今回のテーマは栃木県で4月1日に一部が施行された「自転車条例」です。自転車の安全で適正な利用の促進のために制定されたもので条例では守るべき3つの内容が定められています。1つ目は義務となっている自転車保険の加入で、これは3カ月後の7月1日に施行されます。そして2つ目はいずれも努力義務で4月1日に施行されたヘルメットの着用と自転車の点検整備です。

条例は実際に県内で浸透しているのか、施行日の前後となる3月末から4月1日にかけて街頭で条例を知っているか聞いたところ、条例を知らない人がほとんどでしたが、自転車を安全に乗るための関心は高いように感じました。

Q.条例を広く知ってもらうために県や警察ではどのようなことを行っていますか?

施行日となった1日は警察などが宇都宮市内の街頭で自転車を利用する人などにチラシの配布などを行いました。また、県は動画を制作して周知を図っています。その動画がこちらです。

Q.自転車条例が制定された背景にはどういったことがあるのでしょうか?

自転車は手軽な乗り物で子どもから高齢者まで幅広く利用されています。その一方で、県内では人身交通事故の件数が減っているなか自転車による事故の割合が年々増加していて、去年は人身交通事故全体の27%と5年前に比べて10%も増えています。自転車による事故で加害者になった場合、損害賠償責任が生じ、全国では小学生や高校生が加害者となり賠償額が数千万円の高額となったケースもりました。こうしたことを背景に自転車による交通事故防止や被害者保護のため条例が制定されました。   

Q.義務化された自転車保険についてどんなことに注意が必要ですか?

自転車を利用する大人が加入手続きをするのはもちろんのこと子どもが自転車に乗る場合、保護者が責任をもって自転車保険に加入する必要があります。ここで注意が必要なのは自転車保険のほかに自動車保険や火災保険、傷害保険の特約としてすでに付いていたり付けることもできますので一度、加入している保険会社に確認してほしいと思います。万が一、事故を起こしたときに保険が必要になるわけですが、その前に被害者の一生を奪うことになる可能性もあるので自転車が凶器になることを忘れてはいけません。

Q.自転車事故はどのような場面で起こっているのでしょうか?

栃木県警察本部交通企画課 湯澤宙輝課長補佐:「自転車が関係する交通事故の累計では出合い頭と単独事故が多く、自転車側にも一時不停止といった法令違反が認められる事故が多い。自転車事故が最も多く発生する時間帯は通勤・通学の午前7時から8時台。次に午後4時から5時の下校・帰宅時間が多い。朝は時間に余裕をもって家を出て心にも余裕をもった運転を心掛けてほしい。『ながら運転』『ながらスマホ』は重大な事故を起こす可能性があるので絶対にしないでほしい」  

Q.最後に努力義務となっているヘルメット着用と自転車の点検・整備について具体的にどのようなことが必要でしょうか?

栃木県くらし安全安心課 松本博文副主幹:「ヘルメットはあごひもをしっかり付け、ゆるみがないか調整する。自転車事故で死亡した人の約6割が頭部に致命傷を負っているやヘルメットを着用しないときの致死率は着用時と比べ約3倍も高くなることから、条例で自転車利用者がヘルメット着用に努めることになった。点検整備はブレーキがきくか。タイヤは空気があまくないか、すり減っていないか。ライトが正常に点くか確認を。今回の条例を機に『自転車保険の加入』『ヘルメットの着用』『自転車の点検整備』などしっかり行い、安全に楽しく自転車に乗って事故のない栃木県を目指しましょう」

新年度を迎えて小学校や中学校、高校、大学と入学シーズンが到来し新入生たちは自転車を利用することで行動範囲が格段に広がります。環境が大きく変わり落ち着かない時期でもあるので安全運転に集中しましょう。6日からは「春の交通安全県民総ぐるみ運動」が始まります。自転車や自動車に乗る方はこうした機会に改めて交通ルールを確認してみてはいかがでしょうか。