デノンは、Hi-Fiオーディオのミドルクラス3製品を5月下旬から順次発売する。価格は、USB DAC搭載プリメインアンプ「PMA-1700NE」が218,900円など。カラーはいずれもプレミアムシルバー。

USB DAC搭載プリメインアンプ「PMA-1700NE」

USB DAC搭載プリメインアンプ「PMA-1700NE」:218,900円 / 5月下旬

HEOS対応プリメインアンプ「PMA-900HNE」:132,000円 / 6月下旬

CDプレーヤー「DCD-900NE」:77,000円 / 6月下旬

HEOS対応プリメインアンプ「PMA-900HNE」

CDプレーヤー「DCD-900NE」

PMA-1700NEは、10〜15万円のミドルクラスのプリメインとして人気を集めてきた「PMA-1600NE」(2016年発売)の後継機。6年ぶりのアップグレードモデルとなる1700NEは、デノン110周年記念モデル「PMA-A110」(2020年発売、実売374,000円前後)と同じ構成の増幅回路や、上位機種で使っているサウンドパーツを採用し、USB DAC部のアイソレーター回路(PCからのノイズを遮断し、他の回路の音質劣化を防ぐもの)を改善するなど、各部を刷新して音質を強化。機能や外観上の変化は少ないが、「パフォーマンスは大きな飛躍を遂げており、フルモデルチェンジと表現しても差し支えない」とアピールしている。

PMA-1700NEの利用イメージ(スピーカーなどは付属しない)

PMA-900HNEは、デノン初のネットワーク再生に対応したフルサイズのプリメインアンプで、独自のネットワークオーディオ HEOSをサポート。DCD-900NEは、ハイエンドモデルの設計思想と技術を受け継いだ高性能CDプレーヤー。どちらもデノンのHi-Fiオーディオのミドルグレードと位置付ける「900シリーズ」の製品だ。

先代にあたる800シリーズはプリメインアンプ、CDプレーヤー、ネットワークオーディオプレーヤーの3モデルで構成していたが、昨今の音楽ストリーミングサービスの普及と高音質化、プリメインアンプに対するニーズの変化を踏まえ、900シリーズではネットワーク機能を搭載したプリメインアンプ、CDプレーヤーの2機種をラインナップする。

3機種とも、デノン独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」を投入。デジタル入力されたPCM信号を、デジタル化される前の本来のアナログ波形に復元して後段のアンプ回路へと送り出すもので、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を追求している。

“900シリーズ”のDCD-900NE(上)とPMA-900HNE(下)

○USB DAC搭載プリメイン「PMA-1700NE」の詳細

PMA-1700NE

「繊細さと力強さ」を高い次元で両立するために、出力段には微小領域から大電流領域までのリニアリティに優れ、大電流を流せるUHC-MOS(Ultra High Current MOS)FETをシングルプッシュプルで用いるシンプルな回路を採用。PMA-A110の構成に準じ、発振に対する安定性に優れる差動2段アンプ回路とすることで、より素直な音質傾向になったという。

PMA-1700NEの内部パーツ

プリアンプも刷新し、PMA-A110と同様の可変ゲイン型プリアンプおよび電子制御ボリュームを採用して、ノイズレベルを改善。また、オーディオ回路に使用される高音質コンデンサーや抵抗などのパーツのほとんどをPMA-A110と共通化し、音質担当エンジニアとサウンドマスターによる入念なサウンドチューニングを行うことで、デノンの理想とする「Vivid & Spacious」なサウンドを実現した。定格出力は70W×2(8Ω)、140W×2(4Ω)。

PMA-1700NEの内部イメージ

USB DAC機能を搭載しており、PCなどと接続して最大11.2 MHzまでのDSDと、384kHz/32bitまでのPCMを再生できる。PMA-1700NEではデジタルオーディオ基板をシールドケースに収め、PCから流入する高周波ノイズを遮断する高速デジタルアイソレーター回路を搭載し、繊細なアナログオーディオ信号への干渉を排除。さらに、アナログ入力信号を再生するときはデジタルオーディオ回路の電源をオフにして、純粋なアナログアンプとして動作させる「アナログモード」も備える。

デジタル入力ではUSBのほか、192kHz/24bitまでのPCM信号に対応する光入力を2系統、同軸入力を1系統装備。アナログ入力は、アンバランス×3、フォノ×1、EXT. PRE×1。アナログ出力は、アンバランス×1、ヘッドホン×1を装備する。MM/MC対応のフォノイコライザーも備え、レコードプレーヤーと接続できる。スピーカーターミナルはA/Bの2系統を切り替えて使える。

アンプの動作の要である電源回路も強化し、十分かつクリーンな電流供給を追求。消費電力は295W(待機時0.2W)。本体サイズは434×410×135mm(幅×奥行き×高さ)、重さは17.6kg。リモコンや電源ケーブルなどが付属する。

PMA-1700NEの背面

○HEOS対応プリメインアンプ「PMA-900HNE」

PMA-900HNE

ネットワークオーディオ「HEOS」に対応し、Amazon Music HDやSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスを再生したり、インターネットラジオを聴取したりできる。LAN上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)やUSBメモリーに保存したハイレゾ音源も再生できる。

他にも、AirPlay 2対応デバイスやBluetooth機器など、さまざまなソースから音楽を再生でき、さらに同一ネットワーク内の他のHEOS Built-inデバイスに900HNEで再生中の音楽を配信することも可能。Amazon Alexaによる音声コントロールにも対応する。搭載する無線LAN機能はIEEE 802.11a/b/g/n/ac(2.4/5GHz対応)準拠。

PMA-900HNEのデジタルオーディオ基板。これをシールドケースに収め、アナログオーディオ信号への干渉を抑制する

価格を抑えながら、上位のPMA-1700NEと同様に新型の増幅回路を搭載。上位機種「PMA-A110」の構成に準じ、従来の差動3段アンプと比べて発振に対する安定性に優れるという差動2段アンプ回路を採用。より素直な音質傾向にしたという。

PMA-900HNEの上部カバーを外したところ

プリアンプも刷新し、PMA-A110と同様の可変ゲイン型プリアンプと電子制御ボリュームを採用して、ノイズレベルを改善。PMA-A110のために開発したデノン専用のカスタムパーツも投入している。デノンならではの「Vivid & Spacious」なサウンドチューニングも施した。定格出力は50W×2(8Ω)、85W×2(4Ω)。

デジタル入力は、PCM 192kHz/24bitまで対応する光入力が3系統、同軸入力が1系統。アナログ入力はアンバランス×3、フォノ×1を備える。アンバランス出力、サブウーファープリアウト、ヘッドフォン出力、Ethernet端子も装備する。そのほか、MM/MC対応のフォノイコライザーを搭載。スピーカーターミナルはA/B 2系統。

消費電力は200W(待機時0.2W)。本体サイズは434×375×131mm(幅×奥行き×高さ)、重さは8.3kg。リモコンやWi-Fi/Bluetoothアンテナ×2、電源ケーブルなどが付属する。

PMA-900HNEの背面

○CDプレーヤー「DCD-900NE」

DCD-900NE

PMA-900HNEと組み合わせて使えるCDプレーヤー。900HNEの奥行きに合わせて本体を大型化したことで内部スペースに余裕が生まれ、基板のレイアウトや回路設計も一新。

電源回路のレイアウトや、基板上の左右チャンネルの対称性を最適化したことで「サウンドステージの広がりや正確な音像定位にさらに磨きがかかった」としており、さらに高性能な32bit対応DACを採用したり、本体の剛性を高めたりして高音質を追求している。

DCD-900NEの上部カバーを外したところ

音楽CDに加えて、MP3やWMAファイルを記録したCD-R/RWも再生可能。USBメモリー再生にも対応しており、最大192kHz/24bitまでのPCMと、5.6MHzまでのDSDといったハイレゾファイルをサポートする。



出力としてアナログアンバランス、光デジタル、同軸デジタルを各1系統搭載。アナログオーディオ出力端子には新たに左右チャンネル独立タイプのピンジャックを採用し、余裕のある間隔で配置した。

DCD-900NEのアナログオーディオ出力端子を中から見たところ。左右チャンネル独立タイプのピンジャックを備えている

消費電力は24W(待機時0.3W)。本体サイズは434×328×107mm(幅×奥行き×高さ)、重さは4.9kg。リモコンやオーディオケーブル、電源ケーブルなどが付属する。

DCD-900NEの背面