子どもの成長に合わせて、ひとつの子ども部屋を、将来、2つに分けよう。ハウスメーカーで家を建てる際に、そう考えて、扉や窓をふたつづつ設置した、暮らし評論家の大木聖美さん。それから16年たって、じつはいまだに、子ども部屋はひとつながりのままです。予測の斜め上を行く兄弟の成長の様子と、子ども部屋の変化について、大木さんが振り返ります。

 

ひと部屋つくって、将来2部屋に分けると思っていた

家を建てた16年前、わが家の子どもたちは、1歳と3歳でした。同性のふたりの子ども部屋をどうするか。これからどのように成長するのか。そんな未来のことを考えながら、プランづくりをした記憶があります。

そして今。わが家の子ども部屋の使い方は、当時想像していたものとは、まったく異なる道をたどっています。

 

2階にあるLDKと廊下をはさんだ場所に位置する、わが家の子ども部屋。大きくひと部屋としてスペースが取ってあり、将来「そのとき」が来たら、ふたつの部屋に分けるというつくりになっています。これが、16年前に思い描いていたストーリー。

そのため、子ども部屋はふたつのドアを備えており、クローゼットも両端にふたつ、窓の位置もすべてシンメトリーについています。

 

すぐに部屋を分けられるよう、事前にしておいたこと

ドアとドアの間には、垂直に90cmほどの壁を設けてあります(写真の左を参照)。

これは、「そのとき」がきたら、すぐ部屋を分ける工事に取りかかるための下準備。あとで壁を建てようとすると、既存の壁を壊して補強工事をする必要があったため、家を建てる際に設置しました。これは、ハウスメーカーの担当者のアドバイス。

本当に仕切るのか。仕切るとしたらどのような仕切り方になるのか。この90cmの壁があるだけで、なんとなくイメージできます。

また、壁のおかげで、やんわりとエリア分けができることで、兄弟が部屋を使うにあたって、結果的に、とても役立つことになりました(後述あり)。

子ども部屋の変化の様子

●幼少期

東西に長い、わが家の子ども部屋。東側は母子の寝室エリアに、西側はオモチャ収納を兼ねた遊びエリアにと、この時期は、ざっくり分けて利用していました。

ただし、このエリア分けは厳密なものではありません。東側の収納には長男の服を、西側の収納には次男の服を収納することも。加えて、兄弟には、自分たちのものを管理する意識をやんわりと植えつけていました。

 

●小学校低学年時代

この時期に、机を購入。西側にふたつ並べて設置し、勉強及び遊びエリアとしました。東側は相変わらず母子の寝室エリアとして使用。

この頃から、子どもたちのレゴブロック熱に拍車がかかり始めます。収納を増設したり、ディスプレイ棚を取り入れたりして、レゴを保管する大事な場所にもなっていきました。

 

●小学校高学年時代

子どもたちだけで寝ることになり、東側寝室エリアに2段ベッドを購入。寝るエリア、机エリアという構図は変わらず、レゴだけがひたすら増え続けて行きました。

勉強はリビングですることがほとんどだったので、机は学習用品を保管管理する指定席のような場所となりました。

 

●中高生時代前半

2段ベッドを1段ずつに分けたものの、基本的に使い方は変わらず。東側が寝室エリアで、西側が机エリアとして、使用し続けていました。

それぞれ部活動や塾に忙しく、ほとんど家にいない生活。勉強は塾の自習室やリビングでやることが増え、自室にこもることもなく、机は相変わらず学用品の物置に。

レゴも相変わらず増え続け、収納先もないのに買いたします。とはいえ、子ども部屋のレゴエリアが、受験期の息子たちの癒やしの場となりました。

 

●中高生時代後半

そのうちそれぞれ受験の時期となり、何度か部屋を分けるか話題にのぼりました。でも、大切なレゴが分断されるのがイヤだという子どもたちの意思により、部屋を分ける話は立ち消えに。

その代わり、ドアとドアの間につくっていた壁を境に、東側に長男の机とベッド、西側に次男の机とベッドをまとめ、それぞれのエリアとすることにしました。

 

●今、高校生&大学生となり…

相変わらず、ひと部屋をやんわりと、ふたつのエリアに分けて兄弟は過ごしています。

生活リズムが異なるふたりですが、やんわりエリアを分けることで、それぞれに心地よい時間を過ごしているようです。レゴという共通の趣味が兄弟をつなぎ、ものが分断するのがイヤという意思のもと「そのとき」が来ないまま、ここまでに至っています。

 

ただし、そんな状況も、変わるかも!?

このまま、ひと部屋のままなのかと思っていましたが、どうやら状況は変わるかもしれません。

というのも、長男がバイトで貯めたお金で念願のゲーミングPCを購入、それがもうすぐ届くことになっています。

一方、次男は受験生に。受験生にはしっかりとした睡眠が重要になるので、やはり部屋を分けようかと、最近相談されるようになりました。

工事で壁をつくってしっかり部屋を分けてもよし、カーテンでやんわり仕切っても、家具で仕切ってもよし。どんな場合にも柔軟に対応できるよう、最低限の準備だけはしてあります。

それにしても、まさか、共通の趣味であるレゴを理由に、部屋を分けるのをイヤがるとは…。16年前は、想像もしていませんでした。子ども部屋の使い方は、あくまでも子ども次第。親が考えるようにはいかないみたいです。

こんなパターンもあるのだと、ひとつの参考にしてみてください。子ども部屋の使い方は、成長に合わせ、子どもたちの意志を尊重しながら、時期や分け方を決めて行きたいですね。