを利用したもの。壁の一部をはがし、棚を取りつけました。

キッチンは木工が得意な友人が製作。シンクしたのスペースは扉をつけず、オープンにし、かごなどを組み込んで。

小さなルールで、「目に心地よく」配置

古い日本のガラスケースは。中が丸見え。でも「白い器」だけと決めてしまえば、すっきりします。

玄関、窓辺、そして棚の上…。小さなスペースが、まるで洋書の1ページのように見えるのは、きっちり片づけすぎず、生活感がそのまま美しい風景になっているから。

つめ込みすぎず、ほどよい余白をつくる。そこには暮らしながら見つけた、心地よさのルールがありました。

 

●大きな家具を置かず、使う場所に必要なものを

棚のように見えますが、じつは木製の物干し。折りたたんで立てかけると、麻ひもや文房具などの置き場所にちょうどいいんです。玄関には防止や長靴など、庭仕事に必要なものを。

 

急がずゆっくり、「いま」を味わって暮らす

和室にたっぷりとした大きさのソファをしつらえ、窓の外を眺めながら本を読んだり、ライアー(竪琴の一種)の練習をしたり。子育てに追われた日々を経て、いまは一日丸ごとが自分の時間。

耳を澄まして小鳥の声や風の音を聴き、草木の香りを吸い込んで、急がずゆっくり一日を過ごせば、どこかに探しに出かけなくても、幸せはすでにここにあると感じられます。

 

●家具選びは見た目より、居心地のよさ優先で

ダイニングキッチンより一段上がった和室は、庭を眺めながらゆったりと過ごせるくつろぎのスペースに。

大きめなソファは中古で買ったもの。白いカバーは取り外して洗濯できる。

 

「もっともっと」となにかを求めなくても、今ここにあるものに、耳を傾ければ、豊かな時間を育むことができるはず。