4歳女児と行く『シン・ウルトラマン』。鑑賞後まさかの反応<古泉智浩の養子縁組やってみた94>
53歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した小2の長男・うーちゃん、里子の4歳の長女・ぽん子ちゃんという家族5人で暮らしています。今回は、映画鑑賞とぽん子ちゃんについて。
古泉さん待望の映画鑑賞!子どもたちの反応は?
養子の小2の男の子、うーちゃんを映画『シン・ウルトラマン』に誘ってみました。うーちゃんは映画があまり好きでないので、いつも断られます。自分自身が小学生のときに父親に誘ってもらえたら絶対にうれしいだろうという確信をもって、しかも後から振り返ったときに「パパと見たなあ」と思ってもらえたらと思うのですが、思いは通じません。
毎年『クレヨンしんちゃん』の映画に誘いますが、今年も断られてしまいました。なぜか一昨年は一緒に行ってくれて、うーちゃんと里子のぽん子ちゃんと3人で見ました。とっても楽しかったです。さて今回はどうでしょう。
●大体断られるうーちゃんと、腰が軽いぽん子ちゃん
「うーちゃん、『シン・ウルトラマン』見に行こうよ」
小学生ならきっと見たいはずです。僕がまず見たいわけですが。
「ぼくいかなーい」
「いきたーい」
うーちゃんが断ったのとほぼ、同時に誘っていないぽん子ちゃんが行きたいと言います。
「でも、これはおっかない怪獣が出るから……」
「ぽんこちゃん、いくー!」
すっかり行く気まんまんです。
うーちゃんはポケモンと野球にしか関心がなくて、時々釣りにつき合ってくれるくらいで、なにに誘ってもほぼ断ります。
野球が好きだから体を動かすし、チーム名の難しい漢字や得点や打率などの数字、計算、ややこしいルールなど興味を持ってくれます。広く浅いより一つの物事を深堀した方がいいこともあります。プロ野球ではDeNAベイスターズを応援しています。野球は地元の独立リーグの試合、高校野球などスポーツ観戦の楽しみもあります。高校野球は僕とママがハマってしまい、大人だけで県大会の決勝を見に行ってしまいました。夏の高校野球県大会が楽しみで仕方がありません。
●映画が大好き!ぽん子ちゃん
『シン・ウルトラマン』についてはその場限りで、僕は一人で見に行こうと思っていました。公開が近づきテレビCMで『シン・ウルトラマン』が流れると、
「パパ、これいくんだよね」
と、ぽん子ちゃんがうれしそうに言います。忘れていなかった。ぽん子ちゃんは映画が好きなのです。『クレヨンしんちゃん』も毎年一緒に行ってくれるし、『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』も一緒に見ました。
『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』は外国の児童文学が原作の映画で、映画館で予告を見たらいかにも子どもが喜びそうな楽しそうな映画だったので、
「ぽん子ちゃん、犬がでっかくなる映画見に行きたい?」
と誘ってみたところ、二つ返事で快諾しました。
それから映画の公開までしばらくあったのですが
「いぬがでっかくなるえいが、いくんだよね」
と何度も何度も言いました。
「うん、行こうね。もうちょっとしたら始まるからね」
なだめるのが大変なほどで、本当に誘い甲斐のある子です。
実際見に行くと、予想していたよりおもしろくて、ぽん子ちゃんも最後まで集中して見ていて、大人も楽しめるすばらしい映画でした。配信もあるみたいなのでおすすめです!
●ウルトラマン世代のなか、ぽん子ちゃんは?
『シン・ウルトラマン』はどう考えても女の子向きではありません。しかし、ぽん子ちゃんは完全に見る気まんまんです。
「ママと『プリキュア』の映画でも見た方がいいよ」
「『シン・ウルトラマン』がいい」
一体なぜそんなに見たいのでしょうか。
そういうわけで、僕とママとぽん子ちゃんで見に行きました。映画館に入る前にトイレに行きます。
ポップコーンと白ブドウのジュースを買って座席につきました。
「ジュースはゆっくり飲むんだよ。あんまりすぐに飲んじゃうとおしっこに行きたくなるからね」
「わかった」
座席はコロナ対策で一つ飛ばしになっています。スクリーンに近いとぽん子ちゃんが怖がりそうなので後方を取りました。通路の隣がぽん子ちゃん、一つ飛ばして僕、さらに一つ飛ばしてママが座ります。
周囲のお客さんは、男性しかも高齢男性が大半です。まさしくウルトラマン世代、僕と同世代か上ばっかりで子どもなんか一人もいません。まずいと思いました。
映画が始まると、ぽんこちゃんはほぼ一気にジュースを飲み干し、ポップコーンを僕に手渡して、席から立ち上がり、僕の前を通ってママにも渡します。一つ飛ばしのせいでぽん子ちゃんが歩き回っている。
「歩かないで座って見るんだよ」
●映画が始まるとまさかの「おしっこ」
前半はウルトラマンが割と派手に怪獣たちと戦っていましたが、中盤になると会話のシーンが多くなりました。
「おしっこでる」
出た、と思いました。まだまだ中盤で最後まで我慢できるような時間ではありません。諦めてトイレに向かいました。子どもと一緒に入れるトイレで用を足させると、うんちもしました。うんちは我慢するとよくないのでよかったです。
席に戻ってしばらく見ていると再び言いました。
「おしっこ」
「さっきしたばっかりじゃん。本当?」
「おしっこでる」
劇場内で会話をしてはいけないので、トイレに行きました。すると、本当に凄い勢いでおしっこが出ました。ジュースの飲みすぎです。
2回も中断して、外でママを待っていようかと思いましたがぽん子ちゃんは戻ると言います。席に戻って最後まで見ました。
●ぽん子ちゃんとスペシウム光線
劇場を出るとぽん子ちゃんが言いました。
「おもしろかったね!」
さっぱり楽しんでいる様子がなかったのに、おもしろかったのかな。
「ウルトラマン、こうだよね」
ぽん子ちゃんが、右腕を前に肘を立てて構えました。ゆっくりと左腕を水平に回して、クロスさせました。スペシウム光線のポーズです。
見事に間をとって、本当のウルトラマンのようで、手からビームが出そうでした。ぽん子ちゃんなりになにかが心に残ったようでよかったです。