老後の暮らしで不安なことは? と聞かれて、「お金」と答える方も多いのでは? 50〜60代にもなると、すぐ目の前に迫りつつある老後のお金問題…。まずはどんなことから手をつけたらいいのでしょうか? 今のうちからやっておきたいことを、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに聞いてみました。

老後のためのお金の使い方。出費をコントロールする習慣を

老後のお金を計画的に使うためにも、習慣づけておきたいのが出費の記録。

「家計簿は手間」という人へのおすすめが、畠中さんが考案された「貯金簿®」です。また、老後の思わぬ“落とし穴”になりがちな特別支出に関しても計画的に備えましょう。

●貯金簿®で資産を管理する

出費の管理に、今すぐ始められて老後もずっと役に立つのが下の表の「貯金簿®」。

「貯金簿とは預貯金や投資商品、住宅ローンの残高などを一覧にしたもの。3か月に一度、残高を更新して、増えていればOK、減っていればすぐ出費を見直す対策がとれます。貯蓄の増え具合で準備できる老後資金を予想したり、リタイア後は減り具合に敏感になって老後破産を防ぐ効果も」

●特別支出の使いすぎを防ぐ

年金生活はボーナスがないため、固定資産税などの特別支出は貯蓄から出すことになります。

「無計画に使うと貯蓄がどんどん減ってしまうので、今から特別支出を記録して必要な額を把握して。義理だけのお中元やお歳暮は退職を機にやめるなど、出費を見直すことも大切です」

【見落としがちな特別支出と備え方】

<医療費>先進医療希望の人は、費用準備がマスト

高齢になると発症しやすいのが白内障や歯槽膿漏など。多焦点レンズの手術やインプラントの費用を見積もって準備しておくと安心。

 

<家電・クルマの買い替え>買い替え時期を予想し、計画的に備える

家電は種類ごとに購入年と金額をリスト化し、クルマは何歳まで乗るかを考えて逆算して、それぞれの買い替え時期と必要な資金を予想。

 

<住宅リフォーム>リフォームする場所ごとに予算を立てる

キッチンやトイレの取り換え、一軒家なら外壁の補修なども必要に。いつ頃、いくら必要か見積もって備えておくと安心。

 

<介護>自宅か施設か、方針を決めて介護に備える

最期まで自宅か、高齢者施設に移るか、方針を決め、必要な費用を準備。施設入居希望なら、元気なうちに見学に行くのもおすすめ。

 

<子どもへの援助>子ども1人あたりの額を決めておく

結婚や家の購入で援助するなら、1人あたりいくらと決めて備えて。無計画な援助で子ども同士に差が出ると、トラブルになるので注意。

 

●住宅ローンの残債はどうするべき?

残債が多い人は、退職金で完済すると老後資金が乏しくなりがち。

「退職前に、繰り上げ返済や返済額増額で軽減しましょう。月の貯蓄額が5万円なら、老後資金の貯金は2万円に、残り3万円は繰り上げ返済用の貯金や返済額の増額に回して」

 

お金の管理は苦手…という声もありますが、使えるお金を知っておくことと、いざというときの備えだけは万全にしておくと、老後の安心感が違います。今回の記事を参考に、ぜひ家計の見直しをしてみてください。