改めて知っておきたい熱中症・夏バテ対策。気温以外にも気をつけること
梅雨も明け、毎日気温と湿度が高い日が続いていることから、「なんだか体がだるい…」と感じる方も多いのでは? そこで、ESSEonlineで過去に紹介をして反響の高かった夏の体調に関する記事を、まとめて紹介します。
疲れない体をつくって夏を快適に過ごす
マネできるものばかりなのでぜひ試して、暑い夏を乗りきりましょう!
●自律神経の乱れを整えて疲れない体をつくる方法
「自律神経には心身を活動モードにする交感神経とリラックスモードにする副交感神経があり、両方がバランスよく働くのが理想的。ストレスが多い現代人は交感神経と副交感神経のバランスが乱れがちなので注意が必要です」と話すのは、自律神経の名医と呼ばれる小林弘幸先生。
「とくに夏は室内外の温度差が原因で体温調整機能をつかさどる自律神経が乱れやすくなります。ほかにも、暑いと熱を外に逃がす役割をもつ副交感神経が過剰に優位になり、だるさや夏バテの症状を招くことも。自律神経の乱れは、毎日の習慣を少し変えるだけで改善できますよ」。
たとえば、毎晩10分読書するだけでも、心と体のコンディションが安定し、自律神経を整えるのにも効果的だそう。ここでは、夏の時季にとくに取り入れたい習慣を紹介します。
【取り入れたい習慣6つ】
1:朝は1杯の水で体をリセット。1日2Lの水分補給を
2:夏も朝食を抜かずに腸を整える食材をとる
3:日やけは自律神経を乱すので対策は万全に
4:天気が悪い日には意識して血流をよくする
5:疲れたときには風鈴の音を聞く
6:海や山など自然のなかで過ごしたり、きれいな風景の動画を見る
●お医者さんに聞いた、熱中症対策Q&A
予防も対策もまずは基本から。真夏日(30℃以上)になると、熱中症になるリスクが増加! ただ、気をつけるべきは気温だけの問題ではないことも。
【熱中症になりやすいのはどんな日?】
A たくさん食べた翌日
B たくさんお酒を飲んだ翌日
C たくさん泣いた翌日
答え:B たくさんお酒を飲んだ翌日
ビールなどアルコール飲料をたくさん飲むことは、水分補給になりません。むしろ大量に摂取すると利尿作用を促進。体内の水分が失われ、脱水状態に陥る危険性があります。さらに、お酒を飲むと眠りが浅くなるため、翌日に疲労がたまり熱中症にかかりやすくなることも。
●家でも熱中症の危険性が?かかってしまったときの対処法
【熱中症で倒れた人の対処法は?】
A うつぶせに寝かせる
B 足を高くして寝かせる
C 頭を高くして寝かせる
答え:B 足を高くして寝かせる
まず意識を確認し、意識がはっきりしているようなら涼しい場所に移動させ、足を数十cm程度高くして寝かせます。心臓への血流がよくなり、脳の血流を改善する効果が期待できます。意識がない場合は救急搬送を!
【カラダを暑さに慣らすことが重要!夏はしっかり汗をかこう】
正しい知識をもつことが、いちばんの対策法だと、医師の十河(そごう)剛先生は力説します。その理由は、昨今は、だれもが熱中症にかかるリスクが高まっているからだそう。
「暑さで体温が上昇すると汗が出ます。その汗が蒸発することで熱を外へと逃がし、人間は体温を調節しているのです。ところが、カラダが暑さに慣れていないと、体温調節がうまくいかず、体内に熱がたまり、熱中症を引き起こしやすくなります。どこにいても冷房が完備されている現代は、子どもから大人まで暑さに慣れていない人が多くなっているのです」
カラダを暑さに慣らすためには、日頃から運動を心がけ、夏でも湯船につかるなど、無理のない範囲で汗をかくことが効果的。
「とくに気温が低くても湿度が高かったり、雨のあとの急な晴れ間で暑くなったりすると、熱中症による救急搬送者が急増します。暑さにカラダを慣らしておくことはもちろん、こまめに水分と塩分を補給する習慣をつけて家族の健康を守りましょう」
●とにかく暑すぎ!プロが教える夏バテ対策
暑さや紫外線に悩まされる夏、対策を間違うと、じつは逆効果になることも…。そこで、医学博士の福田千晶さんに教えてもらいました。
【夏バテを放っておかないで。免疫力が下がり秋冬まで影響します】
「夏は基礎代謝量が年間でもっとも低い季節。そのうえ、夏バテで崩れた体調をそのままにしておくと免疫力が低下し、さまざまな病気にかかりやすくなります。秋冬の代謝を高めるためにも、しっかり対策することが大切」(福田さん)。
具体的には、衣・食・住の3方向のケアがポイントに。
「室温や体温の調整はもちろん、夏太りにも注意。いつもより体が重くなるとそれだけでバテるので、食生活にも気をつけて」
<POINT>
・夏バテになると免疫力が下がって、冬に風邪をひきやすくなる
・暑さ対策は衣・食・住に気をつけるのが大切
●冷房で手足が冷える!夏冷えの対策
暑さ対策でエアコンをかけるのは大切。ただその一方で、冷房で手足が冷えるのに悩まされることも。そこで、夏冷えにまつわる対策について、医学博士の福田千晶さんに教えてもらいました。
【衣服や食べ物で温めながら上手に体温調整を】
猛暑日や熱帯夜が増え、年々過ごしにくくなる日本の夏。屋外の炎天下とエアコンの効いた室内では、温度差が15℃以上になる場合も少なくありません。
「コロナ対策のため、きつく冷やして窓をあけるという場所もあり、体温調整するだけで体力を消耗します。外に出かけるときは羽織りものやストール、温熱シートなど体を温めるものを携帯し、冷たいもので胃腸を冷やさないように注意しましょう」(福田さん)
<POINT>
・室温と外気温の温度差に注意!
●冷えやむくみに効くツボ
日本の夏は、高温多湿。汗が蒸発しにくいので熱が体にこもりやすく、つい冷たいものとりすぎて、胃腸の調子が傾いてしまうことも…。
「そんなときに、アプローチしたいのが、胃腸の働きを助けるツボです。指圧やマッサージ、お灸などで刺激して、夏を元気に乗りきりましょう」と話すのは、メイ治療室・女性のための鍼灸院の代表で、鍼灸師の吉田明代さん。
【深部体温に注目!上手に体の熱を逃がして】
気温だけでなく湿度も高い日本の夏は、汗が乾きにくく、深部体温(内臓など、体の深いところの体温)が下がりにくくなるといわれています。
暑くなると、自然に冷たい飲み物や食べ物がほしくなるのは、深部体温が上昇しすぎて熱中症にならないように体の機能が正しく働いているから。ただ、悩ましいのは、冷たいものをとりすぎて、胃腸の調子が傾いてしまうこと。
「東洋医学では、とりすぎた水分はその重みで足元に下がり、脚をむくませる一因になると考えます。水は冷える性質があるので、足元も冷えてしまうのです」と吉田さん。
そこで、今回ご紹介するのが、夏を元気に乗りきるためのツボ「大都(だいと)」です。
「大都は、足の水分のめぐりをよくして、胃腸の働きも整えてくれるツボです。胃腸がしっかり働くことで、体にたまった余分な水分が排出され、むくみや冷えの解消につながります。腸は免疫を司るといわれていますので、免疫力アップも期待できます」
夕方になると足がむくんだり、冷たく感じたりする人にもおすすめ。