知らないで、家を建てると損するかも?最新「窓」の基礎知識Q&A
かつては断熱性能が低く、夏や冬の光熱費を押し上げていた窓。それがLow-E複層ガラスの登場で、劇的に変わっています。これは知っておかないと損。新築やリフォームで、ぜひとも窓にはこだわりたいもの。板硝子協会や機能ガラス普及推進協議会、一級建築士監修のもと、窓について解説します。
Q1 窓ガラスにはどんな種類があるの?
A.主流は複層ガラス。なかでもLow-E複層ガラスの採用率が圧倒的
現在、新築の戸建住宅の主流は複層ガラス(※1)です。板硝子協会の調べによると、2020年度は98.5%を占めています。しかも、複層ガラスのなかでもLow-E複層ガラス(※2)の採用率が86.4%と圧倒的。さらに、その内訳を見ると約30%でアルゴンガス入りのLow-E複層ガラス(※3)を採用しているそうです。
※1「複層ガラス」とは、ガラスとガラスの間にある中空層に乾燥させた空気を封じ込めたもの
※2「Low-E複層ガラス」とは、片方のガラスの内側に特殊な金属膜をコーティングして、複層ガラスよりも高い断熱性能を持たせたもの
※3「アルゴンガス入りLow-E複層ガラス」とは、空気よりも熱が伝わりにくいアルゴンガスを、Low-E複層ガラスの中空層に充填させたもの
Q2 サッシ(框・かまち)にはどんな種類があるの?
A.樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシなど、ハイブリッドサッシが中心
ガラスを支えるサッシは今や、樹脂サッシ(※1)とアルミ樹脂複合サッシといったハイブリッドサッシ(※2)が中心です。木製サッシ(※3)が使われるケースもありますが、数としては前述の2種類ほど多くないそうです。
※1「樹脂サッシ」は、熱伝導率が低い塩化ビニール樹脂をおもな材料とするもの
※2「ハイブリッドサッシ(アルミ樹脂複合サッシ)」は、異なる素材の特徴を生かしたもの。屋外側には軽量で耐久性能に優れたアルミを用い、屋内側には断熱性能に優れた樹脂を用いています
※3「木製サッシ」は、木の特性である断熱性能を生かしたもの。木の質感や風合いも味わえます
Q3 複層ガラスにすると、どんな効果があるの?
A.断熱性能のアップ。四季を通して快適な室内環境を実現!
なんといっても断熱性能のアップです。複層ガラスは、通常2枚の板ガラスの間に乾燥させた空気を封入しているので、中空層に閉じ込められた空気が熱の伝わりを抑え、断熱性能を高めます。これにより、窓ガラスは外気温の影響を受けにくくなり、四季を通して快適な室内環境をつくることができるのです。
なお、複層ガラスには、夏の日差しをさえぎり、熱を室内に入れにくくする遮熱複層ガラスもあります。
Q4 複層ガラスなら、電気代が下がるの?
A.建物全体の断熱性能が高まるので、その分の光熱費は抑えられる
複層ガラスと電気代は、直接的な関係はありません。しかし、複層ガラスの使用によって窓の断熱性能が高まり、建物全体の断熱性能が上がると、必然的にエアコンなどの冷暖房機器の使用が減少すると考えられます。そのため、機器の使用が減った分の光熱費は抑えられます。
Q5 遮熱複層ガラスでは、室内が暗く感じるのでは?
A.可視光線の透過率は高いので、室内の明るさや眺望は損なわない
遮熱複層ガラスは、夏の太陽エネルギーを遮断し、熱を室内に伝えにくくする特性があります。可視光線の透過率は高いので、室内の明るさや眺望を損なうことはほとんどありません。窓面のまぶしさも抑えられ、部屋全体が快適な光で包まれます。
また、適度な日射熱を通すので冬でも室内は暖かな環境に。窓辺でのひなたぼっこも楽しめます。日が当たらない場所との温度差も減少するので、快適にくつろげます。