元国税職員芸人が語る。「お金が貯まる・貯まらない」人の決定的な違い
元国税職員でファイナンシャルプランナーの肩書を持つ芸人のさんきゅう倉田さん。2021年12月に発売した著書『世界一やさしいお金の貯め方 増やし方 』(東洋経済新報社刊)は読みやすい、わかりやすい、と大ヒットとなっています。
元国税職員に聞いた。どうしたらお金って貯まるの?
今回は、元国税職員という異色の経歴を持つさんきゅう倉田さんに、今からでもすぐに試すことができる「お金の使い方」について聞いてみました。
●お金が貯まる・貯まらない人は「使い方」が違う
お金に関する幅広い知識をもつ倉田さん。その知識は、国税職員として働いていたときに仕事の範囲でマネー関係や経済関係の本を読んで勉強され、芸人になってさらに知識を深めていったそう。では、幼少期はどのように過ごされていたのでしょうか?
「小さい頃とかは普通に流行りのガチャガチャを欲しいものが出るまで1500円ぐらいかけて回すとかしてましたよ(笑)。今思うと、小学生にとっては1500円って大金ですよね。お小遣いが確か600円くらいだったので、2〜3か月分ぐらい貯めて使っていたことになります」
好きなものにお金をかけるおちゃめな一面もありつつ、やはり子どもの頃から“貯金”という意識はあったようです。そして驚くことに、高校時代から「結構貯金はあった」のだとか…!
「服とかは買ってはいましたけど、あまり欲しいものはなかったですね。貯金をあるだけ使うっていう考え方が僕にはなかったかも。著書にも書いたのですが、あったらあった分だけ使っていい、という考え方の人もいるじゃないですか。じつはこの「1万円があったらぎりぎりまで使う」人が、お金が貯まらないタイプで、反対にお金が貯まるタイプの人は、先を見越して5000円だけ使いますね」
さらに、倉田さんは「1万円の使い方によっても、貯まる人・貯まらない人の差が生じる」と続けます。
「現在の欲求を満たすためにお金を使う人より、習い事や資格取得など、未来の豊かさにつながる支出に使う人のほうが貯まる傾向にありますね。たとえ収入が一緒だったとしても、どういうお金の使い方をするかによって貯まる金額は変わってきます」
●「手間」や「時間」も節約することが大切
また、ご自身の経験からお金持ちほど、「手間や時間をお金で買う」ことが多いと教えてくれました。その理由は、「時間は限られたものだということを知り、貴重なものだと知っている」からこそ。
「時間はお金と等価交換できると僕は思っているので、時間の節約になるんだったら、お金に投資してもいいって思います。時短になるならお金をかけるし、お金の節約のために時間をかけることはないかもしれないです。だから、終電が終わってしまって歩いて帰る、ということはしないでタクシーにも乗っちゃいますね」
著書でもお金が貯まらない人の悪習慣として「交通系電子マネーを1000円ずつチャージ」することをあげています。
「チャージのために並んだり、残高不足でひっかかる時間が無駄ですよね。だから、大切な時間を節約するうえでも、交通系電子マネーは、オートチャージか、それでなければ1万円をチャージするようにオススメしています」
それは、スーパーでの買い物も同じこと。安いものを買うためにわざわざ少し遠くのスーパーに行く節約はしないそうですが、そこにはこんな理由が。
「やっぱり遠くに行く分、時間も手間もかかりますからね。複数行くとポイントカードのポイントも分散しますし。その点、よく行くスーパーならば、なにがどれだけ安くなっているかもわかりやすいです。あとは、出かける前に冷蔵庫の中を見てください。それだけで同じものを買って無駄にするということもありません」
●衝動買いや後悔が減る買い物ルール
そして、買い物をする際は「『欲しい』以外の理由があれば買う」ことをルールとしてもっておくことが大切です。
そうすることで、衝動買いをすることもなくなり、購入後にしばらく経ってから「買わなければよかった」という後悔も減ります。ちなみに、倉田さんが最近購入したものは、ロボット掃除機の『ルンバ』。
「僕は部屋にあまりものがないタイプなので、座椅子に座って作業をしていると、床が近いからホコリがたまっているのが見えるんですよね(笑)。クイックルワイバーみたいなのをかければいいんですけど、毎回は手間や面倒がかかるので、この時間を節約するためになら買ってもいいかな、と思ったんです。あとは、1人暮らしの寂しさを癒してくれそうかな、という2つの理由から購入しました」
●お金の管理は「把握」することが大切
お金を貯めるうえでも、使ううえでも、自分でお金の流れが把握しやすいことが大事だと倉田さんは言います。
「クレジットカードも複数持っているならひとつにまとめたほうがオススメです。1か所ならスマホの画面で確認できるので。複数になると頭の中で確認しなくちゃいけなくなるし、面倒なんですよね。家計簿をつけるにしても、やっぱり紙だと大変。マネーツリーなどアプリを使うなら紐づけやすいので、キャッシュレスのほうが利便性が高いんじゃないかと思います。
ただ、紙にせよアプリにせよ、基本は自分がどれだけ使ったのか、どれだけ貯まっているのか、をわかりやすく把握しておくことが大切です。貯めるにしても、管理するのが難しいもの。貯金用としてひとつ口座をつくって入金をしていって、そちらには手をつけないルールをつくれば、放っておいてもお金は貯まります」
そして、ライフプランも考えて、将来的にいくらお金が必要なのか考えることも重要。
「ライフプランを考えたときに子どもが5年後はいくつになって、どれぐらいのお金が必要だから今からどれぐらいの金額を貯金しなければならないのか、夫婦で話し合って計算していくのがいいですね。ただ、ライフプランはどんどん変わるので、その都度を更新するのがいいと思います。現状から予測できるライフイベントを表に書き出して考えていくと分かりやすくていいですよ」
●世代で変わりつつあるお金への意識
最近では、小学校に「お金」の講義をしにいくこともあるのだそう。早い段階から勉強させたいと考えている親御さんが多いようです。
「話をしに行ってみると、意外とすでに基礎知識があるんですよね。間接税を知っていたり。親御さんが教えているのかな。そうやって子どもと一緒にお金のことを勉強するのもいいですよね。好きな雑誌のマネー特集を見てみるのもいいですし、僕はテレビ東京のWBSが好きですね。マネーというよりは世界経済みたいなことが多いですけど、やっぱり役に立ちますし」
さまざまなお金の質問に戸惑うことなく即答してくださった倉田さんの今後のライフプランについてお聞きしてみました。
「とくに立ててないです。結婚したら多分考えると思うんですけど、その予定がないので急いでいます。今後の目標としては……世界平和ですかね。あとは恋人にぜいたくさせられるぐらい、所得を伸ばすことですかね。愛する人をまず見つけなきゃいけないですけど(笑)」