260年の時を経て一大事業が行われます。足利市にある寺で本尊である「毘沙門天像」を修復することとなり、9日、搬出のための梱包作業が行われました。

1メートル80センチにも及ぶ寄木造の毘沙門天像。足利市にある最勝寺が本尊として祭っていて、関東では最も古く県の文化財に指定されています。

この立派な像が修復のため、いったん寺を離れることになりました。事の発端は去年2月に発生した両崖山の山火事でした。近くまで燃え広がる恐れがあったことから、この像などをお堂から運び出しました。

江戸時代の宝暦12年、1762年に再建されたお堂に納められてから、実に260年ぶりとなった毘沙門天像の外出。火事の影響は免れましたが本来であれば調査を経て慎重に運び出すところ、わずか数時間で搬出したため経年劣化もあって一部が損傷してしまったのです。

そこでこのほど、京都市の美術院国宝修理所の手で3年間に及ぶ修復作業が行われることになりました。これまでは鎌倉時代や平安時代の作風と評価されてきましたが、このほど頭部から発見された木札から江戸時代の宝暦7年、お堂再建の5年前に造られたことが分かりました。

像は10日に運び出され、3年をかけて修復が行われます。