今年10月に県内を舞台に開催されるとちぎ国体・全国障害者スポーツ大会の注目選手・競技を紹介する特集「一期一会」です。今回は、やり投げ成年男子に出場する小椋健司(おぐら・けんじ)選手です。去年6月に自己ベストを更新、大注目の選手です。

鳥取県出身、27歳の小椋選手は大学を卒業後、東京で働きながら練習していましたが、競技に専念したいという思いから2020年に県スポーツ協会のスポーツ専門員になりました。

小椋選手:「小学生の頃、野球をしていて中学生から陸上を始めたんですけど中学生の時は元は短距離と駅伝をメインにやっていて、あるときジャベリックスローっていう中学生のやり投げバージョンプラスチックのやつがあるんですけど、ちょっと出てみないかと言われて出たところいきなり県で2番になって…そこから高校の先生にうちでやり投げをやってみないかと言われて始めたのがきっかけです」

競技で使うやりは身長181センチの小椋選手より80センチも長い2メートル60センチ!

小椋選手:「普段、自分より長い物、自分の身長180弱あるんですけど、それより大きい物を投げる機会はなかなかないと思うんですね。投げた時にそれがきれいに飛んでいく姿というのがけっこうボクは魅力的だなと思ってやらせてもらっています」

身長よりも長いやりをどれくらいの距離、飛ばすのでしょうか。

記者:「ベストレコードを教えて下さい」

小椋選手:「81メートル63センチを投げています。それまでの自己ベストは79メートル70いくつだったんですけど、一気に2メートルくらい更新しました。去年の6月に超えさせてもらって自身初めてです、80メートルを投げたのは。80メートルを投げると言われて早2、3年経っていたのでやっと超えれたというのは安心もあり、まだまだいけるぞっていう逆に火をつけさせてもらったメートルですね、81メートルは」

実際にやりをどのように飛ばすのか教えてもらいました。

記者:「小椋選手、投げ方のコツを教えていただければと思うんですけど」

小椋選手:「やり投げの布の部分を手のひらに置いてもらって、はじっこを指でひっかけてもらって、それを上に引いて、これをまっすぐ投げるのが一般的な投げ方になっています」

記者:「小椋さんの身長より高いですけど」

小椋選手:「2メートル60センチか70センチあるので最初に投げる人はこうなってしまいます。野球みたいにこうやって投げるとやり先が外を向いちゃうんでコーンと当たってしまう人が多いです」

記者:「重さも800グラムということなんですけれどもどんな感触なんですか」

小椋選手:「ボクも初めて持った時は案外軽いなという印象だったんですけど、これをまっすぐ投げないといけないのでちょっとボールより投げにくい投げ方になっちゃうのでうまく投げないといけない。技術が必要な種目なんだなとやっているとつくづく思います」

記者:「投げる角度とか風の抵抗を受けると思うんですけどそこらへんを意識して投げられているんですか」

小椋選手:「やりの最高の角度が35度から32度と言われていて、それ以上、上がってしまうと風の抵抗だとか上に飛びすぎてロスしてしまうのでそこを目がけて投げています」

試合では会場にある目標物を定めて投げているそうです。少しでも遠くへ投げるためには投げるまでの動作にさまざまな要素が必要です。

小椋選手:「腕だけ強くても足だけ強くても飛ばないので全部のバランスが良く均等になおかつ柔軟性のある鍛え方をしないとやりが飛ばないと思っているので、そういったところに気を付けてトレーニングするようにしています」

記者:「調子いいときはどういう時」

小椋選手:「ボクの場合はしっかり助走が走れて左足がブロック足なんですけど、タイミングが合っているときやりが浮いてくる。それが出てくるときは調子いい」

栃木に来て2年。小椋選手は佐野市に拠点を置いて練習に取り組んでいます。

小椋選手:「地元が鳥取なんですけど皆さんやさしいといいますか、田舎、言い方悪いですけど県民の方、距離が近くなりやすいのでその点に関してすごく住みやすいなと思います」

小椋選手には普段。練習をそばでみてくれるコーチがいません。しかし地元の鳥取県からアドバイスをしてくれる心強い味方がいます。

小椋選手:「鳥取の方に幼稚園からの先輩である人がやり投げをしていたのでその人とうまく連絡を取り合って投げの動画を送って、どの局面がどう悪いかとかを指摘してもらっています。自分の感覚的にはこの投げは悪くなかったんですけどシーズン中のスピードが上がっていない。客観的に試合に生かせた。今年最初2試合の結果につながった。コーチがいなければここまで伸びることもなかった。助かっていますという言い方も変ですけど感謝しています」

ストイックに練習に取り組んだ結果、去年8月、国体と同じ会場で行われたリハーサル大会で優勝。この1年間に出場した13の大会のうち12の大会で3位以内に入賞し順調に成果を上げています。

小椋選手は国体にこれまで5回出場していて、並々ならぬ思いを持っています。

小椋選手:「国体は自分も特別な感情がありまして普通の大会だと会社だとか学校を背負って試合すると思うんですけど、国体は県の代表として出場するので背負っているものが大きくなって応援して下さる方も増えるのでボクは楽しみですごく好きな大会になっています。大学4年生から社会人2年目まで3大会で3年連続2位と悔しい結果を残しているのがボクの中では心残りであります。必ず1位を取って2位の呪いを打ち破りたいと思います」

10月の本番、栃木の空に美しいアーチを描く…期待が高まります。

小椋選手:「県の代表として競技させてもらうので天皇杯・皇后杯の獲得に向けて少しでも力になれるように精一杯頑張っていきたいと思います」