かつてブームになった「酢タマネギ」をご存じでしょうか? その健康効果が再び見直され、また注目されています。順天堂大学病院教授の小林弘幸先生に、その効果とレシピを教えてもらいました。

免疫力を上げる酢タマネギの簡単レシピ

2016年頃、健康食として一時期ブームになった「酢タマネギ」。家庭に必ずある酢と「タマネギを使ってつくる酢タマネギは、多くの健康効果があることから、現在再注目されています。

目に見えない新型コロナウイルスと闘う生活を続けるなかで、小林弘幸先生が、改めて何をすれば健康な体を手に入れることができるかと考えた結果たどり着いたのが、「食事の改善」でした。健康によいとされるものは巷にたくさんあふれていますが、何を食べれば病気や不調の予防・改善につながるのでしょうか。そこで小林先生がおすすめするのが、多くの栄養素を含んだタマネギと、発酵食品である酢を組み合わせてつく「酢タマネギ」なのです。

●注目すべきは「血液サラサラ」と「腸内環境改善」

酢タマネギには多くの健康効果がありますが、なかでも注目すべきなのは、タマネギに含まれる硫化アリルによる「血液サラサラ」効果です。血液がサラサラになると、さまざまな生活習慣病の引き金となる動脈硬化や、高血圧を改善することができるからです。さらに、硫化アリルには、血液中の糖質や脂質を減少させる働きがあり、食後血糖値の急上昇を抑制し、糖尿病を予防する効果もあります。

また、酢とタマネギによる腸内環境の改善により、免疫力が活性化したり、ダイエット効果がアップしたり、自律神経を整えることにもつながるのです。

健康は元気な体であるからこそ、維持できるもの。酢タマネギを食事に取り入れることで、自分の健康と改めて向き合ってみることが大事だと、小林先生は言います。

 

基本の「スライス酢タマネギ」と「みじん切り酢タマネギ」のレシピ

酢タマネギには、タマネギをスライスしてつくる「スライス酢タマネギ」と、タマネギをみじん切りにしてつくる「みじん切り酢タマネギ」があります。

●スライス酢タマネギ

【材料】

タマネギ 1個(200〜300g)
塩 少々
酢 150〜200ml ※醸造酢なら何でもよいですが、原材料をよく見て、食品添加物が含まれてないものを選ぶとより効果的。
ハチミツ 大さじ2

【つくり方】

(1) タマネギの皮をむいて、縦半分に切り、芯や芽を取り除き、繊維に沿ってスライスする。

<Point>冷やしたタマネギを使うと、涙が出ない!

(2) 切ったタマネギをボウルに移し、30分〜1時間ほど室温においたあと、塩をふりかけてよく混ぜる。

<Point>大事な栄養成分が流れ出るので、水にはさらさない。

(3) 瓶にタマネギを入れ、タマネギがひたひたになるまで酢を注ぐ。

<Point>タマネギを瓶に入れる際は、少し押し込むように。

(4) ハチミツを加え、全体をよく混ぜる。

<Point>ハチミツを少量のお湯で溶かすと混ざりやすい。

(5) 粗熱が取れたら瓶に移し、冷めてからフタをして、冷蔵庫で保存する。冷蔵庫で2週間程度保存可能。

●みじん切り酢タマネギ

【材料】

タマネギ 1個(200〜300g)
塩 少々
酢 150〜200ml ※醸造酢なら何でもよいですが、原材料をよく見て、食品添加物が含まれてないものを選ぶとより効果的。
ハチミツ 大さじ2

【つくり方】

(1) タマネギの皮をむいて、縦半分に切り、芯や芽を取り除き、繊維に沿ってスライスする。

<Point>隠し包丁を繊維に沿って入れると、手早く細かく切れる。

(2) 切ったタマネギをボウルに移し、30分〜1時間ほど室温におく。

<Point>大事な栄養成分が流れ出るので、水にはさらさない。

(3) 鍋に酢とハチミツを入れ、弱火でハチミツを溶かす。

<Point>必ず換気をしながらやろう。

(4) タマネギを加え、かき混ぜながら中火〜弱火で2〜3分加熱する。

<Point>酵素が壊れるので、加熱しすぎないように注意。

(5) 粗熱が取れたら瓶に移し、冷めてからフタをして、冷蔵庫で保存する。冷蔵庫で2週間程度保存可能。

●みじん切り酢タマネギを使った「タルタルで食べるチキン南蛮」

【材料(2人分)】

鶏もも肉 1枚
片栗粉 適量
溶き卵 適量
揚げ油 適量
A[酒、しょうゆ大さじ1/2]
B[酢タマネギの漬け汁、砂糖、しょうゆ大さじ2]
つけ合わせ野菜 お好みで
タルタルソース[みじん切り酢タマネギ50g ゆで卵1個 マヨネーズ大さじ1 パセリ(みじん切り)適量]

【つくり方】

(1) ゆで卵は細かく刻み、酢タマネギ、マヨネーズ、パセリを混ぜ合わせてタルタルソースをつくる。

(2) 鶏もも肉はひと口大に切り、ポリ袋に入れ、Aを加えてもむ。片栗粉、溶き卵の順に衣をつけ、170℃に熱した油で揚げる。Bを混ぜ合わせておく。

(3) 鶏もも肉に火が通ったら、熱いうちにBに漬ける。

(4) Bから鶏もも肉を取り出して、つけ合わせ野菜とともに器に盛り、(1)をかける。

 

●暑くて食欲がなくなりやすい時期には、さっぱりとした「酢タマネギ」を

 

「酢タマネギ」を使って料理をつくる以外にも、いつもの食事に「酢タマネギ」を漬け物代わりに添えるだけでもよいのです。ぜひ、健康な体と心を手に入れましょう。