やがて訪れる老後の暮らし。そんな老後を豊かに暮らすために、50代以降から考えておきたいのが資金計画。まずはどんな準備が必要か? ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに教えてもらいました。

老後の資金計画に必要なこと。退職金や公的年金は?老後の住まいは?

老後の資金計画を立てるとき、最初に確認したいのが退職金と公的年金のこと。老後資金の使い方を左右する“ついのすみか”についても、方針を決めて資金を準備しておくと安心です。

●会社員の家庭では退職金制度をチェック

勤務先によっては、退職金(またはその一部)の受け取り方を一時金と年金から選べます。

「一般に年金の方が受け取る総額は多くなりますが、公的年金などと合算した額が『公的年金等控除額』を超えると課税され、国民健康保険料なども高くなります(退職後も勤務先の健康保険を任意継続する場合などは影響なし)。一時金の方が『退職所得控除』の控除枠が大きく、有利といえるでしょう」

年金で受け取る場合、公的年金や個人年金などとの合計が年110万円を超えると課税されます(年収1000万円以下・65歳以上の場合)。退職所得控除は勤続年数が長いほど控除額が大きく、勤続年数20年で800万円、30年で1500万円、40年で2200万円まで非課税に。

●年金はいつから、いくらもらえるか知る

老後の生活の基盤となるのが公的年金。老齢基礎年金(国民年金)は65歳からもらえますが、老齢厚生年金(厚生年金)は生年月日によってもらえる年齢が異なります(下表)。

「自分がいつから、いくらもらえるか、毎年誕生月に日本年金機構から届く『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』で確認を」

男性は昭和36年4月2日生まれ以降、女性は昭和41年4月2日生まれ以降、特別支給の老齢厚生年金は消滅。全員65歳からの受給になります。

●ついのすみかを決めておく

老後の住まいをどこにするかで、かかる費用も対策も違ってきます。

「持ち家の場合は、毎年かかる固定資産税やリフォーム費用などが必要です。賃貸の場合は、今の家賃を老後も支払えそうか、難しいなら安い部屋への転居も視野に。最終的に高齢者施設に入るなら、貯蓄や年金から入居一時金や月の利用料に出せる額の目安を立てて備えておきましょう」

持ち家や賃貸の自宅で最期まで過ごしたいと思っていても、要介護になると施設が安心な場合も。さまざまな可能性を検討しましょう。

どんな老後を過ごしたいか? そのためにはどのくらい費用を準備したらいいのか? まだまだ先のことと後回しにしないで、概算だけでもしておくと安心です。これを機にぜひチェックしてみてください。